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マニギアード~ゼロの機士~  作者: 白峰 黒夜
5章 夏の騒乱編
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46 精霊と伝説

精霊


過去


レアな精霊


 俺の精霊は竜だった

 「わぁ~可愛いですね!」

 このはが寄ってくる声にカグツチが反応する。『私の時は直撃喰らって…』の言葉が思い出される。

 だが恐れていた事態は起きなかった。

 そんな事態が起きる訳がなかったのだ、あの時に俺達を業火から護ってくれたののは『カグツチ』なのだから。

 このはがカグツチの頭を撫でると目を閉じて気持ち良さそうに撫でられている。

 「このはちゃん…第二次変成を?…いえ…この場合は竜…カグツチが限定的に可視化させているのね…凄いわね。精霊に近づくのは危険なんだけど…あの時に守ってくれてた位だから大丈夫だろうけど…」

 この言葉で確信して話を聞く

 「やっぱりカグツチが戦争の火から守ってくれたんだ?」

 姉さんは少し驚いたがすぐに反応した。

 「まぁそうなんだけど、実はね…」



 時は戻る。

 シルバーウィッチで戦場を駆け抜けた時にとてつもないモノを見た


 竜だ


 紫苑は既に第二次変成を経て精霊を見る事が出来ていた。それ故に竜が精霊だと理解していた。精霊は様々な形態をとる事が知られている


 そして普通の動物から形態が『離れる』ほど精霊としての力が強いと分かってきた。

 神谷博士は第二次変成がゆっくりらしくボヤけて見えているらしいが、『ハッキリ見えない』から見えないと言っていると言う事も分かった。


 高位の精霊ほど自然を好むと言う事も分かっていた。

 だからこそ『なぜ竜が?』と思ったのだった。


 シルバーウィッチは最新鋭の塊で竜付近を確認する事は造作もない。

 そして竜がいる意味を知った。

 二人の子どもを護っていたのだった。

 急いで保護しなくては!シルバーウィッチの進路を子ども達に向けた瞬間、竜がこちらを向いた。


 それと同時に自分の精霊が飛び出て慌てて止める、と言う出来事があった。

 実は姉さんの鷹はクラス4と言われるランクが高めの精霊だそうだが…


 それがシルバーウィッチに乗っている事を加味しても慌てて止める力を竜は持っていた、が鷹は本来の姿で竜に説得に向かった。そして竜は鷹を信じて子供を託し救助された…


 「…って事があったの。ちなみに私の鷹は世間ではサンダーバードって言われてるんだけど、ジュピターって名前だからね」

 ジュピターが姉さんの肩に止まっている。


 本来の姿は薄紫色で翼が4枚と美しい尾羽を持った3m程のサンダーバードらしい。

 よくある伝説の生物やUMA等は精霊が顕現けんげんし興味本位で歩き回ったりイタズラをしたと言う事が分かっている。

 その後に見つからない理由も判明しており、顕現けんげんに必要不可欠なエネルギーを使い切ってしまうため実体を維持できなくなる事が原因だと懇切丁寧に姉さんが教えてくれた。


