10 鉄は熱い内に打て
怪しい視線
意外性のあるカスタマイズ
未経験の不安
彼は不思議だ
紫苑の知り合いの青年と言うことで興味深げに操作をモニターしていた。
「変わってるね」
ボクも変わってるが彼も独特な考え方をしている
マニギアードは性格が表されやすい
着眼点が違うのだろう
新しいオモチャを見つけたように彼が操作するモニターに集中する
よし
コレは大事だと思うんだよね
自分が乗るんだから『座り心地』は大事だよね
シェルウェアを着てシートに座って座席をカスタマイズしている。
プロテクト付きのギアに乗るときの服だ
このシェルウェアは全身を覆う補助骨格。首から腰のシェルで生体電気を感知する事が出来る
この生体電気を増幅して読み取り、ギアにフィードバックし直感的に動かせるようにしている
インナーウェアの上にシェルウェアを着込む、これが搭乗時の格好
シートに座るとシェルウェアに合わせて背面がボコボコと隆起する
心拍数や緊張度を測っている
搭乗する上で長時間操縦する事を考えてリラックス出来た方が良いと考えた
よって搭乗席をカスタマイズした
そして安全性も上げられる
200kgは搭乗席周辺に800kgは右腕と脚部全部のジョイントに使う事にする
チタンとマグネシウム、オルニウムで合金にする。軽量化が第一目的、電磁パルスの遮断
「良い感じじゃないか?」
自画自賛、使いきった
このはも同じように使ったみたいで隣にあるシートにシェルウェアを着てリラックスしている
水着に近いピッタリしたインナーウェアなので、シェルウェアを着けているとはいえ体の線が隠せない。
意思の力で視線をそらすとギアのカスタマイズ設定が同じだったのを見て聞いてみる
「俺の真似しちゃって良かったの?」
「大丈夫です。理に叶ってますから真似しちゃいました」
乗り心地は大事です。疲労はしないに限る
今日は午前中いっぱいはガレージでカスタマイズする授業なので籠っていても良いのだ
今は座ってるだけだがギアは分解されていく。今日中にはパーツが完成していき、順次自動で換装されていく
『マスター』
パネルから聞こえてくるリンドブルムに搭載されているAIが話しかけてくる
いつまでもAIじゃ呼びにくいよな
「あぁ悪い、名前付けてなかったなノワールって付けたいんだが良いか?」
『えっ…ありがとうございます、名をいただけて光栄です。』
ん?用件違ったか?
『では、搭乗席のデータを収集が終了しました。材質や色を選択後、ガレージを離れ昼食に向かうことをおすすめします。完成はお昼を過ぎる予定です。』
そっちか、シートの座り心地が良くなってデータが送られる。疲れは溜まりにくいだろう
途中で動き回る指示があったが操作中のサンプル動作をデータとして組み込まれたようだ
動いても体がブレる事がない最高品質のシートになる
これもチタンを主成分にニッケルとオルニウムを加えておいた
合金は搭乗席を作る時にリストのオススメで表示された組合せを選ぶ
形状記憶合金と同じマテリアルらしい
ショック吸収と疲労の軽減効果ありと記載されていた
シートの周りに強化バーが入る、搭乗席はギアの腰にある。重心を考えた作りになっていて人に近い感覚で操作出来るようになっている
改造次第では胸部に搭乗する事も出来るが、武器を使用時や移動時にかなり振動や衝撃が来るので今はやっている人はいない
しかし…モニターを操作してると、このデータ量は異常とも言える
博士は本当にスゴいとしか言いようがない
痒いところに手が届いている
オルニウムを加えると特性が変わったりする。それを試したのだ、結晶を熱や冷却で精製すると特性も変わる
博士は超重要な人物だ
更に講義の組み方が絶妙と言える
ギアを選び触れて興味が出た所に好きなようにさせる
鉄は熱いうちに打たせる
時間をおいて冷める事を極度に嫌った結果だろう。機士においてマニギアードはイコールで、それほど大事と言うわけだ
モニターを操作してると武器の項目を操作してみる
こうして見ていると思う事は
見る所がありすぎる
に尽きる。見る所はいっぱいあるが知識が足りなすぎて宝の持ち腐れ感がある
ジョイントに重きを置いたカスタマイズをしてしまったが大丈夫だったか心配になってしまう…
経験してみないと分からない事は多い
だが失敗から学べる事は多く、どんどん考えれるようになっていく
自分の弱点を知っている事は大事だ
読んでいただきありがとうございました