28 軍属生徒会~機士団~
なんかしたっけ?
団長
実習…戦闘…?
どうしてこうなってる…
二人の上級生に前後を挟まれて移動している
「『ゼロ』はいるか?」
見知らぬ男が作戦室に入ってきた
ゼロって誰?と思うと…あっ!俺じゃん、初戦に頂いた不名誉な二つ名
コツコツと寄ってきて
「これから審問をするので同行してもらえるかな?」
ざわっ…
「蒼騎さんは悪いことはしていませんよ」
彼女…このはが弁護してくれるけど
「あぁ~違うんだ、一昨日の事で必要な事をやってもらいたいだけなんだ」
これを言われたら引かざるをえない
と言うわけで歩いてるけど…
ギアを切り刻んだのがダメだったかな?最後の言葉か?刀?カスタマイズ?
思い当たる事が多すぎて頭痛がする
「ここだ、入ってくれ」
うわぁ…入りたくねぇ~と思ったら御丁寧に開けてくれる
諦めるか
「やぁ来栖君、先日はギアの鎮圧に協力してもらってありがとう」
誰?
「私達は学園が自主性を尊重し構内で自治権を任されている、学生による機士団機関だ」
その隣の秘書っぽい女の人がさらに言うが…誰?
「まぁ~混乱してるだろうけど、簡単に言えば生徒会だよ」
あぁ~成る程
ここからはトントン拍子に進んだ
実習戦闘中に戦闘用の武器を装備し暴走したギアを教官の許可のもと切り刻んだ…言ってて心配になる
「ありがとう、手間をかけさせて悪いね」
「いえ、何か書く事があるかな…とは思っていたので」
なんと言うか親近感のわく、砕けてていい人っぽい
「団長、そろそろ…」
…会長?隣の秘書っぽい女の人が…団長!?
「えっ?あの団長って」
ニヤリとイタズラ好きそうな笑みを浮かべている前の男
「私が機士団の団長…つまり生徒会長を勤めさせていただいております。
黒羽 刹那と申します、以後お見知りおきを…来栖君」
書記だと思ってた…
人は見かけによらない良い典型だ
「アレ?黒羽って…前年度の優勝者でレイブン?」
この学園祭…武道祭はテレビで放送される。ロボットバトルの中継だ
学園祭もちゃんとやるけどね
去年は学園の見学ついでに来たし
その時の優勝者だった気がする
「中継を見たんだね、あの時の相手は皆弱過ぎたからね」
周りの人達が顔をピクつかせる
「あぁ~すまないね。ここにいる殆どの人は、あの時の相手だったね」
爆弾発言もなんのその、それだけの強さを持っていると言うことだ。空気読めないだけか?そんな事はないだろう、弱いヤツには興味がないパターンかな?
「でもね…来栖君の様にカスタマイズが進んでいる者は、私を含めても少ないんだよ」
情報を知られている?いや、アレ経由でバレたかな…
「神谷博士ですか?」
確信できる笑みを浮かべる団長
「話が早いね~、先日のデータを見て私達と同レベルと思ってね」
買い被りすぎだと思うけど…
神谷博士…またアンタか!
「いえ、まだまだです。相手が弱かっただけですから」
「おぉ~!良いねぇ、ますます気に入ったよ。そうだ機士団に入らないかい?」
「団長!思い付きで行動しないでください!」
秘書っぽい人が相当慌てている
大変な事なんだろう
絶対にイヤだ…
群れるのが嫌で少数精鋭な機士学校に来たのに所属とか…
「一応本気だから考えておいてくれ、それじゃ要件は終了だ。良い一日を」
思い出してもめんどくさい
やっと帰ってきた
「大丈夫でしたか!?」
このはがパッとよってくる
「切り刻んだギアの報告と機士団の勧誘で済んだよ」
「「「「えっ?」」」」
クラスから響いた
何か変な事を言ったか?確かにギアを切り刻んだけど…
「…蒼騎が…機士団に入るのか?」
空が今まで見た事がない位の驚愕の表情をしてる
「めんどくさいから断っておいたけど…」
「「「「えっ!?」」」」
またか?いったい何がそんな反応されてるんだ?
「蒼騎?機士団に選ばれるのは名誉な事で…強い人しか入れないんだよ?」
「そうなの?てっきりめんどくさい仕事を押し付けられまくると思って拒否したけど…団長?は諦めてないみたいだったけどな」
口開けたまま全員が、とうとう黙った
凍りついた時が溶けたら話しまくった
「団長推薦!?」
「団長ってレイブンだろ!?」
「この時期に機士団って最速?!」
教官が来るまで話は続いた
「めんどくせぇ~…」
生徒会って色々しないといけないし、書類?とか…
「ははは…蒼騎らしいよ」
陸は苦笑してるし、皆も同じ感じ
ギアの訓練中でも思わず漏れる不安
遠回しに『君を機士団生徒会に入れるからね』って言ってるようなもんだったし
アレ?何だあの黒いギア?
手を振ってくる
「やぁ~来栖君」
来たぁぁぁぁあ~!団長が職権濫用なされている、一応訓練中だからね!
「申し訳ないです、訓練中なので…」
逃げ…られなかった
機士団のギア6機に囲まれてしまった
「まぁそう言わずに」
声は笑ってる、予想されてたか…
「明日、実習戦闘を予定しているんだ」
メッチャクチャ嫌な予感しかしない、冷や汗を流しながら生唾を飲む
「君も入ってるからよろしくね」
イヤだぁぁぁあぁ!!!
拒否権は存在しない、と言うよりここまで強引に来るとは想像してなかった…マジか
「はぁ…レギュレーションは?」
「1対1とバトルロワイヤル、どっちが良い?」
決めてないのかよ!ハッ!やられた!?『予定しているんだ』嫌々過ぎて判断力が鈍ってる
コレ俺が決めたことになってるよね
バトルロワイヤルだと6対1になるのか?
1対1だと6連戦
どっちも嫌すぎる…鬼か!
唸ってると助け船?として
「バトルロワイヤルの場合は君に集中する事はないから安心してよ、なんなら皆を瞬殺してくれても良いし」
精鋭中の精鋭って聞いたことあるのに無理だろソレ、それに雑魚に集中するのは基本中の基本だし…やっぱり俺に集中するんじゃねぇか!?
「それとバトルロワイヤルならパートナーを呼んでも良いよ?」
このは!?…アリか?ありだな…
「じゃぁソレで」
思わず即決してしまったけど
「良かった、教官には伝えておくよ」
ギアで囲むとは卑怯なり…団長め
急いで連絡を入れる
「このは…ゴメン、急遽だけど明日実習戦闘のパートナーをしてほしいんだ…」
嫌がられたら仕方ないけど一人でがんばろう
「機士団の関係ですよね?私で良ければ微力ながらお手伝いします」
良かった…
そしたら教官からメッセージが来ていた
以下2名を機士団合同実習戦闘を行います。
来栖 蒼騎
玖条 このは
午後はタッグの練習を特別に許可します。
…このはに拒否権無かったな
「ごめん…このは」
「一緒にがんばりましょうね」
本当に良い彼女だよ
午後の練習は思いの外、順調に進んだ
二人の動きに慣れてると言うのもあっただろうけど
こうして明日への準備は整った
読んでいただきありがとうございました