10.06 北の村から 前編
イヴァール達の開拓地は、森に近い場所にあった。針葉樹が目立つ深い森と、その合間を縫うように流れる川。そして南側には、草原が広がっている。
起伏に富んだ高地の中に、ぽっかりと空いている場所。そこが開拓地だ。それに対し、南以外は小高い山である。三方を囲む山地は、モミや杉のような巨木が聳える森となっている。
そんな山間に開けた土地の中央には、北の山からの清流が南の少し低い草原へと流れていく。もっとも一月下旬の今は、どれも殆どが雪や氷の下だ。
「少し寒いけど、気持ちいいね」
冷涼とした空気を吸い込んだシノブは、愛馬リュミエールを留めて馬上から辺りを見渡す。目の前に広がる開拓地や囲む風景に、なんとなく安らぎを感じたのだ。
木々や草原は、深い雪に覆われている。しかし真っ直ぐに天に伸びる巨木の群れは、シノブがこの世界に来る前に旅行した場所、神話や伝説が残る山奥の観光地のようでもある。
そのことに思い当たったシノブは、感慨深げな表情で目の前の山野を眺めていた。
「開拓も、随分進んでいますね!」
アミィも乗馬であるフェイの背の上で、感嘆の声を上げた。彼女が見つめているのは、正面の開拓地だ。
山に囲まれた土地は、どうやらつい最近までは森だったようだ。それを示すように、辺りには木々が積まれている。それに所々掘り返したままの場所も数多い。
「ああ、話には聞いていたけど、もう家畜も沢山いるんだね」
シノブは集落の周りを眺めながら、驚きの声を漏らした。
集落の近くは、耕地や牧場として整いつつあった。畑と思われる土を起こした場所や、簡易な柵で囲った土地が幾つもある。
柵の中には、既に彼らが好んで乗るドワーフ馬や、牛や山羊などの家畜がいた。これらは、岩竜ガンドがヴォーリ連合国から運んできたという。
ガンドは、ドワーフ達が作った家ほどもある巨大な籠を使って、物資や家畜を運搬しているらしい。もちろん、家畜は魔法で眠らせてからだ。そのため、一度に十頭近い家畜を運ぶことも可能なようだ。
シノブやアミィは、ガンドからの念話でそれらのことを聞いていたが、実際に順調な様子を見て思わず顔を綻ばせていた。
「皆、一生懸命働いていますね。あれは、家でしょうか?」
アミィが指し示す集落の中央では、忙しそうに大勢のドワーフ達が働いている。どうやら、家を建てているらしい。
彼らが働くのは、川から離れた少々高い場所だ。そこには、既に丸太を組んだ家が幾つも建っている。それらは、ドワーフ達の国、ヴォーリ連合国と同じく雪の多いこの地に相応しく、急角度の三角屋根である。
そして、家々の向こう側からは、微かに白い煙のようなものが上がっている。炊事の煙か、それとも雑草でも燃やしているのか。いずれにせよ、それらは開拓者の生活が順調であることを物語っているようだった。
「うん、家だろうね。しかし、雪が多いんだね……」
シノブが呟いたように、十数軒ほど並んでいる住居の屋根には、既に雪が積もっている。
「ここはだいぶ標高が高いですから。たぶん、昨日降ったんでしょう」
今は雪が降っていない。だが、アミィが指摘したように昨晩にでも積もったのだろう。開拓地やその周囲の草原は、うっすらと雪化粧をしていた。もちろん、森の木々も深い雪に覆われている。
「……さて、まずは開拓地に行こうか。とりあえず、道を繋げないと」
広がる銀世界や、その中に誕生しつつある集落を暫し見つめていたシノブは、アミィへと振り向いた。
「はい! もう少しです、頑張ってください!」
アミィの励ましを背に、シノブはさらに100mほどの舗装路を岩壁の魔術で出現させる。そして、風の魔術で雪を退かしながら、ゆっくりと前進していった。
