01.08 狼なんか怖くない?
翌日、朝早く二人は旅立つ。
アミィと共に魔法の家を出たシノブは、門出を祝福するような晴れ渡った空に思わず笑みを漏らす。きっと今日も良い日になるだろう。理由は無いが、シノブの胸に明るい予感が広がっていく。
シノブは抱いた希望と共に軽やかに振り向き、今しがた出た扉を閉めて中央に手を当てる。そして彼が魔力を通しながら『格納』と念じると、魔法の家は一枚のカードに変じた。
「本当に便利だね! 登山家が羨ましがるよ!」
シノブはアウトドア用品店で見た軽量テントを思い出した。
中に入れば身動きする余地もない一人用の小さなテントでも、1kgはあったはずだ。それを考えたら、立派な家が携帯できるなんて夢のようである。
「アムテリア様のお造りになった魔道具と比べるのは、無理があると思いますが……」
アミィは高揚を顕わにするシノブに戸惑い気味の顔を向けた。確かにシノブが感動するのも無理はないが、創世の技を振るう女神の用意した品を常人の作った道具と比較しても意味が無いだろう。
「それもそうだね……さあ、出発だ!」
シノブはアミィに笑いかけ、魔法の家のカードを彼女が持つ魔法のカバンに入れた。そして二人は連れ立って、南に向かって歩き始める。
ここから森を出るまでおよそ二日。身体強化を使って走れば、あっという間に森の外に到達するだろう。しかし、そこまで急ぐ必要もない。トレッキングが趣味のシノブとしては、自然を満喫しながら行く方が好みでもある。
アミィもブナやナラのような木々が生い茂る中を、元気よく歩いている。シノブの前を行く彼女は、肩まで伸びたオレンジっぽい茶色の髪の上にピンと狐耳を立て、フサフサした尻尾を楽しそうに揺らしていた。
日本なら小学生の高学年に相当するくらい小柄なアミィだから、当然ながらシノブに比べ歩幅は狭い。しかし彼女は踊るように軽快な歩みで、常にシノブの手前を進んでいる。
森の中は下草が生え、ところどころに倒木もある延々と続く原始林だ。しかし常人とは比較にならない身体能力を持つシノブ達にとっては、障害となるほどではない。
それにシノブ達は、ここ十日ほど湖まで毎日行き来している。そのため、どちらも危なげのない歩きぶりであった。
「まるで白神山地みたいだね」
シノブは豊かな自然に思わず笑みを漏らす。山歩きが好きなシノブが、木々の緑や爽やかな空気に癒され元気をもらうのは当然だろう。
夏真っ盛りだから、周囲の巨木は一杯の葉で自身を飾っている。そして目に優しい緑色のヴェールは陽光を和らげ、シノブ達の周りも同じ色で満たしていた。
太陽の季節を謳歌する巨大な樹木で包まれた空間は、正に樹海と呼ぶべき荘厳さでありながら、命を包み込んでくれるような優しさを兼ね備えている。それは、シノブに安らぎを与え大自然への敬意を教えてくれる場所であった。
しかも、ここは日本よりも随分緯度が高いらしく湿気が少ない。そのため、ますますシノブは快適に歩んでいる。
「狼や魔狼と出会うかもしれないので気を付けてくださいね」
シノブの気の緩みを感じたのか、アミィは注意を促した。彼女の口調は柔らかだが、シノブを見つめる薄紫色の瞳には真剣な光が宿っている。
「戦う練習はしたけど、実戦は経験ないからね。忠告、ありがとう」
少し浮かれていたな、とシノブは反省する。そして彼は、自身を案じてくれる可愛らしい狐の獣人の少女に、真面目な声で礼を伝えた。
確かにシノブには攻撃魔術もあるし、身体強化にも熟練し剣術や素手の格闘術も習った。とはいえ実際に戦うかも、と思うとシノブは改めて緊張してくる。
「日本とは違い、ちょっとの油断や迷いが命取りになります。シノブ様には辛いかもしれませんが、いざ戦いになったら躊躇してはいけません」
