13 初めの一歩
やっぱり美味しいです
本仕様のシェルウェア
怒られました…
朝も、このはのハヤシライス美味しいです
課題の確認の為に30分早く出た
くっそぉ~…美味すぎて2杯も食っちまった、単純に胃に優しいから食いやすいんだよな
隣で立つこのはが満足気にニコニコしながらバスに揺られている
今日はギアのカスタマイズの完成
予定…
自分のガレージに着くまでが地味に不安だ、ギアのジョイント部分。
フレームと違って分解する場所が多い
覚悟を決める、プシューと開く
終わってねぇし!右手の完成一歩前だった、ほぼ終わってた
すぐに完成して右手の握ぎりの自動点検…問題ないらしい、良かった
昨日の課題終了、と同時に作戦室に移動しようとした時
端末が鳴る。ピコン
メッセージ内容
昨日の課題の確認が終了次第、シェルウェアを装着し搭乗、そのまま待機せよ
へっ?マジで?
備え付けの更衣室でシェルウェアを着ている
不安がドンドン大きくなっていく
まさかいきなり実戦とか無いよな?
アニメじゃないんだから『乗りました、動かせます!』なんて現実には不可能だ
まさかどこかの国が攻めてきたから乗って待機せよ?
シェルウェアを装着し終わり、専用のヘルメットをつける
真っ黒で見た目が悪役だなコレ
バイクに乗る時のヘルメットとは少し違う
フルフェイス型だが比べ物にならないくらいスリムだ
ほぼ頭部にフィットしていてかぶるだけでロックが可能
内側のバイザーは機体の情報を反映するらしい
このヘルメット『オブジェクト』は、かぶると顔は見えない
オブジェクトを装着中はARによる空間にデータが拡張して表示される
これで完全な搭乗装備
完全防備だな…こりゃ
このはも着替え終わったみたいで…なんと言うか、強そう
女性は逆に真っ白で眩しい正義っぽい
体の線は思ったより見えない
シート作ってる時は製作用のグレーで見本タイプだったらしいのと、仰向けだったし意識しすぎてだけっぽい
「蒼騎さん真っ黒ですね」
「このはは真っ白だね」
普通に喋れるみたいだ
ギアの前に行くとリフトが上がり搭乗口に乗り込む
カスタマイズは成功だな
最高の座り心地で少し落ち着く
ハッチがしまり、起動が開始される
自分より前が文字で埋め尽くされる
その間、10秒後に暗転
色が生まれる。席より前は左右ともにガレージが見え、はじめて実感する
俺はギアに乗った
動かしてはいないけど、確実に乗った。視界が涙でボヤける瞬間、揺れる
ギアが沈み始めた、下の空間はギア運搬通路だ、ギアが寝かされスゴい早さで運ばれる。5分後
起き上がりギアが上がって、徐々に前が明るくなっていく
地上に出るとギアが並んでいた
搭乗した者から運搬されたようだ
それから不安に感じていると
『マスター、精神が不安に感じているようですが大丈夫ですか?』
ノワールに心配されちゃったよと苦笑いしているとギアが並びきったようだ
教官のギアが歩いて通信を飛ばしてくる
「メッセージを見てはじめて、ギアに乗り不安に感じている人は多いと思う。」
ゴクリっと言う音が聞こえた気がした
「今日はギアを動かして歩いてみようか」
気が抜けた、今までのパターンで言うといきなり『実戦を経験してみようか』だと思っていた人は多いと思う
歩くだけ、張り詰めた緊張の糸が緩みきった
そこからは順調に一機一機恐々と、一歩…また一歩、歩き始めた
イメージ、単純な言葉ではあるが体の中では様々な現象が起きている
動きをイメージすると実際に動いていなくても生体電気が流れている。分かりやすく言うと『思ったより高く飛べない』である
想像でも脳は反応している
イメージをオブジェクトで拡張する
歩く、歩く、歩く
ディスプレイは鮮明に映る
5分程度しか動かしていないけど、ほぼ普通に動けている。走りたくなってくるが具体的には、走るより飛ぶに近くブースターが付いていて補助されている
多分失敗する…と前方のギアが倒れていく、手は伸ばせない
教官のギアが飛んできて支える
「キツくなってきた者から休憩してください。動けるものはそのまま移動してください」
前方のギアはギブアップのようだ、脳が疲労してくると鈍くなっていって前のギアのように倒れる
空想や想像好きには有利と言えるかもしれない
教官のギアの動きを思い出す…
「ストップ、まだダメよ。うまく動けているけど、もう少し早く動いて慣らしてみて」
ブースターが作動しかけたらしく止められる。早く動いてみて良いのか…
気持ち一瞬のラグがある
これを計算して先読みイメージをしないと早く動かせない
最初のギアは全部が同じ性能で構造は少しずつ違うが性能は互角
昨日のカスタマイズによって多少は変わるかもしれない
もしかすると歩くのに苦労していないのはジョイントのカスタマイズが関係しているかもしれない
よし、行ってみるか
一度止まって走り出す、ゆっくり確実にスピードを上げていく
飛べる、思った瞬間ブースターが起動した。ヤバイ!!シートに押さえつけられて思う、ところがシートは前に倒れる
飛ぶのに合わせて変化するシート、ギアに乗ってビックリする事だらけだ
実際にはジャンプしただけ、無事に着地できた。想像以上で内心ヒヤヒヤした
「コラッ!もう少しゆっくりよ!危ないでしょ」
後ろにシルバーウィッチがいた
「ごっごめん!姉さん…思ったより動いちゃって…」
紛れもない本心だった
人体と違い、想像通りに動かせてしまった
読んでいただきありがとうございました