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準備と決行

 あれから街中を少し歩いて見つけた質屋に寄って貰ってきていた金を売った。

お金はどうしよう、ということで高く売れてこちらにもある金を持って来ていた。


 エリックはある店で手に入れた地図を見ながら、アリスがついて行くかたちで歩道を歩いていた。


「どこに向かってるの?」

「分かんね」

「はあ?」

ちょっと威圧的に言われた。

同じところを何度も通りながら歩き続けていた。2時間は過ぎたのではないだろうか。


「もう、ホテルでも見つけて予約とらなきゃやばいかもよ?」

「えー?あー、そうかもな」

「どうしたの?」

心配されて顔を覗かれた。


 さっきから自分でも何がしたいのか分からない。頭が回らない。もうここはアリスに全部任せてしまおう、そうしよう。


 エリックはアリスに地図を差し出した。アリスは受け取らず、ポケットから折りたたまれた地図を取り出した。

「私が先導しろと?」

「あんのかよ。ま、そういうことだ」

「オーケー」

アリスはエリックを追い越して歩いた。




 まずアリスがしたことはホテルの確保だった。数件見て回って決定した。その後すぐに街に戻った。


 準備って、何かすることあったかな?


 エリックは考えてみたが特に出てこない。

そんなことを考えているとき、アリスはどこに行こうとしているのか気になった。

アリスに、どこに向かってるのか聞いた。


「どこにも向かってないわ。街の把握よ」


 俺と同じだな。いや、これにはちゃんと目的があるから違うか。


 アリスが何か思いついたような顔をした。

「ご飯、食べましょうよ」


 そういえば、もう昼過ぎだしな。思い出したら腹が減ってきた。


 エリックは腹に手を当てた。なぜ今まで空腹に気付かなかったのか不思議に思った。


「もうお腹ペコペコ。美味しいもの何かあるといいけど」

アリスは言って歩き出した。さっきより歩くのが速い気がした。




 2人ともどの店が美味しいのか分からなかったのでファミレスで食事をとることにした。特に文句は無く満足した。

その後は適当に道を確認しながら気になった店に入る、そんな事を繰り返して気付けば夕方になっていた。

夕食は昼とは違うファミレスで食事をとり、ホテルに戻った。

ホテルではふたつ部屋をとり別々に過ごすようにした。


今、アリスはエリックの部屋を尋ねている。

「明日まではこの街に慣れるためにこんな感じで良いわよね?」

アリスはベットの隣にあるテレビの前の椅子に座って頭だけをエリックの方に向けて質問した。

「そうだな、1回見ただけじゃ不安だし」

エリックはベットに仰向けに寝転がっていた。


 結構歩いたかも。初めてのところってのは不安もあるがやっぱり楽しいな。


 今日に満足して1人微笑んだ。


「何笑ってるの?」

アリスが怪訝そうに質問した。

「いや、別に」

そう言ってアリスに背中を向けた。

「もう俺寝るわ」

時間は11時を超えていた。

「そうね、私も寝るわ。じゃあ明日は10時くらいに出発しましょう」

「分かった・・・」

早くも寝かかっていたので声がおかしかった。

アリスは少し笑って、部屋を暗くしてから出て行った。その直後からエリックは寝息をたてだした。




 昨日はその前の日とほぼ同じことをした。街を歩き回って、店に入っての繰り返し。


 だが今日は違う。計画、ってほどでも無いかもしれないけど、決行する。


 昨日の夜にエリックの部屋で行動を起こす場所を決めた。

今そこに来ていた。この街の中心部近くにあるスクランブル交差点だ。


 2人は周りを少し見渡した。ショッピングモールなど大型の店が集中していることが人の多い理由だろう。

「うん。ちゃんと居るね」

エリックが人通りを確認して言った。

「大丈夫そうね」

アリスが返事をしたあと2人はここから少し歩いて建物の間に出来た細い道路へ移動し、近くに人が居ないことが分かると急いで空へ飛び上がった。

エリックは今さっきまでいたスクランブル交差点の真上へ、アリスそこに近いビルの屋上に向かった。


 もう本番だというのに、この事を考えてた頃の方が緊張したな。ま、今はみんなが俺に気付いてくれるのを待つだけだ。


 エリックは腕を組んで待ち、アリスは屋上から下を覗き込んでいた。




 30分ほど経っただろうか。下がうるさく感じたので見てみると、いつも以上に賑わっている気がした。良く見ると通行人達が上を向いているのが分かる。


 お、良いんじゃないの?集まってきたね。


 アリスの方を見た。目があった。

「あと少し待ちましょう」

アリスが大きな声で言った。

「オーケー」

こちらも大きな声で返してやる。


 と、バラバラバラバラ・・・という音がどこからか聞こえてきた。周りを見渡すと遠くからヘリコプターが1機こちらに向かって来ていた。


 熱心なマスコミだな。


「カメラも来たんだし、もういいんじゃないか?」

先ほどと同様に大きな声で言った。アリスは言葉の代わりに大きく頷いた。


 許可が下りたってことでいいんだよな。


 ヘリコプターが近づいてくるのを待つ間にエリックは深呼吸をした。


 良し。やるか。

両腕を下に向けて炎を放射し始めた。



今までで1番長くなった。

上達してると良いんだけど。

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