津鏡国一!
妖刀、夢幻黒煙一閃が本当に折れている。国一、八郎、白玉、そして黒玉も異常な強さを見せる国正に一瞬凍りついた。
《なんだぁ?国一よ!この木刀みてーな刀は?こいつには、どんな刀神が宿ってるんだ?!黒煙…って事は…つまり!けむりみてーな刀か?…国一よ!》
明らかに驚いた表情の国一であったが、その後冷たい笑顔になる。
《⁂一つは当たってますよ。だから見てください折れた刀を。》
妖刀・夢幻黒煙一閃の折れた刀身が暗黒色の煙となり元通りに復元されていく。
《⁂でも…折れた姿は初めて見ましたよ。以前、屋敷ほどの岩を桶狭間で切ったのですがね。傷一つ付きませんでしたから。》
国正は国一の言葉は無視して、あっけにとられている。八郎と白玉を見ると一言叫んだ。
《おーい!何しとるじゃ?早く逃げなさい!邪魔で邪魔で本気になれんぞ!》
国正は叫び終わると歯を見せながら大きな笑顔を見せた。八郎は国正の歯に牙の様な物がある事を確認して驚いた。
《⁂八郎に逃げられてしまうと意味がないんですよね。…仕方ない…か。闇の共鳴!羅刹天……解!!》
国一の刀が闇の輝きを放ち、黒煙が旋風を起こした。顔を隠していた黒い包帯がクルクル回りながらスラリと落ちる。
月夜に照らされた国一の顔を見て皆驚いた。
国一の額に真ん丸の穴があるのだ。その穴からはうっすら黒い煙が出ている。