22 女の闘い
モニター観戦
このはの闘い
戸惑い
午後は別館ホールのメインモニターとサイドモニターで観戦するらしい
実習戦闘を見るのは初めてだ
第一回…という名の選抜に出てたし、今回が正式な第一回実習戦闘
このはが出るけどちょっと楽しみだ
スポーツは見ないけど、こう言うのは好きだ。子供の頃アニメで見たロボットバトル、でもこれは現実だ
6つのモニターに参加者のギアが映る
パッ、シルフィード
パッ、ティターニア
パッ、ハーピー
パッ、アンドロメダ
パッ、テティス
女の神様とかばっかだな…
って言うか参加者が女子だけだな
そして最後に切り替わった瞬間唖然
「…なんだあのピンクは」
文字通りの全身ピンクのギア、自己主張が半端ない。昨日の休日に染めたんだと思う
「めっちゃ狙いやすそう…」
ちなみに…このはじゃないよ
普通に白銀色だったし、俺もやろうかな…ピンクじゃないけど
「俺の時もこんな感じだったのか?」
見てないのって気になるよね
「黒いのは気になったな、選抜の実習戦闘だったし興奮はしてたよ」
「確かに緊張感はスゴかったね」
「蒼騎君が一番映ってたよ?」
「実質一人勝ちだったしねぇ」
そうか…
「作戦室に行ってる人もいたけど、あれって?」
「ホールで見たから、今度は作戦室で見たいんじゃないかな?」
なるほどね、作戦室でも見れるらしい。それかホールで見る
最初だからホールでも見れるよってことだったらしい
アナウンスが始まる
「ではッ!正式な第一回実習戦闘を開始いたします。草加部 結がお送りいたします」
あっ教官だ
このクラスの専属の教官、いつも驚きをプレゼントしてくれる楽しい教師だ
カウントダウンが始まる
モニターが5・4・3・2・1
ドーン!
…ビックリした
各ギアが動き始める
「おぉ~今回は皆動き始めたな」
「蒼騎君の見てたからじゃないかしら?」
空と雪が言って驚いた
えっ?他は動いてなかったの?
「前回は蒼騎以外は動いてなかったからね」
「本当に…キョロキョロしてただけだもんねぇ~」
陸と千花の発言で微妙に納得した
だから誰とも遭遇しなかったのか!!
結構探した結果見つけた
あいつら…じっとしてたのか
普通に突っ立ってたし…探しに行けよ!せめて木に隠れるとか!
モニターに変化があった
「おぉっと!ギアが遭遇しました!」
シルフィードとテティス
瞬殺、と言うにふさわしい
シルフィードが物凄い速さで探し飛び…跳び回りハーピーと遭遇
飛ぶように移動
剣の連撃、シルバーウィッチに似た動作。見てくれたみたいだな
息抜き…と言うより肩の力を抜いてほしくて送ったつもりだったけど
「まさか実践するとは」
俺の回りの4人が振り向く
「さっきの…アレ見せたのか?」
空の質問に頷くと
「だからシルバーウィッチに似てるのね」
「蒼騎君ならあり得るわぁ~」
女性方…ジト目で見ないで
「さすが蒼騎、自分の彼女に甘いね」
「彼女じゃないし!このはに悪いわ」
陸に反論するとガバッとさっきを上回る速度でこっちを向かれる
「このは…苦労するわね…」
「同情しちゃうよぉ…」
スッゴく疲れた顔をしている女性陣
何故だ…おっと?シルフィードが走り出した
速いな、ん?退いた?おっ?
閃光が過ぎて撃たれたのが分かった
撃つ前に予知した…すごいな
がんばれよ…
一方で
実習戦闘が始まった
蒼騎さんを思い出す、皆が動いていないなか1人だけ攻めていた
「私も強くならなくちゃ」
『応援します』
私のシルフィードに搭載された戦闘支援型AI『ノルン』が応援してくれる
ノルンは木を支えるイメージで付けた名前でノワールの妹のような存在
実習戦闘では使用の許可はされていない、使えたら卑怯すぎます
走り始める
そして蒼騎さんが送ってくれたデータ
シルバーウィッチの動作の映像
きっと緊張してる私を気遣ってくれたんだろう
いつも優しくて、暖かい存在
さっそくシルバーウィッチの動きを真似してみる。軽やかに、先読みし、飛ぶように
周りの状況を見ながらイメージ
剣を構えて走る、細心の注意を払い
見つけた
蒼騎さんもこんな感じだったのかな?
一瞬気づくのが遅れたギアを飛び越えるそして一閃、二閃、三閃
切られたギアが倒れていく
緊張してる、思い出す蒼騎さんは倒れた音で他のギアがよってきたと
離れる、もっと早く、もっと速く
「飛ぶように速く…」
口にしていた
キラリッとして反射的に飛ぶ
撃たれた
弧を描くように走り抜ける
次々光る銃口
避ける、避ける、避ける
当たるわけにはいかない
3度切った程度じゃ蒼騎さんに追い付けない
もっと早く…飛ぶ!
銃撃が止んだ
飛んだ事で見失ったでしょうか?
それとも狙いを定めている?
関係ない、私は倒す
敵のギアが違う方へ向いた、見失ったで正解だったみたいね
ギアの横へ着地して脚へ1閃
武器を切り落とし、頭部へ銃で一撃
倒れて続けざまにギアが現れる
別方向に向かって走り出すギア
逃げているわけじゃない、その先には別のギア
追いかけている
状況判断は基本、倒せる敵から倒す
蒼騎さんのように…
「行きます」
追い打ちして両膝を切る
低い姿勢のまま一周回る、そこから頭部へ繋ぐと前からギアが向かってきた
スピードを活かして剣を避ける
避けつつバンッバンッバンと撃つが想像より反動がある
「クッ!負けない!」
自分に言い聞かせる、ポイントをいっぱいかけちゃったし…ちょっと失敗だったかも…
弱気になっちゃいけない!
相手も銃を持っていた。私も相手も銃撃が上手くない、牽制目的
それでなくても近ければ当たりやすくなる、さっきのように走り出す
撃ってくるけど当たらない
いや、左腕の装甲に1発だけ当たった。まだ動かないほどじゃない
何故か当てた側が驚いている
その後ろからギアが現れて攻撃したらしく倒れていった
唖然とした
「ピンク…」
凄く目立つ派手なギア…
基本的に色は自由に付けられると言っていたけれど…
「すっごくピンクです…」
と思っていると剣を構えて走ってきた
「うわっ、来た」
見事な突進、そして通りすぎてコケる
………攻撃していいんだよね?
足元に倒れてるピンクのギア
頭と両肩と脚を5ヶ所切ったら終了のサイレンがなった
「なんつ~最後…」
哀れピンク、俺みたいに吹っ飛ばずコケるとは…
アレは俺よりカッコ悪い
読んでいただきありがとうございました