17 自分の武器
ミカエルはイケメン
身を守る術
刀って良いよね
午前のギアを使った倉庫掃除が終わり、ミカエルとグラムを加えて昼食をとった
ミカエルはすぐ馴染み、グラムも楽しそうだった。そしてギアのアームの白熱
皆に飽きられたのは言うまでもない
操縦席のアームはギアの腕と連動している
握りの部分で手の開く動作と手首が動かせる
手首の動きが反映されて振り切らなくても、剣などが振れる柔軟な作りになっている
「ソウキ、君はまた倒れていたね。大丈夫かい?」
ミカエルは気遣いできて女の子にモテそうで羨ましいわ
「ナノマシンのお陰か問題ないよ」
次は武器訓練らしい
生身で武器を扱えるようにする
この訓練は機士が事件にあったのがきっかけだったと言う。マニギアードの奪還事件が起きた、その時に機士が襲われ大ケガをした。身を守る術が無かった、だから乗らなくても守る為に武器を覚える
武器庫から模擬刀を出す、ガレージから出ると続々と武器を持った学生が歩いている。暴動直前ってこんな感じなんだろうなシュールだ
ガレージの先に訓練棟がある
それぞれ武器を出すと振り始める
…手を切る動作をしてみると何も付着しない
アレ?塗料つくんじゃ?
「もっと力を入れないと染み出ないわ」
いつのまにか教官が後ろに立っていた
まずは教官が武器を見聞していた
俺は刀、蒼月流剣術
俺の名前はここから一字貰ったと聞いた
玖条家にお世話になっている時に習った剣術。剣道とは違い剣術と柔術をベースに作られた
子供の俺に刀で秘奥極伝してくれた正統後継者だった兄弟子には感謝している
見聞が終わると教官が武芸未経験者を連れてグループを離れた
他は自由練習らしい
おのおのある程度離れて武器を振っていた、…どうせなら組み手がしたい
「このは」
「はい、組み手ですね?」
心が通じあってるわ…と冗談はコレくらいにして道場っぽい感じだとスイッチが入る
「空、スタート頼む」
このはの武器は片刃の剣
「始め!」
同時に剣を振り進む、間合いを詰め肘を押さえて剣を止める。体を回し背撃を放つ、このはに先読みされて飛び退かれ直後に剣が振るわれる
刀で受けこのはの腕を絡めとる、直後に足を払って押し倒し掌打の寸止め
左手がこのはの頭の下にある
右手は腹部に寸止め
「また負けちゃいました…」
二呼吸の出来事
周りが静まり注目されてた。ん?何かしたか?自由練習だよな?見回すと視線は散った
倒れるこのはを起こす
「ソウキ、二人は息ピッタリだね」
ミカエルが寄ってきた
「やる?」
「絶対に無理」
苦笑しながら言われた
それからは流水組手を行った
さっきのは実践、流水は蒼月流では先読組手とも言われてた
スローで攻守を同時に行うんだけどコレが意外と難しい。中途半端になりやすくて、攻撃に専念すると守れない。守ると攻撃出来なくなるっていう
レベルが違いすぎてもできない
空と陸は少しだけ出来る
ただ武器を振ってても強くなれない
武器も同じか使いこなせないと組み手が出来ない
流水組み手を1時間だけやって、後は座ってた。練習は休憩も大事だけど、全くやらない時間も重要だ
休むと回復は違うと兄弟子に教わった
サボりと勘違いするヤツはそのレベルに至っていない
当然サボりなだけもいるけど、そういうのは全く練習すらしていないから見分けるのは簡単だ
大抵は武器を振ってたが慣れるためには良いんじゃないかな
刀は以前使っていた物より軽いし軽い分は刀身の重量配分が重要
刀を使うときは円運動に近く先に若干の厚みをつけないと振り切れない
模擬刀も同じ配分だから軽く振るだけで分かる
試し切りしたい
コレだけ聞くと超危ないヤツだな
切れ味って重要よ?オルニウム製は刃こぼれしないし失敗作は刃を潰した先の鋭い棒と大差ないし
隣の真剣を見て思う
剣とかなら力で切れるけど、刀は切れないからな…
「教官、試し切りって出来ませんか?」
足を運んでいた
「え~っと、あのルームを使っていいわ。設定で人形が出てくるから」
指差した先に扉がある
武器見本室の隣、シミュレーションルームを使わせてもらえた
入ると電気が人感センサーで勝手に点く、部屋には円が書いてあり部屋の角にパネル
近距離と遠距離、剣と銃
近距離、剣と選択すると中央に向かってくださいの音声…
中央に行くとカウントが始まる…スタートするとバシュンと四方の穴から人形が出てくる、順番に切れって事らしい
誰も使わないわけだわ…つまらん
切れ味の為だと思いながら切るけど、切れ味は良すぎた
多分刀を選んだら全部がこの切れ味
軽く振るだけで刃が人形に吸い込まれていく
スパッってレベルじゃない
世界が違ったら魔剣だろコレ…危なすぎる、ご丁寧に血溝まであるし
神谷博士…本当にスゴいわ
変態って言われるわけだわ
改めて天才に驚愕した瞬間だった
刀のあまりの切れ味にうっとりして出ていったら道が出来たのはへこんだ
読んでいただきありがとうございました