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女神に誘われ異世界へ  作者: 新垣すぎ太(sugi)
第7章 疑惑の伯爵
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07.28 王家の旗に集いて 後編

「シノブ様、大丈夫でしたか?」


 三階の貴賓室に行くと、アミィが心配そうな顔でシノブを出迎えた。フライユ伯爵との会談を終え、迎賓の間から去ったシノブは、館の侍女にベルレアン伯爵達に割り当てられた一角へと案内された。

 王太子テオドールとアシャール公爵は、右翼四階を全て使った王族を迎えるための区画にいる。そのため、右翼三階はベルレアン伯爵達が占有していた。


「ああ、何もなかったよ。心配かけたね」


 シノブは、アミィに笑いかけ、彼女の頭を優しく撫でた。アミィは、シノブの手が狐耳に触れたせいか、少しくすぐったいような表情をみせた。

 シノブは、そのままアミィを連れて伯爵達が待つソファーへと歩んでいった。ここは伯爵に割り当てられた貴賓室のサロンである。ベルレアン伯爵の館と同様に、フライユ伯爵の館も、貴賓室はサロンと複数の寝室、風呂や簡易的な台所、侍従達の控えの間などで構成されている。

 シノブ達にも、それぞれ別の貴賓室が割り当てられていたが、今後の相談もあるので、伯爵の下に集まっていたのだ。


「それで、どんな話をしたのだね?」


 ソファーに座ったシノブに、伯爵が早速問いかける。彼は、緑の瞳に心配げな色を浮かべながら、シノブを見つめていた。


「それが……」


 シノブは、自分ならこの領地をどうやって豊かにしたか、とフライユ伯爵から問われた。そして、魔道具について尋ねられた。彼は、それらの会話について順を追って説明していく。


「……ふむ。シノブ、初代フライユ伯爵はね、あえてこの厳しい領地を選び取ったのだよ」


 シノブは、ベルレアン伯爵がいきなり王国設立時の逸話に触れたので、少々驚きながら聞いていた。隣に座っているアミィも、彼同様に意外そうな表情をしている。


「我が先祖シルヴァン様と初代フライユ伯爵ユーレリアン殿は、互いに武の一番手として競い合っていたそうだ。槍のシルヴァン様と、剣のユーレリアン殿。甲乙付けがたい腕だったそうだね。

王国成立への貢献度も似たようなものだったらしい」


 ベルレアン伯爵が語る内容に、シメオンや伯爵家の家令ジェルヴェも意外そうな顔をしている。シノブも、貢献度が一番高かった初代ベルレアン伯爵シルヴァンが最大の伯爵領を得た、とジェルヴェから聞いていたので、彼ら同様に伯爵の話に聞き入っていた。


「ユーレリアン殿は、あえて劣るこの地を繁栄させることで決着をつけたかったのかもしれない。それとも、帝国領を切り取ることを考えていたのかもね。

しかし、現実はそこまで甘いものではなかったようだ。以降500年以上、代々のフライユ伯爵は苦労を重ねてきた。

私も知識としては理解していた。しかし実際にこの地を訪れてみて、その厳しさがわかった気がするよ」


 シノブも、伯爵の言葉に頷いた。

 街道沿いは、まだ標高が低いようで、ベルレアン伯爵領ともさほどの違いは見られない。だが、すぐ北にはリソルピレン山脈から続く高地が迫り農業に使える土地は少ないようだ。

 シノブ達が東進してきた、ベルレアン伯爵領からフライユ伯爵領の領都シェロノワへと続く街道。アミィの持つ位置把握能力によれば、真東ではなく、若干南寄りに進んできたようだ。

 したがって、領都シェロノワはベルレアン伯爵領の領都セリュジエールほど北ではない。ベルレアン伯爵領でいえば、セリュジエールから100kmほど南の都市アデラールと同じくらいの緯度だという。