開拓地までは、後1kmほどだ。『光の大剣』を使えば一度で済ますことはできる。だが、ドワーフ達を驚かせてもいけない。ここからは小刻みに進んでいくつもりである。
シノブは、久しぶりに会うイヴァール達の顔を思い浮かべながら、開拓村へと道を伸ばしていった。
◆ ◆ ◆ ◆
村の入り口では、イヴァールとその祖父タハヴォが待っていた。それに、イヴァールの妹アウネや、武器職人トイヴァの娘ティニヤもいる。
どうやら、アウネやティニヤは、開拓団長を務めるタハヴォの側で働いているらしい。シノブは、彼女達とは久しぶりに会うが、どちらも元気なようで安心していた。
「シノブ、久しぶりだな!」
「ああ、八日ぶりかな? 元気そうだね!」
シノブは、彼らの変わりない様子に、顔を綻ばせた。愛馬リュミエールから降りたシノブは、笑顔で待つイヴァールと固く握手をする。
「タハヴォ殿。開拓は順調そうですね」
「全てはガンド殿のお陰だ。集落の周囲に竜の道があるから、防柵も後回しにしている」
シノブはタハヴォの手を握り、順調な滑り出しを祝福する。タハヴォは、そんなシノブに岩竜ガンドと協力しつつ開拓している現状を説明する。
竜の道は、岩竜達が狩場を維持するために作る魔力による結界である。現在、この開拓地の周囲には防壁や柵は存在しない。だが、代わりにガンドが作った竜の道で囲っている。それ故、魔獣など危険な動物が立ち入ることは出来ないのだ。
「聞いてはいましたが、実際に見て安心しました」
領都シェロノワにいたシノブ達だが、ガンドからの念話で概要は知っていた。とはいえ、実際に目にして安堵したのは事実である。そんな胸中を表すかのように、シノブの声は明るく弾んでいた。
「シノブ殿が用意してくれた魔道具もあるから、村の中も快適だ。浄化に灯り、火の魔道具もある。もっと大勢住んでも大丈夫だな」
タハヴォが言うように、開拓に赴く者達には大量の魔道具を持たせていた。
都市や町では、上水道や下水道には、浄化の魔道具が使われている。飲料水を得るためであり、衛生面での配慮のためでもある。そして、ここ開拓地では鉱山開発もある。鉱山からの排水や鍛冶に使う水などから有害な成分を取り除くのにも、浄化の魔道具は必要だ。そのため、シノブはそれらを大量に手配したのだ。
「しかしシノブよ。立派な道だな!」
タハヴォと話すシノブの肩を、イヴァールが景気の良い大声と共に叩いた。彼は、感嘆しきりといった表情でシノブの作った道を褒め称える。
「ああ、シメオンの発案なんだけど……まあ、大勢の人が来るから早急に整備しないとね」
シノブは、苦笑いしながら自身が造った道を眺めた。
シノブが岩壁の魔術で作った道は、幅10mほどの立派な舗装路である。この開拓中の集落には、少々大袈裟ともいえる立派な道だが、いずれここには何千人もの開拓者がやってくるはずだ。ここを起点に、北の高地に数多くの村々が出来るだろう。
それに、その道々にも休憩や宿泊をするための場所が必要だ。街道の周囲には、それらを担う村も作る予定である。
「こちらに来るだけではないぞ! ミスリルに鉄、銅、それに魔力蓄積の結晶もある! シノブ、ここは宝の山だな!」
イヴァールは、シノブとアミィに楽しげな笑顔で説明する。
ここ数日、彼はガンドと共に飛び回り、有望な鉱脈を幾つも発見していた。しかも、ミスリルや魔力蓄積の結晶のような、希少な資源も多く見つかっていた。
元々、魔力が濃い土地には、それらが多く存在するため、不思議なことではない。ただ、そういう場所には魔獣も多いため、開発が困難である。しかし、ガンドの協力もあって本来なら魔獣の生息地であるここを開拓できたのだ。
「シノブ様、あの『フジ』って魔道具、凄いですね! 畑の土も改良しちゃいましたし!」
