記憶の扉
神宮寺 城介
17歳。
おちゃらけた性格で手先が器用。
すぐに誰とでも仲良くなれる。
愛機はツインセイバー
世界の狭間
世界と世界の間にある高エネルギー空間に浮かぶ黒い霧の発生する不気味な城。
不気味な城の中の奥の部屋。
巨大な魔王の像に祈りを捧げるシラー。
「ジャミ様、いよいよ奴が帰ってきます。」
するとラディーゴが現れる。
「シラー様、読んでまいりました。」
すると骸骨の騎士、コンドル型の鳥人、黒いジャガーの獣人、蛾人間が歩いてきた。
「スケルゴス、ここに。」
「バルチャー、ただいま参った。」
「バラモン、来たぜ。」
「ガデラインここに。」
するとシラーが椅子に座る。
「ついに我らの神が復活する時が来た。そして、お前たちの指揮官も時期に来るだろう。」
すると魚人ラディーゴが前に出る。
「お待ちを、指揮官とはあなたではないのか。」
「私はあくまでもジャミ様の補佐に過ぎん。」
「しかし、行動が大会終了時すぐでなくとも。」
蛾人間が食いかかる。
「そうだ、今すぐにでも行動を・・・・。」
するとシラーがシーサーペントを構える。
「文句は許さん。指揮官の到着までは行動はするな。」
バグラー
商業と建築の発達した世界。
高層ビルと高木が共存する不思議な世界。
「・・・・ふぅ・・・。」
「大丈夫?」
心配そうに見つめる華音。
ハインは笑顔をとっさに作って笑う。
「平気だ。」
平気ではない。
なくしたものを取り戻す・・・しかし、待っているのは絶望の可能性。
いま、ハインの胸は張り裂けそうなほどであった。
妙な緊張感が呼吸を乱し、重いプレッシャーが吐き気を催す。
とっさにホルスターからセインキャリバーを取り出して見つめる。
「平気・・・だよな。」
何も答えはしない、ただいくらか楽にはなった。
とりあえず言えることはセインキャリバーと華音は裏切らない・・・かもしれないということ。
しばらく歩いていると目的の場所についた。
遡ること3時間前・・・
「心の・・・湖?」
起きて朝食を済ませたハインはベッドの上でバグラーの世界のパンフレットを見ていた。
「心の湖は奇跡を起こすと言われています。
動かなくなった足や見えなくなった目を治したとも言われており一度は行く価値あり、だって。行くの?」
もはや最後の希望はここしかないであろう。
「とりあえずプロクレスに乗るらしいな。」
「プロクレス?」
「この世界の移動手段で巨大なコガネムシらしい。」
「プロクレス乗り場に着いたが・・・・次の便まであと10分か。」
すると後ろから声をかけられる。
「ヘイ、にぃちゃーん。何しけたつらしてんだよ。」
目の前にいたのは少し間抜けっぽい顔をした同い年ほどの少年だ。
「バグラー代表?」
「そうだぜ。おれは神宮寺城介。シクヨロ〜。」
「おれはハイン。こちらこそ。」
握手を交わす二人。
待合室に行くとそこには見覚えのある顔ぶれがいた。
「みんな。」
アーウィン、幸三郎、メイ、大介、レイの姿だった。
「お久しぶり、元気だった二人とも?」
「僕たちも一緒に行きますよ。」
「占いの結果が知りたくて。」
「・・・・ドクターが回復具合見ろって・・・・・。」
「分かれていた仲間が勢ぞろい・・・・なんて暑いんだぁ。」
すると城介が驚いて質問する。
「まさか全員各世界の代表ってか?」
ハインはうんと深く頷く。
どうやらハインの記憶が戻るかもしれないと聞いてやって来てくれたのだ。
すると次の便が来たとの放送が入り全員はプロクレスに乗った。
プロクレスの中では城介の提案でお互いのマシンを見せ合っていた。
しかしそんな賑やかな雰囲気の中ハインはやはりなんとも言えぬプレッシャーで怯えていた。
そんなハインを優しく見守る華音。
そしてついに、着いた。
「こっから10分くらい歩くぜ。」
林道を歩いて行く。
緑の匂いがして来た。
その時だった。
『待ちなさい。』
巨大な声が響いた。
そこにあったのは巨大な樹だった。
「あんたは・・・千年樹。」
千年樹とは初代のバグラー神であり今は引退してここにいる。
「心の湖へ行くのか?」
「はい。」
すると千年樹は静かに目を閉じた。
「お主は何を取り戻したいんじゃ?」
「記憶です。」
「記憶とは不思議なものじゃ。突然忘れたり突然思い出したりを繰り返す。
もしかしたらお前さん自身がその記憶を必要としていなかったのかもしれんぞ。」
そう言うと千年樹は消えた。
「記憶・・・おれ自身が拒絶・・・。」
ハインはわかるようなわからないような感じであった。
心の湖のほとりに着いた。
虹色に輝く水。
神秘的だった・・・。
その神秘さが怖かった。
するとアーウィンが肩を叩いた。
「大丈夫、僕らがついてる。」
「ありがとう。行って来る。」
ハインは湖の中に入る。
水なのに心地よくまるで誰かに抱きかかえられているような感触だった。
そして少し深い場所に着くとハインは湖の水をすくって一気に飲んだ。
その瞬間、激痛!?いやよくわからない。
まるで頭の中を何かが駆け回るような感覚が現れた。
見覚えがないようでうっすらと覚えているような光景が脳内を駆け回る。
「これは・・・・これは・・・・。」
そしてそれが収まった時ハインは空を見上げていた。
その目からは溢れ出る涙。
「そうか・・・・・そういうことだったのか。」
しばらくしてハインが戻ってきた。
「どうだった?」
「だめだった。」
笑顔で答えるハイン。
しかしその表情からは緊張感がすっかり取れていた。
「そうですか。残念でしたね。」
「平気、僕は大丈夫だよ。」
「?」
そうして彼らは会場である中心世界ミレニアンに向かった。
「どうした?メイちゃん。」
大介が不思議そうに聞いた。
「なんでもない。気のせい。」
1日後
ミレニアンウルトラアリーナ
『レディィィィィィィィィィス、エェェェェェェェンドゥ、ジェントルメエエエエエエン!!
ついにこの日がやってまいりました。
全世界の運命と新たな指導者を選ぶ神聖な祭典・・・ワールドミレニアムウォーズ!!」
ワアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!
客席から完成が起こる。
その振動がステージを伝わる。
ついに始まる。
運命の戦いが・・・・。
つづく
ツインセイバー
クワガタ虫型のワイドブレイカー。
連写に長けている。
必殺技はガラティーンショット、フォールインヘブン。