5 オルニウム鉱石
文明は飛躍的に発展する場合がある
これはそのきっかけになった話
ガレージが決まると自動的にギアの搬送がされるそうで、直ぐに乗って動かせ!と言うことではないようだ
俺のリンドブルムは勝手に歩いていきそうだが搭乗訓練もしていないので恐らく操縦できない
「蒼騎さん!改めてパートナーとしてよろしくお願いします!こちら私の学友の二人です」
サっと隣に戻ってきて紹介された、このはの同級生も軍志望らしい。俺は普通の学校だったが、このはが御嬢様学校だったのは知っている。御嬢様でも軍を選ぶとは意外性があってビックリしている。
そして意外な第一声で心の中でコケた
「へぇ!こちらが噂の蒼騎君ね!私は四宮 雪、よろしくね」
「私は桐本 千花だよ~よろしくね~噂よりしっかりしてそうだね」
無言で噂とは?と笑顔のこのはに視線を向けてみると逸らされた。
そうか…俺は頼りなかったか…と地味に落ち込んでいた
ペア決めの際に自己紹介場になった作戦室。教官はプログラムを確認しながら自己紹介が終わるのを待ったが五分ほどで終わった
噂が気になるけど、とりあえず今まで大事な話しかしていないので聞き逃せない
「ではギアがガレージに格納されているか確認してきてください」
ガレージは地下に存在する。通路が動き、端から端まで30分位で行き来できるが徒歩で移動すると半端なく広い
ここは学生専用でNからZまである。練習機を含めると500位のガレージがあるようだ。更に下に掘り下げられた空間があって、そこからギアの移動がされる
自分のガレージはNo.S-05
ほぼ真ん中でそこから奥に道が延びる
ガレージを端末で開けると通路の時点で感じたが結構広い。4機分の収容スペースがあり既に1機収容されている
このはのギアだけが設置されている
一瞬、時が止まる
「俺のギアが無い!?」
思わず叫び崩れ落ちていると、このはが介抱してくれている、と警戒ランプが点灯し収容場所の底面が開いてギアが下から上がってきた
『お待たせしてしまいました。申し訳ございません』
リンドブルムに積まれたAIが謝罪してきた、飛び起きて感極まりギアの足に抱きついてしまった。冷たい
このはには苦笑されたけど、あるはずのモノが無いと言うのは、やっぱりショックが大きくなるもんだ
片膝を付いていたので収納できなかったのとAI型は基本的に搭乗者以外の他の人の言うことを聞かないそうで
あの格好のままずっといたのかコイツ…と呆れつつも、作者の式守紫苑に頼み早急に手を打ったとの事
『「早く蒼騎の所に行ってあげないと『俺のギアが無い~!』って泣かれるわよ?」と申されたので、速やかに収容されたのですが遅れてしまいました』
録音の音声も交えて解説してくれるが…
さすが紫苑姉さん俺の事を良く分かっていらっしゃる…
泣いてないけど崩れ落ちてたから否定できないぜ…
安心してガレージ内をキョロキョロと一回りしガレージを出ると、ちょうど隣から見知った顔が出てきた
おっ?と気づくと
「お隣に引っ越してきましたぁ~空ですぅ~よろしくお願いいたしますぅ~」
「キモい」
とノリの良い親友を一蹴し、ひとしきり笑いあった後、通路を戻った
ガレージはクラス毎にある程度、集まっているらしく空と陸、雪と千花のガレージが両隣に並んでいて飯に誘うのは楽そうだ
端じゃなくてよかった
すぐに作戦室に戻り皆が戻るのを待つといつの間にか来ていた紫宛姉さんも片隅に座って注目を集めていた
全員が集まると次のプログラム
ギアに関しては今が一番重要、ギアと触れて好奇心が旺盛な時に一通りの知識を植え付けるのに画期的だった
ガレージで出来るギアの整備やポイントについて、端末には100Pと記載されている
このポイントは模擬戦やテストで貰える。ギアの素材と交換できて稀少性が高いマテリアルほどポイントが高い、ガレージでは交換したマテリアルで自分だけのパーツを作り性能をアップさせていく
ちなみにプラチナもあり1万ポイントだそうだ
一番重要なマテリアル
『オルニウム結晶』
ギアの性能を飛躍的に向上させた物質、オリハルコンと言う伝説上にある架空の金属になぞらえて付けられた。
発見は偶然だった、とある学者が趣味の陶芸で持ち帰った結晶の一欠片が火に落ち、ゆっくり1000倍に増大し鉱石に変わった事が切っ掛けだった。混ぜると原子間の結合を高め軽量化と合金の特性が強化される
「このオルニウムを混ぜた合金によって今まで強度不足で不可能であった高機動が可能となりました」
ゆっくりと歩くのが限界だった兵器が高速戦闘が可能になった、変わり者の学者がいなければマニギアードが開発されなかったと言うことだ
そしてここに学園が出来た理由でもあった
ここまで読んでいただいた方ありがとうございました