アミィは更なる助言を重ねる。おそらく彼女は、平和な日本で暮らしていたシノブが冷静に戦えるかを案じたのだろう。
「アムテリア様が生み出した神々には戦の神様もいらっしゃいます。それに生きていくための戦いは、褒められこそすれ非難されるものではありません」
魔獣や動物は無闇に殺すべきではないが、生きていくためには戦いを避けられないこともある。無用な殺生は避けるべきだが、生きるための戦いは神々の意思に背かない自然の摂理である。
そうシノブに語るアミィは、十歳くらいにしか見えない外見に似合わない大人びた雰囲気を纏っていた。
「判った。いざというときは躊躇わないよ」
シノブは日本と違う弱肉強食の世界に来たことを改めて実感する。そのためだろう、彼の左手は腰に佩いた魔法の小剣に自然と掛かっていた。
とはいえ、依然として散策のように平穏無事な歩みが続く。そのためシノブ達は会話を交わしながら楽しげに森を進んでいく。二人は時々休憩を挟みながらも歩き続け、その日は無事に六割強の行程を消化した。
そして夕方近くなったころ、シノブ達は少し開けた場所を見つけ、魔法の家を展開した。
「このまま何事もなく街道に着けそうだね」
シノブは魔法の家に入りながらアミィに笑いかける。彼は、予定通りの行程と一日何も無かったことに安心していたのだ。
「えっと。実はそうでも無いんですよ。今まで暮らしていた場所では、魔獣よけをしていましたから」
アミィは念のため、シノブの修行が終わるまで敵に襲われないように対策をしていたのだ。彼女が使った術は極めて強力な存在には効かないが、狼や魔狼くらいであれば充分効果があるそうだ。
「そうすると、今晩からは危ないってこと?」
これからは夜も警戒すべきかとシノブは憂えた。そのせいだろう、シノブは思わず立ち止まり、先ほどまで浮かんでいた笑みは彼の顔から失せていた。
「魔法の家はとても頑丈です。窓だって普通のガラスのように見えますが、魔法がかかっているから魔狼程度では傷付けることもできません。
でも、外では注意してくださいね。シノブ様は凄く強くなったので、もう魔狼ごときでは相手にもなりません。とはいえ、どんなことにも絶対はありませんから」
アミィはシノブに優しく笑いかける。おそらく彼女はシノブの不安を見て取ったのだろう、
「そうだね、気を付けるよ」
シノブは、目の前のアミィと神界にいるだろうアムテリアに感謝しつつ頷いた。
外はともかく、家の中で襲撃される心配をしなくて済むのは非常に助かる。シノブは、魔法の家の中では枕を高くして寝られるようだ、と安堵しながらリビングへと歩んでいった。
◆ ◆ ◆ ◆
翌日も朝から森の中を進んでいく。この日も天気は良いし、シノブは前日同様に周囲の風景を楽しみながら歩む。
しかし、そんな長閑な旅は唐突に終わりを告げた。突然アミィが立ち止まり、真顔でシノブを見つめたのだ。
「どうやら魔狼の群れが接近しているようです。右のほうですね」
シノブには判らないが、アミィには気配か何かが感じられるようだ。彼女は狐耳をピクピク動かしているので音で探っているのかもしれない。
「どうする? やり過ごす?」
シノブは無益な殺生をしたくはなかった。そこで彼は魔獣との遭遇を回避できないかとアミィに問うた。
「向こうが私達を見つけるかもしれませんし、後ろから追いかけられても困ります。このまま接近してくるようなら戦いましょう」
しかしアミィは、シノブの意に反して首を振る。
不意打ちの危険を抱えるより、ここで待ち伏せして迎え撃った方が良い。アミィは、そのように判断したらしい。
「……脅して追い払えないかな?」