イヴァールの妹アウネは、シノブを見上げながら微笑んでいる。ドワーフの女性は、男性よりも遥かに小柄だ。彼女は、シノブより50cm以上は背が低い。それ故、見上げるのも当然である。
それはともかく、アムテリアから授かった富士山型の魔道具『フジ』も、大活躍のようだ。地脈の調査に、土質の改良による植物成長促進。この二つは、鉱業と農業を主体とするドワーフにとって、何より役立つものであろう。
「お陰で、植え付けもすぐ出来そうです。芋などはもうすぐ植える予定です。素晴らしい魔道具をお貸しくださり、ありがとうございます」
「ともかくガンドに感謝しなくちゃね。ところで彼は?」
ティニヤの礼に照れたシノブは、イヴァール達にガンドがどこにいるか訊ねた。アムテリアから授かった神具について、あまり突っ込まれる前に話を逸らしたかったのもある。
イヴァールにも魔道具の通信筒を一つ渡しており、定期的に連絡を取っている。とはいえ直接意思を伝えられないから、あらかじめ決めた時間に通信筒を呼び寄せ合っているだけだ。
ところが今回は急なことでもありガンドに念話で連絡し、ドワーフ達に伝えてもらうことにした。幸い連絡が間に合ったらしくイヴァール達はシノブの到着を知っていたようだが、ガンドの姿は見当たらない。
「ガンドなら、ヨルム達の所に行ったぞ」
「ああ、そうだったのか」
ガンドの番の岩竜ヨルムと子供のオルムルは、まだ元の棲家に残ったままだ。したがってガンドは、こちらで狩った魔獣を定期的に届けに行く。
そのときガンドは、ドワーフ達を故郷に送り届けたり逆に連れて来たりもしていた。
イヴァールの父である大族長エルッキもガンドに乗って自国に戻ったし、こちらに定住する者達が家族を呼び寄せたりもしている。それに加えてイヴァール達の故郷セランネ村から物資や家畜などを運ぶなど、ガンドは大忙しである。
ガンドが忙しくも楽しそうに飛び回っている姿を想像し、シノブは思わず笑みを漏らしていた。
◆ ◆ ◆ ◆
「シノブ様、魔法の家を呼び寄せました!」
イヴァールと話していたシノブに、アミィが声をかける。彼女の背後には、領都シェロノワに置いてきた魔法の家が出現している。
「ああ、ありがとう。ホリィもご苦労さん」
──いえ、お待たせしました!──
魔法の家から飛び出してきたホリィは、シノブの労いに心の声で返事をした。そして、彼女は短い飛翔を終え、アミィの腕に止まる。
ここ暫く、帝国との国境を調査していたホリィだが、今日はこちらに戻っていた。それ故、アミィとホリィが心の声でやり取りをし、魔法の家を転移させたのだ。
青い以外は、普通の鷹のように見えるホリィだが、最高神アムテリアの眷属である金鵄族だ。心の声での連絡は、そんな彼女だから出来ることだった。
そして、ホリィに続いてシャルロットとシメオン、それに数人の内政官が魔法の家から現れる。
「ここが開拓地ですか……」
シャルロットは、周囲を興味深げに見回した後、シノブの下に急ぎ足でやってきた。今日の彼女は、武官として来たこともあり、軍服姿でプラチナブロンドも綺麗に結い上げている。
「ああ。順調に進んでいるよ」
「ええ、そのようですね」
シノブは、隣に来たシャルロットに、明るく笑いかける。その言葉を聞いたシャルロットも、嬉しげに頷き返した。
「シノブ様、ありがとうございます」
シメオンは、辺りの景色より、街道がどうなったか気になったらしい。魔法の家から出た彼は、何かを探すように視線を動かしていたが、シノブが作った道を発見すると、その方向を暫し眺めていた。
そして、シノブへと向き直った彼は、礼法の見本のような挙措で頭を下げる。
「これで、入植しやすくなるね」
「ええ。しかも、シノブ様が直々に造った道です。シノブ様が手厚く支援しているという、何よりの意思表示となります」
