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マニギアード~ゼロの機士~  作者: 白峰 黒夜
5章 夏の騒乱編
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47疲労と出会い

ぶっ倒れる


手加減を知らない


森を見学してみようか


 「はぁはぁはぁ…マジか…」

 俺は倒れて肩で息をしながら汗が止まらない。そして物凄い疲労感を感じている。


 原因は10分前の出来事である。

 ここは普段の訓練場とは別の第二次変成を経た者達専用の訓練場である

 「まずは能力を理解しましょう。ジュピター」

 姉さんの解説が始まりジュピターを呼び出した。

 ジュピターは姉さんの髪に宿っているらしく、肩によく止まっている。

 姉さんが手を前に出し親指と人差し指をLエル字にすると指と指の間に電気が流れる。


 「このように精霊と個人の波長が合う事によって様々な現象を顕現、発生させる事ができます。」

 ここで、とある人物がいない事が『いつもなら』気になる所であるが


 「姉さん、神谷博士は?」

 「あっちでグリフォン「ファル!」…ファルと遊んで…研究してるわ…」

 遊んでいるんですね…やっと見れるようになったし自分と波長が合う精霊も運良く傍にいて懐いてくれてるしレアだったし…で色々やっているんだろう


 多分遊んでいるだけではないと信じたい


 「話を戻して…特に蒼騎の『カグツチ』は強力な精霊で恐らく蒼騎自身に既に能力を顕現させるだけの力が蓄えられている可能性があります。」

 この話を聞いているだけでちょっと気になり掌を見てしまう


 「そろそろ…説明する事も無いので実践訓練と行きましょうか」

 待ってました!とばかりに俺達は席から立ち上がる。このはが隣にいて朝には第二次変成より回復していた。

 「このは、無理しちゃダメだからな」

 「はい、病み上がりなので今日は見学をさせていただこうと思っています。」

 このはは1日休んだ俺と違って体力を消耗しているはずだし、何よりパートナーとなる『精霊』がまだいない。


 神谷博士のように第二次変成が終わったら足元に自分と合う精霊がいたなんて状況はまれな事なのだ。


 逆に俺のような既に宿っているパターンは?と言うと意外といるらしい。

 精霊は珍しい存在ではあるが意外と何処にでもいるのだ。

 子供の時に見える者もいて、遊んだりして気に入られ波長が合っていると気紛れに宿ることもあるらしい。

 カグツチはそのパターンだろうと神谷博士の考えを聞いた。


 だが疑問が出てくる

 何故『竜』なのか?と言うことである。一説には『精霊は子供の想像イメージしたものを食べる』と考えられている。


 これを聞くと微妙に納得してしまう

 何故なら子供の頃はドラゴンの事ばかりを考えていたから…ひたすら俺の想像イメージしたドラゴンを食べていたのだろう…


 カグツチは呼び出す前から俺の首に尻尾を引っ掛けて肩に乗っている

 「お前、だから竜になっちゃったのか?」

 コクンと頷くカグツチ、俺が原因だったらしい。俺が思い出せる頃の記憶では白い眼を持った蒼い綺麗な蜥蜴トカゲだ。

 「まぁ…竜は好きだから良いけどな」

 尻尾がフヨフヨ揺れて喜んでいるらしい。


 「この辺で良いかしらね」

 訓練場の中心まで歩いてくると姉さんが止まった。

 「じゃぁ自分の精霊に何が出来るか聞いてみましょう!♪」


 若干ノリノリで開始宣言された。

 「じゃ…カグツチ、何が出来るか強い力から教えてくれ」

 カグツチがコクリと頷くと肩から飛び降りて少しだけ滑空して着地するとトテトテと離れていく


 30メートルほど離れるとカグツチが蒼く燃え上がった

 その熱量は相当なものでこれだけ離れていても感じることができた。

 蒼焔が収まると本来の姿へと戻った。


 「こんな近くでみることが出来るなんて…感激だわ…蒼騎、手を前に出して」

 先程とは打って変わり姉さんは感動と共に心底圧倒されているが俺に指示を出した。


 掌を差し出すとカグツチが鼻先をつける…コイツ一瞬甘えたな、ちょっと笑ってしまったがカグツチが触れた場所から蒼白い焔が上がると同時に目眩がして崩れ落ちたのだった。


 そして現在に至る。


 「嘘だろ…」

 これで何度目だろう、疲労感が物凄く寝転がっているのに回復してる実感が全くない。