「いえ、魔狼は相手に殺気が無いと思ったら、いつまでも付いてきます。ある程度倒さなくては追い払うこともできません」
シノブの再度の問い掛けに、アミィは別人のように険しい表情で応じた。魔狼とは、そんなに面倒な相手なのだろうか。
しかし彼女の言うことには一理ある。延々と付け狙われるなら、自身の有利な場所やタイミングで対処すべき。それはシノブにも理解できた。
「……そうか」
シノブは、これはこの世界で生きていくための試練なのだ、と覚悟を決めた。
アミィが、あれほど熱心に魔術や剣などを教えたのだ。おそらく、この世界では戦いを避けては生きられないのだろう。仮に避けるにしても、全く相手を傷付けずに済ませ続けることは不可能に違いない。
ならば、どこかで戦うことになる。それであれば、変に先延ばしするのは害となる。シノブは、それに思い至ったのだ。
「こっちだね」
「はい」
シノブはアミィが示した方向に向き直る。そして二人は、どう戦うか相談しつつ魔狼を待ち構える。
まずは遠距離から岩弾で攻撃。接近してきた相手は小剣で倒す。簡単に段取りを決め、息を殺して待っていると、シノブにも獣の気配が感じられた。
──かなり多そうだね──
心の声でやり取りできることを思い出したシノブは、早速使ってみた。こういう待ち伏せする局面では、思念は非常に便利である。
──たぶん、十頭くらいですね。来ます!──
アミィがそう伝えてくると、僅かに遅れて目の前に灰褐色の巨大な獣達が飛び出してきた。それは、とても狼とは思えないほど大きく、しかも物凄い速度で迫ってくる。
「うわ、あれが狼!?」
まるで虎のように大きな魔狼を見て、シノブは驚愕した。しかし一瞬の後、シノブは慌てて岩弾の魔術を発現させようと集中していく。
「ギャウン!」
アミィは既に岩弾を発射していた。彼女はシノブと違って動揺することは無かったのだ。そして小さな岩弾に胸を貫かれた魔狼は、そのまま地に崩れ落ちる。おそらく絶命したのだろう。
先頭の一頭が為す術もなく倒されたためだろう、残りの魔狼は左右に散った。そして魔獣達の散開は、シノブに術を完成させる時間を与えてくれる。
(……魔力放出……集中。岩抽出……操作。魔力塊作成……発射!!)
シノブは地面から抽出した岩塊を、水弾と同じように魔力の砲身で包む。そして彼は再び迫りくる魔狼に狙いを付け、魔力塊を岩塊にぶつける。
すると直径1mほどの岩塊が、ドンッという衝撃と共に途轍もない勢いで飛んでいく。そして巨岩は狙った魔狼だけではなく後ろの一頭まで押し潰し、更に木々を薙ぎ倒していった。
「シノブ様、強すぎです! 小さい弾で良いからもっと撃ってください!」
アミィはそう言いながらも、更に二頭を岩弾で仕留めている。やはり実戦経験の差なのだろう、彼女はシノブより遥かに効率良く対処していた。
「ごめん! 力を入れすぎた!」
シノブは初めての実戦に動揺し、つい力加減を間違えたらしい。確かにアミィの言うとおりオーバーキルである。もっと小さな岩で良いから連射すべきだろう。
そうしている間に残りの魔狼が迫ってきた。これでは魔術を行使しようと集中するのは難しいだろう。
「シノブ様、剣を! 右、お願いします!」
「ああ!」
アミィの声を受けシノブは魔法の小剣を抜き、右手から迫る魔狼に身体強化を使いながら向かっていく。
刹那の間に距離を詰めたシノブに、魔狼は反応できず喉元を切り裂かれ倒れ伏す。更にシノブは身を転じ、脇から飛び掛かる魔狼も薙ぎ払う。
ほんの一呼吸、神速と形容すべき早業で二頭を倒したシノブが、残りはと目をやる。するとアミィは二頭を切り伏せ、最後の一頭に迫っていた。
「えい!」