シメオンは、シノブに微かに笑いかけた。冷徹な文官のように見えるが、彼は、こういった配慮が出来る男である。
「ところでシノブ様、いつまでも『開拓地』では困ります。何か良い名前はありませんか?」
「おお、そうだ。シノブ、頼むぞ!」
確かに、名前がないのは困るだろう。シメオンとイヴァールは、そのままシノブの答えを待っている。
「そうだな……イヴァール達に任せる、というのは駄目か?」
「シノブが襲爵して、初めて出来た村です。ここは領主として命名すべきだと思います」
頭を掻きながら唸るシノブに、シャルロットは温かな微笑みと共に自分の意見を口にした。
「そうか……こういう場合って、どういう名前をつけるのかな?」
「普通の村であれば、その地の特徴や功労者の名前などですね。ですが、今回はシノブ様にちなんだ名前が良いでしょう。
実際にはドワーフの方々が切り開いた土地ですが、様々な面でシノブ様や領都が支援しています。それに、今後、高地の拠点となる重要な場所です。領都のように、家名に由来するものが良いでしょう」
シメオンは、シノブの質問に丁寧に答えた。
この国では、領地の中心となる都市には領主の家名にちなんだ名前がつくようである。例えばベルレアン伯爵領の領都セリュジエールは伯爵家の家名セリュジエから、ここフライユ伯爵領の領都シェロノワは、同様にシェロンという家名から来たものだ。
「……例えば、アマノールとかアマノワとか?
でも、何だかしっくり来ないな……」
シノブは、現在シノブ・ド・アマノと名乗っている。そのため、彼はアマノを入れた名前を言ってみた。
「セリュジエールやシェロノワを真似したようですからね」
シャルロットも、少し眉を顰めている。
「全部を入れる必要はありません。マリアン伯爵領の領都ジュラヴィリエの例もあります」
シメオンが言うように、マリアン伯爵家の家名はジュラックであり、その前半だけが都市の名前となっている。
「ジュラヴィリエねぇ……」
やっぱりフランス風の名前を付けるべきなのだろうか。そう思ったシノブは、頭を悩ませる。
どうやら、神々は、それぞれの地域ごとに特有の文化を育てたいようである。これらの名前の多くは、創世期に神々が授けたものらしい。
言語自体は、一種類に統一した神々だ。しかし、その一方で地域ごとに特色を出したかったのだろうか。シノブの脳裏に、ふとそんな思いが過ぎる。
「この広い高地に相応しい名前がいいな……高地っていうか大地かも。ドワーフ達が多いし。
そういえば、大地って……」
大地の神テッラを信奉するドワーフに似合いの名前。そう考えたシノブは、大地を表すフランス語が『terre』であることを思い出した。日本風に発音するなら『テール』である。
「『アマテール村』でどうかな?」
「おお! 大地の神テッラか!」
シノブの言葉に真っ先に反応したのは、イヴァールである。彼と、その祖父タハヴォは、髭だらけの顔を綻ばせている。
「テールは、神々の言葉で大地だそうです。素晴らしい名前ですね」
シメオンも、納得したような表情でシノブに頷いた。
「『アマテール』……良い響きですね。どことなく大神アムテリア様の御名のようですし……」
輝くような笑顔と共にシャルロットも賛同する。
「ここは、俺の故郷にある神々の降りた場所みたいなんだ。アムテリア様の名前と似ているのは畏れ多いけど……でも、相応しいと思うんだよ」
「はい! 私もそう思います!」
アミィは、シノブの思いを読み取ったようだ。家名とドワーフの象徴である大地。その組み合わせだが、そこにはシノブのアムテリアへの感謝が篭められている。
そう思ったのだろう、彼女は薄紫色の瞳をキラキラ輝かせてシノブを見上げていた。その腕に止まるホリィも、嬉しげにピィピィと鳴いている。
