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マニギアード~ゼロの機士~  作者: 白峰 黒夜
4章 外の世界編
51/61

40 藁をも掴む思い

もどかしい友情

心配性な設計図

守るために


 「なぁ蒼騎…」

 「陸か?」

 何となく言いたい事は分かる

 俺ばっかりアドバイス貰ってて陸が拗ねるかも…とかが理由だろう


 「何も言ってこねぇのに俺がしゃしゃり出た事あったか?」

 「…ない」


 しゃしゃり出る事は基本的に無い

 陸が言ってくれば『陸用』設計図をプレゼントするんだけどな…もちろんダウングレードしなきゃマトモに使えないだろう想像装備


 陸のギアが寄ってきた

 「空、蒼騎に迷惑かけちゃダメだよ…あの速さは蒼騎のアイデアだろ?」

 さすが陸だ、鋭い

 「いや~…カスタマイズが全然わからなくてさ、藁をも掴む思いだったんだよ」


 マジで落ち込んでたからな、親友がアレはみていられない…しゃしゃり出てたな


 「…僕も藁を掴もうかな」

 「ホレ、コレを自分のスタイルに合わせて作れよ」

 空と同じようにデータを送るが陸が助けを求めてくる事はほぼ無い、だからすぐ助ける

隣から助言が飛んだ

 「そのまま作ったら死ぬぞ!俺はダウングレードして作ってアレだったからな!」


 アレは軽く走っただけで速すぎて、制御できなくて吹っ飛んで転がってたこと


 「安心しろ、陸のギアに合わせた設計だから速すぎる事はない」


 …はずだ

 ガード型主体のギアだからある程度はパワーがいるはず…パワーありすぎて上半身が捻れ切れるとか無いと良いんだけど…


 自分の想像だから加減が分からん、『机上の空論だから使えない』と言うことでもない


 実際に作って結果が『ダウングレードして、丁度良い』だっただけ、本来の適正な調節だと『最低限』過ぎて物足りない可能性もある


 大は小を兼ねる…ではないけれど大き過ぎるのも問題はあるのだ


 大を空で言えば『スピードが落ちる』

 小を陸で言えば『ガードが落ちる』


 ガードはある意味、重量が必要で軽ければガードした時に耐えられずに吹っ飛んでしまう


 ギアが人型と言うことでテクニックを使えば耐えられるが小さくすれば、やっぱりパワー不足になりかねない


 「蒼騎…コレだとパワーあり過ぎない?」

 「なっ?言っただろ、蒼騎の設計は超怖いぞ!」

 陸が設計図をよ~く見て言った言葉に空が答えるけど、俺の答えはもちろん


 「『自分のスタイル』似合わせて変えてくれ、念には念を入れて設計しただけだから」


 コレしか言えなかった




 「僕のスタイル…か」

 僕は蒼騎に貰った設計図のデータと、にらめっこしていた

 理には叶ってるけど…


 「コレ単体でカスタマイズしたらバランスとれないな…」

 さっきも言ったけど、パワーが有りすぎる。きっと空も雪さんに手伝って貰ったに違いない


 空はカスタマイズが苦手だったし…

 雪さんがいなかったら、きっと貰ったデータのまま作ったに違いない


 「何してるのぉ~?」

 肩に手が乗って重さがかかる

 ガレージを交換してペアが千花ちゃんになってスキンシップ?が積極的な事に気付いた


 「あっ…蒼騎からアイデアを貰ったんだ、それのブラッシュアップかな」

 「今日吹っ飛んでた、空君みたいにぃ~?」

 苦笑する返答だったけど事実だった

 「そう…慣れてなくて加減が出来なかったみたいだけどね…」

 蒼騎が『本気で走ってくれ』とか焚き付けたんだろうな…とか思っている。

 実際は正解だったが


 「この設計図、パワーに念の入れ過ぎな気がするよぉ~」

 確かに、空が言ってたけどダウングレードして調度良い。慣れてきたら追加でカスタマイズ出来るようにしてる意図が感じられる


 「蒼騎が想像って言ってたから作って使えなかったら…って心配だったのかもね」


 そう考えると念の入れ過ぎな設計図なのも納得できる。蒼騎は慎重な性格だし無駄を…と言うより無意味を極端に嫌う


 そして意外と容赦がない


 両極端…だと思う。ほどほどをやるなら、手を抜いてやり直しさせられるくらいなら『完全にやる』か『全部しない』方がマシと以前に言っていた


 「へぇ~!蒼騎君って意外と心配性なんだねぇ~」

 「本人いわく『面倒が嫌い』って言ってたけどね」


 完璧主義な親友を思い出して苦笑していた。究極の面倒くさがりは完璧主義なのだそうだ


 「コレって陸君りっくん専用っぽいよねぇ?」

 ガード型の為にパワーを上げている

 外装シェルは全く無い。骨格ボーンのみで内部の事だけ、しっかり組上がっている


 昔から蒼騎は工作が好きで、よく細かい物や仕組みを作っては一人で遊んでいた。そこに僕と空が乱入して一緒に作るか別の遊びをするかと言うことが多かった


 「多分…千花ちゃんの専用設計図も描いてると思うよ」

 絶対に描いてると思う、考えるの趣味だし

 「本当に?ちょっと欲しいかも…もしかして皆の描いてるとかぁ?」

 「それはないよ。仲が良い人だけか、ペアを組む可能性がある僕等くらいだよ」


 苦笑しつつメインモニターを見ながら答える。反射して千花の百面相が少しだけ見える、コロコロ変わる表情が可愛い


 視線をモニターの上にずらすと

 僕のギア『ネムス・ガーランド』が見える。

 どっしりとした大樹のような強さに憧れてつけた。昔にガーランドが花飾りと言う意味だと知って、カッコ良くなくてちょっとがっかりしたけど今では気に入っている


 空のギアを思い出すと奮い立つ

 僕はスピードやパワーよりガード派だ、ソレを蒼騎はよく分かっている。

 ある意味、幼少時の蒼騎に憧れている。僕流に大事な人を守る事をギアで表した。

 「絶対に二人に追い付いて見せる…」

 自分に言い聞かせる

 「私達なら追い越せるよぉ!」

 つもりだったけど、協力してくれる存在が僕にはいた


 僕は良いパートナーに出会えたようだ


 千花ちゃんの協力の元、設計図を見直していくと隠れファイルがあった。

 内容が予想外すぎて二人で10秒間たっぷりと絶句していた

 「…6本腕?」


 通常の腕にもう1本腕を重ねてくっつけた腕にして、背中にもう1本の腕を収納しておくと言うもの


 「ゴッツイ設計図の意味が分かったねぇ…」

 千花ちゃんが呆れと感心の混ざった表情をしていた


 コレを元に作っていった

 肩は通常の二倍の奥行き、全体はパワー負けしないように作っていった


 カスタマイズが進んでいってワクワクしている。まずは空に勝てるようにしないとね


 カスタマイズされていく僕のギアを見上げながら期待は膨らんでいく




読んでいただきありがとうございました


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