アミィが掛け声とともに魔狼と交差する。そして駆け抜けたアミィがクルリと振り向くと、合わせたかのように魔狼がドサリと地に倒れた。
「お疲れ様でした。これで全部です」
アミィが剣に付いた血を振り払いながら、シノブに告げた。その姿は普段どおりに平静で、合わせて六頭もの巨大な魔獣を倒したとは到底思えない。
やはり、アミィは神の眷属なのだ。十歳くらいにしか見えない少女が軽々と襲いくる魔狼達を倒し、かつシノブへの指示までする。それらはシノブに、アミィが並外れた存在だと今までとは別の意味で語っていた。
「うん、なんとか倒せたけど……岩弾のときは慌ててゴメンね」
まだまだ、修行が足りない。シノブは素直に自身の戦いを反省した。
シノブはアミィを驚かすような魔力を持っているし、模擬戦なら彼女と互角以上に戦えるようだ。しかし、それだけでは生き残ることはできない。シノブは、これから目指すべきものが見えたような気がしていた。
「初陣ですから仕方ないですよ」
そう言ってアミィは柔らかく微笑んだ。
どうやらアミィは、シノブのことを案じていたようだ。シノブが初めての戦いに衝撃を受けていないか。この世界に怖じ気づいていないか。あるいは逆に自身の力に酔ってはいないか。
おそらくアミィは、それらをシノブの表情や言葉から読み取ろうとしていた。しかし彼女は落ち着いたままのシノブを目にし、更に彼が今回の戦いで得た教訓から新たな目標を見出したと理解した。温かな光を宿した彼女の瞳は、そう語っているかのようであった。
「ありがとう。
でも、魔狼があんなに大きいとは思わなかったよ。あれじゃライオンや虎並みだよね。まあ、どっちにしろ動揺しちゃったんだけど……魔獣は並外れた力や大きさだ、って聞いていたのにね」
シノブはアミィに応じながら、頬を染め頭を掻いていた。
初陣にしても、もっとやりようはあったとシノブは思っていた。そもそも魔狼の詳細くらい、事前に把握しておくべきだろう。
シノブはアミィと会った直後、この森に魔狼という地球ならば常識外の獣がいると彼女から教わった。そして十日も共同生活をしたのだから魔狼について訊ねる時間はあったし、待ち伏せしている間に改めて聞いても良かった。
今まで命のやり取りをしたことが無いからだろうが、自分には反省すべき点が多いようだ。たぶん、それにシノブが気付いただけでも、この戦いの意味はあったのだろう。
「何度か経験すれば、落ち着いて対処できるようになりますよ。要は平常心です」
アミィは笑みを深くする。
おそらくアミィは、シノブが思い浮かべたようなことは充分承知していたに違いない。そして彼女は、シノブ自身が掴み取ることを期待していたのだろう。
「う~ん、なんとか頑張るよ」
更なる努力をすると応じたシノブだが、同時に驚きに似たものを感じていた。
案外アミィは厳しい指導者なのかもしれない。もちろんシノブが充分な力を身に付け、アミィ自身が卓越した能力を持っているから実践したのだろう。しかし実戦で感じ取れという意図を察したシノブは、可愛らしい従者の隠された一面を見たような気がしてもいたのだ。
◆ ◆ ◆ ◆
結局シノブ達は十頭の魔狼を倒した。このうち巨大岩弾で押し潰された二頭を除く計八頭を魔法のカバンに回収し、二人は血臭が漂う場を後にした。
「魔狼の毛皮や肉って売れるの?」
「はい。お肉はあまり美味しくないですが、毛皮は売れるはずです。命を粗末にするのはいけませんので、町か村に着いたら売りましょう」
シノブの問いに、アミィは真面目な顔で頷いた。
戦い自体は否定しないが、奪った命に真摯に向き合うためにも無駄にはできない。アミィの顔には、そんな思いが滲んでいるようであった。
「そうだね。ところで魔法のカバンって、中に血が溜まったりしないの?」
