閑話休題6 愛?AI?アイ?
おせっかい?
飛躍した?
まさか?
充分に発達した科学技術は、魔法と見分けが付かない。昔の人は良い事を言う
「このはの料理は魔法だな」
マジで美味い
ほぼ完全に料理はさせてもらえてない
「がんばりました!」
つい沈黙してしまう
アイツ等が変なこと言うから…
空と陸が肩を組んでくる
「ん?どうした?アドバイスは無ぇぞ」
大抵こう言う時は悪知恵が欲しいときにくる
「違うんだな~」
「今日は俺たちからアドバイスがあるんだな」
なんの?
「告白大作戦だ!」
ガクッ…想像がついた
毎度お馴染みの…と今日のは違う気がするのは何故だろう?
「『見てるこっちが焦れったいから早くくっ付けバカヤロー』だそうです。クラス一同より」
…陸の一言で固まった、皆からそう見えていたとは
「安心しろ…裏はとってある。玉砕は無い」
急にキリッっとした顔で言ってくる空、どっから裏取った…
「情報源は?」
「明かせないよ、情報提供者を守るためだ…蒼騎から」
「俺かよ!」
俺が情報提供者を狙うって…
「蒼騎、安心しろ。このはっちはキミにベタ惚れダゼ!」
「そうそう…鬱陶しいから早く付き合いなさい」
こっ…コイツら…
もう一方では
「このは~」
「このはちゃ~ん」
雪ちゃんと千花ちゃん、いつもと何か違うような二人
「どうしたんですか?」
フフフ…と二人で笑って捕まえられた
「観念しなさい」
「お縄につくときよぉ~」
…何か悪い事をした記憶がありません
「そう!何も貴女はしていない!」
表情を読んで雪ちゃんに、ビシッと言われた
「観念して蒼騎君に愛の告白をしようねぇ~」
愛の告白ですか…
「えぇっ!?告白ですか!?」
私が…
「私達が焦れったいからってのもあるけど…二人には、幸せになってほしいからね」
「そうだよぉ~このはちゃんが告白しないなら私が貰っちゃうよ~」
「ダメですよ!蒼騎さんは私のです!…あっ」
二人の微笑みが怖いです…
「『私のです!』ならちゃんと捕まえておかないとね~」
「そうだね~明日はちょうど休日だし告白出来なかったら罰ゲームでもしようね」
こんな背景があり…追い詰められた二人
ここだ!
「「あのっ」」
重なった…
「蒼騎さんから、どうぞ…」
二人とも雰囲気が違って調子が狂うよな…
「あの~…さ?、今まで言わ言わなかった事があるんだ…」
「はい…」
どことなく二人が緊張しているのがわかる…覚悟を決めろ!俺!
「ずっと…す…す…」
「私も蒼騎さん大好きです」
崩れ落ちた、先に言われた…
「俺が言いたかったのに…」
ふふふっと笑われちゃったけど
「大好きです。もう我慢しません」
ギュッと抱き付いてくる
「…ん~なんかこうしてみると、いつもと変わらない気がするのはなんでだろう」
俺も笑えてくる
焦れったいから早くつっくけバカヤローというのも分かる気がした
「改めて…言わせていただきます。私、来栖 蒼騎と結婚していただけますか?」
「はい、喜んで」
凄く幸せそうなこのはだけど…アレ?
「蒼騎さん?いきなり『結婚していただけますか?』で良いんですか?私は構いませんが」
このはが苦笑してるど可愛い
「うん…ゴメン間違えた。俺の彼女になってください」
言葉選んで考えすぎたら、いつの間にかプロポーズの言葉になってました…
「イヤです、お嫁さんが良いです」
このはが悪ノリしてきてる
「そうか…ちょっと早いけど」
グッと抱き寄せるとこのはが目を瞑る
「おでこにチョップ」
「あぅ…」
お嫁さんは我慢していただこう、まだ学生だし
「今は彼女で許してくれませんか?」
「チョップした所にキスしてくれたら許します」
顔を真っ赤にして実行しました
恥ずかしかった
ぶっちゃけると…うん、幸せです
何か変わったか?…いつもよりぴったり抱き付かれたり、スキンシップが多い位しか変わらなかった
『マスター』
「どうした?」
端末から聞こえてくる
『本日の整備はいかがいたしますか?』
忘れてた…
「私も行きます!」
思いがけずお出掛けになった
バスに乗ってて最近思うこと
「バスって遅いな…」
「当たり前ですよ~ギアと比べちゃ可哀想ですよ」
ギアは慣れるとスピードが変わるしな
ガレージでリンドブルムを見てると、そう思う
「オルニウム化してない箇所ってあったっけ?」
『背面、及びバッテリー、ディスプレイやカメラアイ等です』
背面…はどうしようもないとして…
「バッテリーとディスプレイをやっといてくれ」
『了解しました』
カメラは設定に時間掛かるし後回し、昔のディスプレイは液晶と言ったらしいが衝撃に弱く、今では使われて無い
極薄のELディスプレイが主流で使われている
オルニウムが様々な物に混ぜる事が出来ると分かってからディスプレイは変えたいと思っていたので調度良い
シートに乗り込んで可動確認中
『マスター、御婚約おめでとうございます』
ガクッ…思わぬAIからの精神的な攻撃を受けた
「いや…結婚しないからな?言葉を間違えただけだからな?」
『冗談です、私も大事にしてくださいね』
…えっ?冗談言うの?『私も』って
微妙に波乱の予感が…?
『可動率、電導率に問題はありません』
「よし、じゃぁ帰る」
休日はゆっくりしたいよね
昨日はただでさえ面倒なヤツの相手をさせられたし
「帰ろっか」
「はいっ」
このはが腕を組んでくる、隠す気はないらしい。このはの性格はTPOをわきまえてるし…今日は休日だからだろう
シルフィードは銀色だったフレームは白く変わっている、俺ほどは変えてないけどカスタマイズは進んだようだ
俺のポイントは異常と言うことらしい
「なに食べたいですか?」
このは…俺を甘えさせる気満々か?
紫苑姉さんを思い出すよ…
「あら?仲が良いわね」
ビキリッ…カクカクと首を向けると姉さんがいた
「はいっ、彼女ですから」
…火花が見える、気のせいだと思いたいが…星だった
「蒼騎…私を捨てるのね…」
うわぁ~…めんどくせぇの来た
「姉さん…それ人聞き悪すぎるから止めない?」
「私を弄んだのね!」
付き合ってられん
「このは、行こっか」
「御飯は何にしましょうね~」
腕を組んで、去ろうとした瞬間
「ごめんなさい!ごめんなさい!許してください!」
紫苑姉さんは即行謝ってきた
俺の扱い方を間違えると絶対に拒否される、分かってる姉さんだからこそのタイミングだろう
「付き合うことにしたんだ」
「一緒に住んでなかったっけ?」
…またややこしい事を言う
「同棲ですね!」
「寮の前からね」
このはが膨れてるけど気にしたら負けだ
「蒼騎、このはと喧嘩したら私の家に来て良いからね」
「はいはい、ありがとう。またね」
いつもの倍以上疲れた…
読んでいただきありがとうございました