 しかし領都シェロノワのほうが標高が高いため、セリュジエールより僅かに寒いようだ。低地の街道沿いでも、そんな気候だから、北の高地はドワーフ達の国ヴォーリ連合国に近い寒さのようである。


「シノブ殿の話を聞く限り、フライユ伯爵は魔道具製造業のためにかなり無理をしているのでしょう。

ですが、彼が魔道具製造を推し進めなかったら、領民は働く場を得られなかったのかもしれません。単純作業で安い賃金。身につく技もない。とはいえ、それで工員達が数年間生活できたのは間違いありません」


 フライユ伯爵領の急激な魔道具製造業の発展に、シメオンは疑念を(いだ)いている。しかし彼は公平な視点を失っていないらしい。フライユ伯爵が貧しい領民に職を与えたことは、彼も充分に評価しているようだ。


「我々も、もっと早くこの地を視察すべきだったのかもしれないね。伯爵領のことは伯爵家に任されているとはいえ、帝国との戦を押し付けていたのは事実だ」


 伯爵は、頭髪と同じアッシュブロンドの髭に手を当てながら、渋い顔をした。


「そうですね。王家や他家が財政面で支えているのは事実です。ですが、厳しい言い方をすれば、金銭で解決している、とも言えます」


 シャルロットも、その湖水のような青い瞳を曇らせながら、伯爵に同意する。


「ですが、領地を守るのは貴族の義務です! それなくしては民の上に立つことはできません!」


 シャルロットの隣にいるミレーユが、赤毛を振り乱しながら、主の言葉に反論する。普段は軽口も叩く彼女ではあるが、芯はしっかりとしており、むしろ保守的とさえいえるようだ。


「……国境地帯を、王家に返還しても良いかもしれないね」


 ミレーユの言葉を聞いたシノブは、思い付きを口にしていた。


「王家が帝国との戦いを受け持つ、ということですか?」


 アリエルは首を傾げながら、シノブへと尋ねる。


「王家が統率して王領や各伯爵領から募った兵士達で防衛すれば、どこか特定の家だけが負担しなくても良いと思ったんだよ。

ほら、ラコスト伯爵領やボーモン伯爵領は、他国と接していないじゃないか」


 シノブは、内陸の二領を例に挙げ、説明する。

 彼の言うとおり、全ての伯爵領が国境警備をしているわけではない。それに、他の伯爵領から戦が絶えて久しい。王国成立直後のように、それぞれの伯爵家が外敵に対応した時代とは、随分情勢が変化している。


「なるほどね。おそらくユーレリアン殿の遺命で、代々の伯爵も懸命に戦ったんだろうが……とはいえ、今となってはこのままの体制を続けるほうが、害が大きいようだ」


 ベルレアン伯爵だけではなく、シメオンやシャルロットも感心したような表情をみせた。


「……ともかく、明日はグラージュに出発だ。相談はこれくらいにして、ゆっくり休もう。

グラージュから砦までは、荷馬車でも一日程度しかかからない。実質的には戦地と言ってもいいくらいだ」


 伯爵は、シャルロットやシノブの顔を見ながら、体を休めるようにと告げた。まだ昼食を済ませたばかりだが、今日はここシェロノワに宿泊する予定であり、時間はある。合流した各軍を戦地に入る前に休める意味もあり、半日の休憩を与えることになっていた。


「そうですね。明日は、閣下やシノブ殿は砦まで行く予定ですから」


 シメオンが言うように、ベルレアン伯爵やシノブ達は、アシャール公爵と共にガルック砦まで一気に駆けることになっていた。そして、都市グラージュの王太子テオドールを守る総司令部に、シャルロットやシメオン、そしてジェルヴェなどは残る。彼らは、明日の昼で暫く別行動となるのだ。


「シノブ様のお陰で、連絡はつけやすくなっているのですが……」


 ジェルヴェは、シノブやシャルロットが下げている光の魔道具などに視線をやった。フライユ伯爵の館だから言葉を濁したようだが、彼はシノブがアムテリアから授かった魔道具の効果について言いたかったようである。


