シバル・ミナギル・オコラレル
ここまで主人公無双ですね。
でも俺tueeeにはならない予定です、おそらく。
「・・・ふん、まだ『花鳥風月のディバイス』は捕まらないのか」
苛立たしげに、女剣士は机を指で叩いた。
「部隊の総力を決して捜索に当たらせていますが、元より『花鳥風月のディバイス』は相当の実力者、しかも今は『アレ』を持っていますから、たとえ見つかったとしても、すぐに殺すのは困難かと」
「部隊の総力を決している、ね。ほーう・・・」
突如彼女は、綺麗な格好をした補佐官たる男の胸にソバットを食らわせた。
「ぐふっ!?」
「お前は『部隊の総力』に含まれていないのか?下らない言い訳垂れる前にお前もさっさと捜索に行ってこい!バカが!!」
いつまで経っても一歩も動かず、自分の横で手持ち無沙汰にしている補佐官を見て、相当頭にきたのだろう。
半泣きになりながら捜索部隊を追って森に入っていく彼を見て、女剣士は不機嫌そうに腕組みをしたまま、椅子に大きく背をもたれた。
これで彼女の周りには護衛役が一人もいなくなってしまったわけだが、元より修羅のごとき眼光を光らせ、かつチリチリと焼けつく殺気を放って人を寄せ付けぬその姿を見て、あえて襲いかかろうとする狂人はここにはいないので、何の問題もないのであった。
「うははは!やってやるぞやってやるぞ!!」
大木を切り崩し切り崩し、テルは道無き道をただの道に変えてゆく。
その過程で、その道程にて一集団が彼の前に立ち塞がった。
「我々は帝国軍実地部隊第六号・マルティナ隊だ!そこを動くな、ディバイ・・・ス!?」
彼らは驚いた。
この男、ディバイスではない。
しかしその手には、まごうことなき黄金の刃が。
「関係ないね!!そして俺は、ディバイス?じゃない!!」
彼らはいかに鎧兜に身を包んだプロの戦士であろうとも、もはや関係のないことであると分かっていた。
何故って、その刃の恐ろしさは、今、まざまざと見せられたばかりだからーーー
「待てい、イカレ野郎!!」
テルが剃刀を振り下ろそうとした、その手を何かが制した。
見ればそこには、長い鎖の先についた手錠が自身の腕を束縛している光景があった。
「帝国軍実地部隊第六号・マルティナ隊隊長補佐官、『沃野のハルス』だ。貴様ディバイスではないとか言ったな、今。・・・ならば何者だ?」
テルはゆっくりと、男の方へ振り返った。
「俺は、新生ウェンズデー・テル!死ぬまで殺してやるのさ・・・!!!」
今回は誰も死にませんでした。
やったぜ。