 そして精霊は波長が合わない人と同化出来ないらしい。同化によって『その精霊の力』である電気や風等を使う事が出来るようになるらしい…が


 「能力って最初から使えるの?」

 「最初はね~…まともに使えないし…使えたら使えたで倒れるわ…」

 端的に言うと『MP切れ』だ

 もちろん比喩ひゆ的表現だけれど精神力をかなり使うようで、精神疲労で倒れるって経験談らしい。

 実際は最初から使えたようだが3回ほど試したら医務室送りになったそうだ。


 そこで気付く、神谷博士が一言も発言していない事を…気になって居る方に向いて見ると口を開けたまま唖然としていた。


 「みっ……視える!ジュピターもカグツチも視えるよ!」


 第二次変成が終わったらしい

 カグツチだけだと、この場にいる人間に限定的にだが可視化させている場合があるらしいがジュピターが見えている時点で第二次変成が終わったと言えるだろう。


 「神谷やったじゃないの!コレで本格的に精霊の研究も一人で出来るわね」

 見えにくい以上はハッキリ見える人が側に欲しい…が機密性が高く第二次変成を経た学生機士を使うわけにもいかない…


 という事で

 「私はお役御免ね!」

 正直に喜ぶ姉さんだが

 「ボクと波長が合う精霊がいると良いのだけれどね…」

 神谷博士の嬉しい反面の悔しそうな声と表情で内心凹んでいるのが見てとれる…のだが


 俺には見えている、1体の精霊が神谷博士の足にすり寄っている姿が…

 念のために言っておくことにした

 「神谷博士…もしかして気づいていらっしゃらないのですか?」

 「何がだい?」

 本当に気付いていないらしい…と言うか姉さんすら見つけられていないらしい


 「自分の左の足元をよ~く視てもらっても良いですか?」

 俺の言葉をはかるように博士は注意深く凝視した。

 「あっ…」

 先に気付いたのは姉さんだった。

 「ん~…?」


 俺にはよく視えている

 山吹色の鷲の頭部と翼、星が輝く夜空の様なライオンの体をしたグリフォン…


 「うわっ!…なんだ、この子は?」

 気付いてからも足元でグリグリとすり寄っている。


 「うわっ~…気付かなかった…」

 姉さんが本気で分からなかったようでビックリしている、そして神谷博士が頭を撫でると喜んでいる

 「なんだい?ボクに懐いてくれているのかい?」

 「キュ~!」

 グリフォンは喜んでいる。姉さんがグリフォンをこの真っ白な部屋でも見つけられなかった理由があるんだろうか?

 「何で姉さんに『このグリフォン』が見つけられなかったの?」

 好奇心から聞いてみる。


 「それは…「ここからはボクに任せてくれたまえ!」」

 上機嫌に姉さんを遮った。ジト目で睨んでいるが神谷博士に効果はない。

 「紫苑や『一部の生徒』に協力して貰って1つの仮説に辿たどり着いているのだ!」


 この仮説と言うのが個々には『属性ぞくせい』があると言うのだ。

 

 属性には大まかに分けて

 『』『みず』『かぜ』『つち』『こおり』『かみなり』『』『ごん』『ひかり』『やみ』の10種類が現在確認されているらしい。


 「俺は火…ですかね?」

 カグツチを見て確信しているけど、一応聞いてみると意外な答えが返ってきた。


 「基本は火だけど、このグリフォンが見えたと言う事は火『だけ』ではないと思う」

 思うの言葉が意味した事が『光』か『闇』又は両方を確実に持っていると言う事だった。


 「持っていない可能性は?」

 「この子が見えた時点で持っている確率の方が、持っていない可能性と比べて遥かに高いと見るべきだね」


 片方より両方持っている方が光と闇の精霊は見つけやすいらしい

 光の属性を持つなら光の精霊が直ぐに見えるが闇は見つけにくい。

 逆に闇の属性を持っていると闇の精霊は見つかるが光は見えにくいと言うことらしい。


 そして姉さんは『闇』を持っているらしい…がそこで疑問が出てくる

 「ん…?姉さんが闇属性を持ってるなら何でそこのグリフォンが見つけられなかったの?見るからに『闇!』って感じだけど…」

 神谷博士の待ってました!とばかりの返答が来た。

 「そう!そこだよ。このグリフォンは…「光と闇の属性を持っているからよ!」」

 したり顔の姉さんが被せぎみに遮った。今度は神谷博士がガックリしながら固まっている。

 さっきの意趣返いしゅがえしだろう


 見事に決まって満足したらしく後の説明は神谷博士に譲った。

 「…紫苑の言うとおり、2つの属性を持っていると思われる」

 ちょっとグッタリしている、多分一番言いたかったんだろうな…って


 「2つの属性を持ってる精霊もいるんだ?」

 「とてつもなく珍しいが現にこの子はそうだ!」

 犬や猫を持ち上げるように優しくグリフォンを持ち上げている…半分は猫科なぶん猫っぽい…

 ついさっきまでそんなファンタジーみたいな事が現実にあると思っていなかったし、凄く不思議な気分だ。


 「そんなレアな精霊が博士に懐いてくれたんですね!」

 このはがキラキラした目で羨ましく見ているのが分かる。って…

 「このは?顔が赤いんだけど…もしかして気怠けだるくない?」

 「そう言えば…蒼騎さんが倒れて気が動転していましたが…少しだるく感じます…」

 ちょっとだけフラつきながら俺の治療台に腰を掛けた

 そりゃそうだよな…乗ってる時間も殆ど同じだし…って事は、そらりくも…あと少しでなるんじゃ?


 「このはちゃん、大丈夫?」

 姉さんも心配のようだから俺も助け船を出す。

 「ここに横になっちゃえば?手間が省けるでしょ?」

 「それでは…失礼します…」

 多分辛かったのだろう。すぐに横になったので俺に掛かっていた布団をかけた…横から羨ましそうに姉さんが見てくる。

 「いいなぁ~…」

 多分…心の声が漏れている

 「泣いていた俺に姉さんがよくやってくれたじゃん…感謝してるんだぞ」

 あんまり普段言えない事を弱っている時に心の内が漏れるのは良く有ることだ。


 この言葉に一瞬驚いた顔をした姉さんだったけど、嬉しそうな顔で引き下がったのだった。


 次の日に、このはが休んだので俺は付き添って休んだが神谷博士の研究に付き合い1日免除扱いになったことは言うまでまでもない


 明日から夏期遠征まで超特級の特別訓練が始まる事になったのだった。


読んでいただきありがとうございました。

楽しんでいただけたら幸いです。


次もよろしくお願いいたします

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