閑話休題 科学者としての使命
ナノマシン
自分で実験
使命
「また失敗か…」
ナノマシンの開発は急務だ
今回出来たナノマシンは失敗…と言えば失敗作だった
実験用のマウスに投与した所
『犬』や『猫』に変化した
ナノマシンが自動的に遺伝子の取捨選択を行った結果、構成が変わった
コレには明確な理由があった
『人間のナノマシンを投与した』
コレが原因だった
現在では血液を採取しオルニウム鉱石を粉末にした物を混ぜる、それに電気を流して白血球、赤血球、血小板を活かしてオルニウム鉱石が結合しプログラムされナノマシンになる
因みに実験のナノマシンはボクの血液で作られている
『ネズミのナノマシン』じゃない事が問題だった。ボクはいち早く気付きネズミの血液でナノマシンを作り直した
結果は成功
副作用はあった。命や健康状態、身体機能や部位欠損等の問題は一切無かった
副作用とは色素や肉体が変わる
白毛のマウスが『黒毛』や『金毛』になったり、虹彩の色が変化する場合があったこと
肉体は筋肉や脂肪が調節されて筋力があがり、肉体の強度が上がった
マウスの医療用ナノマシンとしては成功だった
次にサルを使った
同じ事をやった、人間用のナノマシンを投与した。バカな学者がいてクビにしたが
そのサルはボノボに変わった
可哀想に…種族が変わっても本能的にあまり変わらない
結果として自身の血液を使わないと成功しない。他の血を使うと突然変異してしまうと言うものだった
「では、人体実験してみましょうか」
ボクの言葉と行動でラボの一員は愕然とした。言葉と共に自分へナノマシンの投与をしたからだった
変化は直ぐに現れない
徐々に熱っぽくなってくるので仮眠室で経過を録画した。映像はミシミシと肉体が変化していった。インフルエンザか?と言うくらい動けなかった
次の日、目が覚めて眼鏡をかけて違和感を感じる…ボヤけている?メガネを外して感動した、体も引き締まり筋肉量が増えていた
「腹へった…」
恐らく肉体の変化に相当量のエネルギーが使用された結果だろう
朝食を食べてから検査が始まった
ボクを見た研究員は皆が驚いていた。それほどの変化は職員総出でモニターのチェックになった
人体に投与するのは自己責任、少しでもデータがほしかったのだろう。だが成功の確信があった
不可能だと言う科学者がいたらそれは無能なだけ、自分が出来ないから他人に手柄を取られたくない能無しの戯れ言だ
その証拠に『ナノマシン』は開発を出来た
そして正式な第一号
式守 紫苑、彼女が第一の被験者だった
銀色の魔女はナノマシンの副作用により髪が灰色になった事にあった
元々色素が薄かったので本人は気にしていなかったが
そして2つめ
『マニギアード』だ
ロボットが出来ない理由もさっき言った通り、無能なだけ
一歩、歩いたらミンチになる
当たり前だ、固定された椅子に縛り付けられれば子供でも分かる。衝撃で叩きつけられる
日本だからこそ出来る事が多かった
特有の技術をふんだんに使いマニギアードは作られた
昔よく言われた『戦車で充分』
人型である必要はない?
ボクはそれを聞いて、よく笑った。じゃぁ何故?戦闘機が別にあるんだ?
戦車を飛ばすのが一番良いじゃないか?
当たり前だがふざけていっていた
適材適所を自分の都合で言う科学者が多かった。人型である意味を理解していれば言わない一言だ
人型なら手があって構えを取れば何でも使える、高さも取れる
昔から大きい人型は恐怖と神聖の象徴だった
日本は特にロボット大国になりつつあった
ロボットの大変な所は歩行だ
慣性制御、地形の把握、姿勢制御
それが一番の問題点だった
プログラムしても付加が大き過ぎた
そこで『人間自体をCPU』にする事にした
人間は実に多くの事を自動的に行っている。歩行、周囲の確認、地面の変化に対応、立つ、距離感
人はそれ自体が高性能なのだ
そのまま利用しようと言う事になった
ナノマシンを調節して生体電気を読み取れるようにした
被験者として第一の機士候補
式守 紫苑
彼女の血液を使用しナノマシンの投与をした、副作用として髪の色素が変化し銀色になった
そして『シルバーウィッチ』のナイトとして、あの侵略を阻止したのだった
そして目が覚めた
「懐かしい夢を見たものだね」
「何?起きたの?」
銀色の魔女がいた
「髪、すまなかった」
「いつの事を言ってるの?もう気にしてないわ」
本当に気にしていない、そんな態度
「それに蒼騎に『お姉ちゃんの髪って綺麗だね』って言ってもらえた時から、むしろこの髪で良かったとすら思ってるわ」
紫苑が救って溺愛している蒼騎という少年の事を話す彼女はとても楽しそうだ
彼にベッタリくっついている彼女は幸せそうだった
彼女は幸せになってほしいものだ
これまで国に多大な貢献をしているし、日本自体を救ってる
ボクは機士達のためにガンバらないといけない。人体実験に等しい事をしているんだから、命を生かす義務がある
「機士達は絶対に生かす」
口に出し、心に刻みつける
変人と言われようが構わない、敵から守るためにあらゆる研究をする。そう決めた
読んでいただきありがとうございました