「まあね。伝達法は、色々あるしね」


 シノブもジェルヴェに曖昧な言葉を返す。シノブは『アマノ式伝達法』を指しているとも取れる返答をしたが、ジェルヴェの意図は察している。

 シノブが授かった主な魔道具に付与されている呼び寄せ機能。領都セリュジエールで魔法の家を呼び寄せたように、彼らが腰に下げている光の魔道具にも、呼び寄せ機能は備わっていた。

 そしてシノブは、ガルック砦と都市グラージュに別れる前に、シャルロットに幾つかの魔道具の使用権限を付与していた。彼は、非常時の連絡用に呼び寄せ機能を利用するつもりなのだ。

 たとえば、シノブが持つある魔道具をシャルロットが呼び寄せたら、危機の印。そんな風に、呼び寄せる魔道具で、いくつかの合図を取り決めていた。


「本当は、私がグラージュに残れば良いのですが……」


 アミィは頭の上の狐耳を僅かに傾げながら、シャルロットを遠慮がちに見る。

 確かに、彼女が残れば心の声で連絡をつけることができる。そうすれば、魔道具の呼び寄せなどを行わなくても、正確な連絡ができるはずだ。


「アミィ。貴女は戦場でシノブを守ってください。大丈夫です。私達も強くなりました。それに、いざとなればこの魔道具を使いますから」


 シャルロットは、アミィを安心させるように微笑んでみせた。

 確かに、彼女やアリエル、ミレーユは最初に会ったときより数段強くなっている。シノブやアミィを別にしたら、それこそ王国でもシャルロットに(かな)う者はほとんどいないだろう。シノブは王都で多くの武人を目にしたが、彼女に勝てそうなのはベルレアン伯爵や先代伯爵くらいだと感じていた。


「そうですね、遠慮なく使ってください」


 アミィは、シャルロットが腰の魔道具に手を当てているのを見て、その意図を悟ったようだ。


「シャルロット、総司令部は任せたよ。俺とアミィは、一日でも早く敵を倒して帰ってくる」


 シノブの言葉に、シャルロットとアミィは、嬉しげな表情で頷いていた。



 ◆ ◆ ◆ ◆



 翌日、12月18日。シノブは王領軍の騎兵達と共に、領都シェロノワから都市グラージュへの進軍を開始した。王太子テオドールやアシャール公爵に加え、フライユ伯爵やその家族もグラージュへと赴く。

 フライユ伯爵達は、自家の先進的なデザインの馬車に乗る。どうやら、デザインだけではなく、自領で開発した魔道具を多用した快適な室内となっているようだ。だが、そこには王領軍の女騎士達が夫人の護衛という名目で同乗するという。

 シノブも知っている白百合騎士隊のサディーユやシヴリーヌの姿も、その中にはあった。子爵や男爵の娘である彼女達は、伯爵夫人の側に控えるには最適なのだろう。だが、あえてフライユ伯爵家の女騎士ではなく、王領軍から出す。

 フライユ伯爵が疑惑の渦中にあるとはいえ、彼の家臣からすれば、屈辱的な光景であろう。


「……お館様!」


 一人の家臣、侍従らしい装いの男が、フライユ伯爵へと(たま)りかねたような様子で視線を向けた。


「ヴィル……アドリアンの不始末を考えれば、このくらいの仕置きは当然であろう。後を頼むぞ」


 フライユ伯爵は、家臣に抑えるような視線を向け、静かに声をかける。フライユ伯爵家の軍勢は、既に戦地で戦っている。領内の都市には、治安維持と魔獣退治のための最小限の部隊しか残っていないようだ。それ(ゆえ)、彼の馬車は王領軍に守られて都市グラージュまで進んでいく。

