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マニギアード~ゼロの機士~  作者: 白峰 黒夜
4章 外の世界編
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閑話休題8 想いは募る

絶望

並ぶために

想い


 「貴女はダメです。カスタマイズが間に合っていません」


 私は紫苑さんの言葉に愕然とした

 愛する人を守れない…隣に立って戦えない、私は無力で何もできない


 呆然と見送ることしか出来なかった

 待っている間は気が狂いそうで、戻ってきた時に平気なふりが出来なかった


 生きていてくれた


 それだけで涙が出そうだった、思わず抱き締めてしまったのに優しく撫でてくれて

 「大丈夫だったよ」


 言葉を聞いて涙があふれ少しの間、離れられなかった。



 その後、旅館での蒼騎さんは普通だった。予約した御風呂に押し掛けて様子を見ました。


 紫苑さんも心配して着いてきてくれました。蒼騎さんはずっと目を閉じて温泉を堪能していたように見えました


 観光中の蒼騎さんも普通だった。心配して付きまとってしまい、鬱陶しいと思われたかもしれないけど…


 最終日に、あまりにも心配で熱を計ったり顔をぺたぺた触れていた

 触っている内に嬉しくなってキスしようとして


 「このは?おはよう?何してるの?」

 「おっおはようございます!熱があったら大変だなと思い…彼女の特権を使い検査してました!」


 驚きすぎて変な事を言って、おどおどしながら逃げてしまいました

 ビックリしました…



 雪ちゃんと千花ちゃんの所まで来てしまいました…

 「どうしたの?旦那と喧嘩?」

 「このはちゃんが喧嘩するわけないよぉ~雪ちゃんと違ってツンデレじゃないもんね~」


 「旦那じゃありませんよ~!」

 旦那…ちょっと憧れているけれども、そうではなくて!…


 「う~ん…そんな事があったんだ」

 雪ちゃんが千花ちゃんを捕まえながら事情を話した

 「雪ちゃん…ゴメン…許して…」

 ツンデレと言われて顔を真っ赤にして捕まえられて布団にされてる


 「じゃぁ帰ったらカスタマイズしなきゃだね」

 「蒼騎君と同じくらいにしちゃおうよぉ!」


 過ぎた事はしょうがない、今から強くなろう!と励ましてもらっちゃいました

 蒼騎さんに追い付く決意をした


 帰る時間になり蒼騎さんが教官に全速力での帰還許可をもらっていた


 「私もリンドブルムに付いて行かせてください!」

 「…大丈夫ですか?多分ギリギリだと思いますが…」

 教官の心配も理解していた

 私のシルフィードはカスタマイズが全然されていない。反してリンドブルムは飛行ユニットが付いていないだけで、実際は完全カスタマイズだ


 「パートナーに付いて行きたいんです」

 私の必死さに折れてくれた教官の許可がいただけました


 「全力で追いかけなさい、それでも彼は本気ではない…はずよ」


 教官の言葉が妙に重かった、でも嘘ではない。始めからスピードが速かった

 これで全速力じゃない…そう思うと、もっと速くなっていく

 それに必死で食らい付く、スピード型のシルフィードで追い付けない


 「私は隣にいたい…」

 ポツリと言葉が出た

 『サポートいたしますか?』

 ノルンが支えてくれる

 「お願いっ!」

 再調整されていくシルフィード

 『リンドブルムに現状追い付くことは不可能に近いです、最適なセッティングをするので全力を出してください』

 


 自分とギアが重なりあうイメージで少しずつ追い付いていく…

 その時、さらにスピードが上がり教官やノルンが忠告した意味がよく分かった瞬間だった


 追い付けない…


 でも心は折れなかった

 「貴女はダメです。」に比べれば、一緒に走れている。今から追い付くんだ!



 結局相当な距離を離されてしまった

 豆粒位の大きさのリンドブルム


 あっという間に基地についてしまった…速い…

 ガレージに運搬されたとき、蒼騎さんは私が追い付いてきた事に驚いていました


 私は意を決した

 「私にアドバイスをください…」

 「一緒に強くなろう」

 俺の隣にいてくれ…そう聞こえた気がした


 善は急げだった。さっそくカスタマイズを始めてくれた


 「ギアのイメージは?」

 「風と水の…女神と精霊です…」

 精霊と言うよりは女神がイメージだった。けれども…女神と言われる物語の最後は悲劇的に終わってしまう、それが嫌だった


 蒼騎さんに言ったことがあるけど答えは「愛する人に出逢えた奴は幸せになってほしいよな…」だった


 「女神っぽい精霊だね」

 蒼騎さんが入力していく

 後ろから覗くとリンドブルムより設計が細かい、今までカスタマイズされたリンドブルムをアップグレードしているように感じる


 「あの…蒼騎さん、いったい何を…?」

 「あぁ~…リンドブルムのフィードバックを利用して、もっと効率よくしてシルフィードに載せるんだ」


 一瞬何を言ってるのか理解できなかった。「リンドブルムより『強く』している」と言っている


 ゾクリとした


 自分に扱えるのだろうか?いや…扱えなければ隣に立てないならば、扱って見せる


 こうして1週間、付きっきりでシルフィードはカスタマイズされ、以前の面影はどこにもない


 そして実習戦闘で御披露目となった

 「行ってきます!」

 「気を付けて」


 シルフィードは『ほぼ』フルオルニウム化が進んだ、リンドブルムを参考にしているので言わずもがな…


 シェルが間に合っていないけど

 リンドブルムと肩を並べた…いいえ、恐らく通り越した


 それを実習戦闘で実感した


 「すごいっ!」

 『以前のパフォーマンスと比べ300%を超えています』

 比べ物にならないと言える、反則級の性能。リンドブルムを扱っていた蒼騎さんだからこそ出来る開発とセッティング


 『蒼騎様より伝言がございます

 「今のセッティングは最低限だから、あとは自分で動かしながら変えていってね」

 以上になります。』


 これで改善の余地がある

 すごい…


 そして敵役のギアを探し当てるとマシンガンの両手装備が撃ってきた

 撃ってくるけど当たらない、前のシルフィードなら3分の1は当たっていただろう

 

 音に引かれて別のギアが現れる

 正面からでも弾を避けることが出来る

 剣を受け流す事も出来る

 受け流しながら斬り倒して走り出す


 弾切れした所を狙って切る


 別の3機が同時に集まってしまう

 逃げる


 と見せかけて後ろに回り、3機が戦い合う。1機が倒れた隙に2機に攻撃を仕掛ける

 思った通りに動き、あっという間に倒せた


 もっと強くなりたい、あの人を護るために…


 勝って益々その思いが強くなった

 隣に並ぶために




読んでいただきありがとうございました

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