 「あはは…まさかこれ程とは、私の時は確認と練習で6回は使えたけど…確認で使いきっちゃうとは」

 姉さんの苦笑と呆れは理解できる。

 初めは精霊の位が低いほど使える回数が多いが威力パワーが不足しやすい

 逆にカグツチ位だと回数少ないけど超過威力オーバーキル過ぎる位の力がある

 そして慣れてないと燃費が悪く、俺のように倒れる。


 「カグツチ…初っぱなから全力とか俺にそっくりだな?」

 苦笑しつつ俺と一緒に居てくれた事を理解できた。


 「午前中の訓練はもう無理そうね…このはちゃんの精霊を探しに行きましょうか」

 この言葉でしょんぼりしたカグツチが小さな姿に戻った。そして、このはと二人で顔を見合わせながら驚いた。

 「精霊がいる場所なんてあるんですか!?」

 このはの驚き様に全くの同意だった。

 「まぁね…どっかのマッドサイエンティストがちょっとした事をしてね…」

 若干遠い目をしながら姉さんが疲れた声音で言った。このマッドサイエンティストは十中八九神谷博士の事だろう。

 何やったら精霊が集まる場所を作れるんだろう?と思っていたが、後に真実を知る事になるのを俺達はまだ知らない。


 「アレ寮の近く?立ち入り禁止になってる森の一角…ここですか?って言うか…」

 俺とこのはの変成続きで寮に帰っていなかったけど、なんなんだ…森がきらめいてる。

 第二次変成で目が変わるとこうなるんだな~…と思っていると

 「うわぁ~…もっとスゴい事になってる…」

 前はこんなじゃなかったの!?第二次変成したからこれが普通だと思っていたけど違ったらしい。


 「じゃぁ行こうか!」

 ここからはファルを肩車している神谷博士も参戦した。

 森の中を歩いているけど幻想的に光が漂っている。勿論全てが精霊だ。

 最初の精霊は形が定まっていないらしく近くにいた生物の形を真似るらしい。


 「綺麗ですね…」

 本当に綺麗だ。このははになるよな…うん、この場合は風景なんだろうけどね。

 全ての人が見えたらちょっとした観光名所になるんだろうな

 「『精霊の森』…か」

 「それ分かりやすくて良い名前だね、貰おう」

 この森の一角の名称が俺の呟きで決まってしまった瞬間だった。

 しばらく歩くと巨大な光物が見えてきた、近づくにつれて青い結晶だという事が分かったが次の言葉で目が飛び出そうになった。

 「うわぁ~…サファイア大きくなったわね」

 「「サファイア!?」」

 大小様々な青い結晶がサファイア、中心の1メートル程の結晶までが…恐らく値段が付けられない領域。

 結晶の周りには青い精霊が漂い多分『水』か『氷』?の属性なんだろうなと思わせる。

 「綺麗ですね……あっ…」

 この光景に心を奪われていた このはだったが一つの一際ヒトキワ大きな精霊が このはに向かい、ふわふわと目の前まで飛んできたのだった。


 青い光の下に両手を出しながら このはが話し出す。

 「あなたが私の精霊になってくれるの?」

 言葉に反応して一瞬だけ強く光り、光りが収まると何もいなかった。

 「…え?」


 周囲から水分が手に集まり始めた。

 手のひら位の水が集まり丸い塊が出来あがり細長いサメ?のような形に変わった。疑問系なのはサメと違い綺麗な大きめのウロコおおわれていてヒレが魚と比べても大きく数も多い。

 蛇じゃなくて良かった…


 「蛇じゃなくて良かった…」

 このはも同じ事を思ったようだった。


 「おぉ~神話に語られる美しい水の化身のようだね~」

 神谷博士がファルを肩車し近寄って来ながら言った。俺の隣でこのはは幻獣や神獣の載っている本を一緒に見ていた。

 その中でも『このはの中で』一際印象に残ったモノで一番自分と相性の良い姿を恐らく精霊が写し取ったのだろう。

 水の化身、ゲームで言うと…水竜やリヴァイアサンに近いだろうか?どこまでも大きくなる…という事はないだろうけどカグツチと同じ大きさくらいにはなりそうな気がする。


 「はぁ~このはちゃんはすぐに相性が良い精霊と出会えるなんて運が良いわよ?それに精霊も…すごい力を持っていそうね」

 姉さんは感心しきりだった。


 その後、水の精霊の変化には誰も気付いていなかった。



読んでいただきありがとうございました

更新が遅いですが楽しんでいただけたら幸いです

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