 だが、その光景は王領軍に護送されていくように、家臣達には見えるのだろう。


「……お任せください! そして、お戻りの時は我が軍と共にあることを願っております!」


 ヴィルと呼ばれた侍従は、主の言葉に思わず瞳を潤ませたようだ。彼は目頭を押さえると、フライユ伯爵へと深々と頭を下げた。そして再び顔を上げたときには、王領軍の騎士達に忌々しげな視線を向けている。


「抑えよ。王太子殿下の側に控えるのも、この上ない栄誉。それに、戦地にはグラシアンもいる。

フライユの武人として、その名に恥じぬ戦いを見せるまでよ」


 疑惑は戦いで晴らす、とでも言いたいのか。フライユ伯爵クレメン・ド・シェロンは、あくまでも冷静な口調で、檄する家臣に語りかけた。

 彼の言葉に、侍従は片膝をついて騎士の礼をしてみせる。そして、それに倣う様にフライユ伯爵家の家臣達が、主への忠誠を自身の態度で表した。


「お前達……ともかく、後を頼む。行くぞ!」


 フライユ伯爵は、王領軍を挑発するかのような家臣達の行動に、微かに苦笑したようだ。だが、これ以上、自身が留まれば更に刺激しかねないと思ったのか、王領軍の騎士に声をかけて自家の馬車へと歩んでいく。


「……義父上。フライユ伯爵は、本当に何か(たくら)んでいるのでしょうか?」


 少し離れたところでベルレアン伯爵家の馬車に乗ろうとしていたシノブは、隣に(たたず)む将来の義父へと視線を向けた。

 王都の査問会では慇懃(いんぎん)無礼な態度を取り続けたフライユ伯爵だが、家臣に慕われる彼の姿に陰りはない。それを見たシノブは、自身が(いだ)いていた印象を変えざるを得なかった。


 フライユ伯爵領の商会は、奴隷貿易に関与しているという噂がある。シノブ達がポレット村近くの館で捕縛した帝国の間者らしき者達も、それを匂わせていた。そして、フライユ伯爵の家臣にも彼らと繋がる者が入り込んでいた。

 しかし、フライユ伯爵自身が彼らと関係しているのか。産業育成に真摯に取り組み、家中の者に尊敬される。そんな彼の姿を見ていると、シノブはどう考えるべきかわからなくなってきた。


「さあね。将としては(たくら)んでいると警戒するしかないよ。我が領の兵士達の命を預かっているのだからね。

だが、シノブ。完全な悪人など、そんなにいるものじゃない。盗んだ金で飢えた子供のために食糧を買う。盗まれたほうから見れば、犯罪者だね。だが、子供からすれば?

……彼は、自領では良い統治者であろうと努力をしているようだ。その努力の方向が、我々の正義に反する。それだけかもしれないね」


 ベルレアン伯爵は、平板な声でシノブに答えた。シノブは、感情を押し殺したような彼の口調に深い悩みが隠されているような気がした。

 おそらく、伯爵も領地を守るために非情な決断を下しているのだろう。まだ、シノブには見せない政治の暗部。彼の言葉からシノブは、そんな何かを感じ取っていた。


「シノブ。戦場では善悪など考えないことだ。立ち向かってくる者には容赦をするな。父の教えだよ」


 ベルレアン伯爵の鋭い口調に、シノブはハッとした。自身の魔術や体術の向上につれて、慢心していたのではないか。そう思ったのだ。


「はい。先代様の教え、肝に銘じます」


 己の迷いを知ったシノブは、それを教えてくれた伯爵に深く感謝していた。


「まあ、私もこれが初陣だから大きなことは言えないがね」


 シノブが真剣な表情で頷くと、ベルレアン伯爵は一転しておどけたような笑顔を見せた。

 シャルロット達との出会い。彼女達を守ることだけを考えて暗殺者を退けた戦い。シノブは、己の運命を変えることとなった戦いを想起しつつ、伯爵に続いて馬車に乗り込んだ。



 ◆ ◆ ◆ ◆



 都市グラージュでは、昼食を兼ねた休憩を取る。総司令部は代官の公館に置くため、シノブ達も一旦はそちらに赴き、そこで食事をした上で、ガルック砦へと旅立つ。

 前日同様、アシャール公爵をはじめとする将官など、一部の者が都市に入り、その他は都市の東側で出立を待つ。だが、今回は総司令部付きの兵士などもいるため、領都シェロノワに入ったときとは比べ物にならない大部隊である。

