2 銀色の魔女
見学
親友
銀色の魔女
「では自由にギアを見学してください。機体は触れないように、よく見ておいてくださいね」
倉庫内を自由に見れることになった
構造等は整備時に必要になるためよく見ておくことも大事だと言うことだろう
マニギアードはギアやマニギアと略される事が多い、基本は機体毎に名前が付くから正式名称は文面でしか使われないと説明された。
「結構あるんだな」
機体を見て一通り歩くと、隣から声が聞こえる
「いっぱい機体があるんですね」
一人で歩いていたわけじゃなかった。軍立学校において女子は珍しくない。
俺がお世話になってる家の女の子
玖条 このは、幼なじみで家族ぐるみの付き合いだった、夏休みに一緒にいた戦争の経験者だ。俺は戦争で両親を失い引き取ってくれた、このはのお父さんとお母さんは本当に良い人で我が子のように可愛がってくれた、いつも「このはの婿さんに来てくれれば良いのに」なんて冗談まで言ってくれた。でも甘えてばかりいられないし、恩返しがしたい。
このはもとても親切にしてくれた
さらに才色兼備で手料理も美味しいし完璧といっても過言ではないが、俺と同じ軍の学校を選んだと聞いた時もかなりビックリした。ちょっと心細かったから、嬉しかったのは秘密だ
「卒業生位になると、こんなのが作れるんだな~」
俺は素直に感嘆の感想しか出てこない
高さ30メートル位、横10メートル位の機体が5メートル間隔で配置されている百体ほど並んでいる
「…遠い」
一機一機よく見て半分くらい進んだ時に口から出た感想だ、そう単純に1.5キロメートルある。地味に距離がある一機毎に作りが違うらしく見ていて飽きないし面白いが基本的に上を見続けるので首がツラい
「「遠いよ(な)…」」
そしてもう二人同行者がいた。
親友もこの学校を選び偶然にも同じクラスに配属されたのだ
鞍馬 空
と
玄野 陸
「コレとかカッコいいよな」
「コレは速そう」
見るだけで面白い
地元は同じだが二人も別の場所で戦争に巻き込まれた。小さい時からの仲で、三人で色々と遊んだ。
「…ん?」
その時一瞬、何かが気になった。
よく分からない。周りを見渡すが、自分を見ている人はいない。一機だけ、とても綺麗なギアがあって色々見た。その時から視線を感じる気がした。
「気のせい…か?」
その時、機士が一列に置かれた広場に空からギアが舞い降りた
『銀色の魔女』
正式名称、『シルバーウィッチ』一番有名なギアであり搭乗者の二つ名だ。相変わらず俺には天使にしか見えないが十人十色だ。ギアが屈み機士が降り立つ
白銀の長髪をなびかせ美しい女性が現れた
「おぉ…」
「本物だよ…」
場は騒然となる
英雄といわれる存在がギアと共に目の前に現れたのだから、集まらないわけがない。シルバーウィッチを見るのは2度目だか圧倒される。月並みな言葉だが最強のギアだ。尊敬しないわけがないが、俺にとって搭乗者は、よく知る人物だ。
式守 紫苑、銀色の魔女の名前だ
「新入生諸君、驚かせてしまって申し訳ない!入学をお祝いしたく登場させていただきました!」
カッコよく敬礼し、チラリと俺を見るとにこりとした。紫苑姉さんは俺と玖遠が救出された時からの長い付き合いだ。
意外と堅苦しくない綺麗なお姉さん、これが最初の印象。両親を亡くした幼かった俺に構いまくってくれた大事な人の一人だ、子供の俺をメチャメチャ甘えさせた。このは の家に頻繁に訪れ俺を気にかけてくれた。
このはが不機嫌になる事が多かったがよく分からない
実は今も続いているが俺は成長したのだ。今では姉さんと呼び合う仲だが時と場所は選ぶ。と思ったがツカツカと寄ってくる。
まさか…と思い冷や汗が出る所で通り過ぎた。完全にからかってやがる、きっと笑っているだろう
並べられたギアを見ているフリをしているが、ちょっとイタズラ好きな姉だ
クラス全員が端のギアまで見に行って教師の前まで戻ってきた時も自分のギアに寄りかかって、こちらを楽しそうにニコニコと見ていた
楽しんでいただけたら幸いです