事件数日前 異世界にて
森林ではあったが、その辺り一帯には草が生えていなかった。木だけが大きく生長していた。
地面に雑草がほとんど生えていない、俺の好きな森だ。虫が少ない気がしていい。
そう思いながらエリックはしゃがんで手に持ってる石を隙間なく孤の形に並べていた。
この石はいつ見ても綺麗だな。
石は丸く手を握ったくらいの大きさで、透明だが少し青みがかっている。
数分後、孤は半径1mの輪になりつつあった。それを並べ終えようとしたとき、あることを思いだした。
輪を完成させずに、石を1つ足りない状態にしておかなければならなかった。
決まりだったな。
やることをやったので休憩もかねて近くの木に背中をあずけて座った。
あー、あと何分ほど待ちゃいーんだ?先に行って景色でも見てていいかな?絶対だめだけど。
エリックはバックから余った石を3個取り出してジャグリングをしてみた。なかなか上手くいった。1個追加。まだまだいける。もう1個追加・・・
調子良いね、がんがんいこう。
自然と笑みがこぼれた。
ちらっと何気なく横を見ると待ち合わせていた人物、アリスがいた。
呆れて笑われている気がする。ちょっと恥ずかしい・・・。
遊んでいた石をそそくさとバックにしまった。
アリスが額に手を置いてため息をしながら近づいてた。
「はぁ、あなたって緊張しないの?」
「あ?緊張?こんな事で緊張なんかするかよ」
「言っとくけど、石並べのことじゃないわよ?」
「分かってるよ」
「なら、遊んでないで真剣にしてよ」
「い、いや、これはリラックスのためだ、うん」
とっさに思いついた嘘を言ってみる。
多分、バレてるだろうな。
「はぁ・・・。まあ良いわ。じゃあ、行きましょうか。あ、ちゃんと並べたの?」
怪しむように言ってきた。
俺もサボってばっかりなわけないだろ?
並べ終わった石を指さして示してやった。アリスは手で口を覆い、驚いたふりをしている。
今のはイラっときたぞ。
アリスは微笑みながらこちらに向いた。
「最後の1つ、置いてくれる?」
「ああ。分かったよ」
舌打ちをしながらバックから石を取り出して、輪の隙間に石を置いた。
すると、石が光を放ち輪の形を保ったまま浮き上がり、縦向きに起き上がった。そして空洞の部分が歪み、景色を変えた。
この先が・・・。
「良し、ちゃんと繋がったみたいね」
満足そうにアリスが言った。
そうだな。と、エリックは言いたかったが声が出なかった。
聞いたときは現実味無かったけど、いざやるとなると。緊張してきた・・・。
それに気付いたのかアリスが笑いながら言葉をかけてきた。
「あれ?今さら緊張してきたの?遅いわよ」
「お前はどうなんだよ」
「あなたのお陰で収まったわ」
なんだよ、それ。
「なら、行きましょうか。先に行ってもいいわよ、エリック」
「レディファーストじゃないのか?」
そう言ったが、聞いてはいないだろうと思い自分から先に穴をくぐっていった。
表現力とかもっと欲しいです。
追記
これまでのものを、結構編集しました。