 大通りを行く人々も、戦地に近いせいか軍勢を安堵の表情で見つめている。フライユ伯爵家の家臣や、出入りの商人が多いシェロノワとは違い、王都でのアドリアンの不祥事が伝わっていないのかもしれない。

 そのため、前線を支える自領の軍に対する増援という明るい知らせを、素直に喜んでいるようだ。大通りにいた人の上げる歓声に気がついた住民達が路地から次々に現れ、行軍する一行に手を振り笑顔を見せる。兵士達も、そんな人々の歓呼の声に、大きく手を振り返している。


「なんとか間に合ったようだね。釣り出すつもりなら、ここまでは来ないと思っていたが……」


 そんな風景を眺めながら、ベルレアン伯爵はシノブやシャルロットに安堵の表情を見せた。彼は、帝国の意図は国境に集めた王国軍を叩くことではないかと予想していた。

 国境で王国軍を壊滅させた上で、その余勢を駆ってフライユ伯爵領を占領する。伯爵の想定通りなら、都市グラージュはこの時点では無事なはずである。しかし経験豊かなベルレアン伯爵といえど、己の目で確認するまでは一抹の不安があったのかもしれない。


「父上のお考え通りだとすれば、砦では激戦となるはず。父上、シノブ、気をつけてください」


 父と対照的に、シャルロットは眉を(ひそ)めていた。自身が安全な後方に残されるせいもあり、前線に赴く彼らを心配しているのだろう。


「シャルロットも気をつけて。

フライユ伯爵の考えは、結局良くわからないままだ。シェロノワでの姿と王都での姿。どっちが彼の本性か、俺にはわからない。

両方見てしまうと、彼がどんなことをしても不思議ではないとさえ思えるんだ」


 まだ18歳のシノブには、50年も生きた彼の気持ちを推し量ることなどできなかった。フライユ伯爵は、爵位を継いでから18年である。言ってみれば、シノブが生まれたときから領主をやっているのだ。

 そんな老練な彼の心をシノブが察するなど、そもそも無理なことなのかもしれない。


「はい、気をつけます。ベルレアン伯爵家を継ぐ者として、王太子殿下を守り通してみせます」


 シャルロットは、生真面目な彼女らしく、己の任務の達成を誓った。


「殿下には悪いけど、俺には君のほうが大切なんだ。だから、自分自身にも気を配って。

……言っただろ? 俺は、君を助けるために来たんだ。本当なら、君の側を離れたくないよ」


 シノブは、伯爵に結婚の許しを貰った日、夕日に照らされた薔薇庭園での誓いを思い出しながら、シャルロットを見つめていた。


「……ありがとうございます。

でも、そのお言葉、そのままお返しします。貴方も御自身を大切にしてください」


 普段なら冷やかしの言葉を発する伯爵やシメオンも、二人の姿を静かに、そして温かく見守っている。

 戦場へ赴く男と、それを案ずる女。(いにしえ)から繰り返されてきた、よくある、だが神聖とさえ思える一幕。王国と帝国。両国で、一体どれだけの男女が別れを告げているのだろうか。そして、再会できる者はどれだけいるのだろうか。

 敵を前にし味方にも不安を抱えた一行。だが、深い愛情で結ばれた二人には、それらの暗雲を吹き飛ばす何かがあるようだ。

 互いへの愛ゆえに互いを案ずるシノブとシャルロット。そんな二人を見る者達の瞳には、いつしか苦難を乗り越える決意が宿っていた。


 お読みいただき、ありがとうございます。

 次回は、2014年12月22日17時の更新となります。


 次回から第8章になります。


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