「それでは、シノブ殿! 『アマテール村』にようこそ!」
タハヴォも、その声を高らかに張り上げた。
彼の歓迎の言葉に一層笑顔となったシノブ達は、出来立ての住居へと歩いていった。
◆ ◆ ◆ ◆
──そういえばイヴァールさん。温泉はどうなりましたか?──
住居に向かって歩く中、ホリィはイヴァールの肩に乗り移って『アマノ式伝達法』で問いかける。思念はシノブとアミィにしか理解できないので、彼女は他の者と意思を疎通するときには、鳴き声の長短で伝えたい言葉を表現するのだ。
「おお、もう完成したぞ。お陰で仕事の疲れが癒せて助かるな」
「イヴァール! ここには温泉があるのか!?」
イヴァールの言葉に、シノブは驚きの声を上げた。
「ああ。集落の向こうから湯気が上がっているだろう。あれが温泉だ」
──シノブ様も温泉がお好きなようなので、探しておきました。イヴァールさん達に説明するのは、少し面倒でしたが。この地を選んだのも、温泉があるからです──
喜色満面のシノブに、イヴァールとホリィは、口々に答える。
元々、ドワーフ達には温泉に入るという習慣は無かったようだ。通常、彼らの入浴は、湯沸し用の魔道具で沸かした風呂である。その辺りは、メリエンヌ王国と同じであった。
しかし、シノブやアミィの嗜好を知っているホリィは、村の選定時に湯脈の調査も行っていた。そして彼女は、幸運にも地表近くまで上がっている湯脈を発見した。そこで、ガンドにお願いして魔法で掘削してもらったという。
「そうか、ありがとう!」
シノブは、イヴァールの手を握って喜びを表す。日本のことを良く知っているアミィはともかく、シャルロットやシメオンは、そんな彼に少々驚いたようである。
「お主がそんなに喜ぶとはな。通信筒で伝えておけば良かったか……」
──いえ、こうやってお伝えしたほうが、一層喜んでいただけるかと──
イヴァールも、シノブの喜びように戸惑ったようだ。それに対し、ホリィは笑いを含んだような思念を伝えてくる。思念だけではなく『アマノ式伝達法』で伝える鳴き声も、どこか得意げな様子である。
「こうなったら、夜はミュリエルやアルメル殿も呼び寄せるか! 温泉は健康や美容に良いんだ!」
「シノブ様、まだ泉質もわかっていませんよ」
有頂天なシノブに、アミィは苦笑を隠せないようだ。もっとも、そんなアミィも彼同様に嬉しげである。
──人間の肌に良いようですね。私は入っていませんが──
「良くわかりませんが、お肌には良いようですね。とてもツルツルになります。それに暖まりますし」
ホリィは鷹である。それ故温泉には入らない。そんなわけで、彼女自身はその効果を確認していないようだ。だが、ティニヤの言葉が本当なら、アルカリ性の温泉なのだろう。
「まあ……それでしたら私も入りたいですね」
「ああ、ゆっくり入ってよ!
シメオンも、今日はこっちに泊まったらどうだ? 泊まるのが無理でも、温泉だけでも入って疲れを取ったほうが良い」
シャルロットに微笑んだシノブは、シメオンも誘う。まるで自分の温泉のように仕切る彼に、二人は思わず顔を見合わせて笑いを漏らした。
「……せっかくのお誘いですから、そうしましょう。ともかく、まずは開拓地の相談です。それが終わらないと、休むわけには行きません」
シメオンは、シノブの言葉に賛同しつつも、それとなく釘を刺したようでもある。
「わかった! さっさと仕事を片付けよう!」
シノブは、シメオンの言葉に頭を掻きつつも、歩みを一層速めていた。久々に入る温泉で、順調に開拓が進むアマテール村について友人達と語り合う。シノブは、そんな楽しい予想図と共に、真新しい丸太で作られた住居に入っていった。
お読みいただき、ありがとうございます。
次回は、2015年3月18日17時の更新となります。