シノブはふと疑問を感じ、アミィに訊ねた。先ほどシノブ達は、魔狼に何の処理もしないまま魔法のカバンに収納したのだ。
「カバンに入れた瞬間に時間が止まりますから、血が垂れたりはしません。お弁当とかが冷めていないのと同じですよ」
アミィの言葉に、シノブは驚きつつも納得することにした。
確かに大量に入っている弁当は何日経っても温かく、サラダセットも新鮮なままだった。
状態変化がなく熱も逃げないし鮮度も失われないなら、血が漏れ出ることもないのだろうか。シノブは不思議な気がしたが、神様がくれた道具の構造なんて理解できるわけがない、と割り切ることにした。
再び歩き始めてから数時間、ついに森を抜けた。
数百m先には街道らしき石畳の道が見える。どうやら森の外周に沿うように伸びているらしい。馬車も余裕ですれ違えそうな立派な道だ。
森から道までは少し緩い下り坂になっており、背の低い草が生えているだけで見通しも良い。そして石畳の道の向こうには草原が広がっている。
道の向こう側は、なだらかな丘が幾つも連なり起伏に富んだ地形だ。こちら側と違い、ところどころに林や露頭した岩塊もある。
そんな丘あり林あり岩塊あり、と変化溢れる風景は、シノブにとって見応えがあるものだった。
「やっと道に出たか」
「はい、私の知っている街道です。位置も昔と変わりません」
アミィはマップ能力で、現在位置と街道や地形を照らし合わせたらしい。そして彼女は昔の記憶と一致して安心したのか、シノブに向かってにっこりと微笑んだ。
「とすると、町や村の場所も昔と変わってないかもしれないね。アミィの情報通りで助かるよ」
シノブは事前に聞いた情報と同じで安心し、更に先行きに明るさを感じた。そのためだろう、アミィに向き直ったシノブの顔には、大きな笑みが浮かんでいた。
「これもアムテリア様のお陰ですね」
「アムテリア様もそうだけど、アミィのお陰でもあるさ」
シノブはアミィの頭を優しく撫でて労う。
アミィはちょっと恥じらいつつも、嬉しげだ。彼女の頬は赤く染まっているし、頭上の狐耳もピクピクと動き背後では尻尾が大きく揺れている。
この可愛らしくも頼りになり、そして時に厳しく導いてくれる少女と、これから歩んで行くのだ。シノブの胸中に、そんな温かな思いが湧き上がってくる。
これまでの森で過ごした十日少々で培った絆というべきものは、シノブにアミィへの強い信頼を宿した。もちろん、彼女に頼るだけでは駄目だ。早く追いつき共に支え合うようにならねばとシノブは思う。
しかし焦る必要は無いだろう。二人の旅路は、まだ始まったばかりなのだから。少しずつ技を磨き、心を育て、この世界を巡ろう。シノブの胸に、強い決意と同じくらい大きな希望が膨らんでいく。
「とにかく、予定通り南に行くか」
新たな気持ちとなったシノブは、将来から今に思考を戻す。
想定と大きな違いが無いのであれば先に進もう。そう思いつつシノブは街道の方を再び見やる。
するとその時、騎士らしき者を乗せた馬が蹄の音も高らかに街道を北方から駆けてきた。更に少し離れて二頭が同様に、それぞれ同様の甲冑を纏った騎手を乗せて追いかけている。
いずれも人馬一体となり、土埃を立てつつ疾駆してくる。三頭の馬はどれも馬体が大きく、矢のような勢いでぐんぐん近づいてくる。おそらく相当優秀な軍馬なのだろう。
それを見たシノブは、がっしりとした馬体なのに随分と速いと驚いていた。おそらく日本にいたころ見たG1の優勝馬並みに速い。シノブは僅かに興奮を覚えつつ、アミィを除くと初めて目にする新たな世界の人々を見つめていた。
お読みいただき、ありがとうございます。
次回から第2章になります。




