地獄の十五分
「ハハハハハハハハ!!」
試合の映像を見て笑うシラー。
「どうされましたか。」
不思議そうにシラーを見つめている兵士たち。
「これだよ。」
そう言ってシラーは試合の映像を一時停止した。
そして、ある一点をズームする。
「決着弾のようですね。」
「そう、我らが指揮官の使う決着弾シャドーブリンガーです。
シャドーブリンガーは覚醒までに時間がかかるので真の持ち主に渡される前に点々と放浪する性質があるのです。様々なブレイカーの元を渡って恐怖を吸い取るのです。」
兵士たちは一斉に震え上がった。
そんな恐ろしい決着弾の存在など知ってるものはほとんどいないであろう。
「我らの計画はついに成功するのだ。」
すると全員が配置に着く。
「我々はミレニアン付近の時空で停滞する。各員はサラマンデスで戦闘待機だ。」
ついにサラマンデスが動き出す。
時空の狭間を多い尽くす黒い艦隊が次々と発進する。
「さあ、決勝を始めるのだ。はっはっは!!」
選手宿舎
星空をにあげてぼーっとしているハイン。
今日のあの試合、なんだったんだ。
黒い剣、謎の快楽、わけがわからなかった。
ただ言えることはあの時あったはずの黒い決着弾が今はないと言うこと。
「あれは・・・・いったい・・・・・。」
そうしていると誰かがとんと背中を叩いてきた。
「アーウィンか。」
「明日は緊張するな。」
そう・・・・、決勝戦、明日が終われば俺たちは再びバラバラになる。
そう思うと・・・・やるせなくなる。
「アーウィンは・・・・どう思う?」
「うーん・・・・決着をつけたいね。」
やっぱり、ここまで繊細に考えているのは自分だけ・・・・か。
「でも少しさみしいかな。」
ハインはまた空を見上げた。
「平気さ、絶対に記憶は戻るよ。」
「あぁ。」
「住所送るしメアドも教えるから絶対にまた会える。」
「・・・・・ありがとう。」
そう言ってハインは部屋に戻った。
ベッドに横になるハイン。
少し経つとドアを誰かがノックした。
開けるとそこには誰もいなかった。
だが・・・・そこにはサンドイッチが置いてあった。
「手紙・・・・華音か。」
封筒を開けるとそこには全員分の住所とメールアドレスが書いてあった。
そして二枚目にはガンバレと書いてあった。
「・・・・・・いただきます。」
黙ってサンドイッチを頬張った。
そして、すすり泣く声も一緒に聞こえた。
翌日
コロシアムは静寂に包まれていた。
スポットライトが当たる。
『さぁ、長かったワールドミレニアムウォーズもいよいよ最後となりました。
この勝負で最後となります。では最終決戦開幕宣言をバーディス神ハイファルコンにしていただきましょう。
コロシアム中心の宣言台に巨大な鳥人が歩いていく。
『ゴホン!!
皆様、ついに世界の真の代表を決める最後の決戦が開始されます。
真の勇者に選ばれた彼らであれば誰が勝とうと世界は秩序を保たれるでしょう。』
歓声が大きくなっていく。
『それでは、長くなりましたがここに最終決戦開幕を宣言いたします!!』
ワアアアアアアアアアアアアアアア!!
『それではいってまいりましょう!!
ナイトリアス代表!!
ハインせんしゅううううううう!!』
ハインがスポットライトに照らされながらレッドカーペットを歩いてくる。
『ハイン選手はその高等テクニックにより予選一回戦では全ての技術協議で満点を獲得。
まさしく愛機セインキャリバーは彼にしか扱えないでしょう。』
ハインがバトルフィールドについた。
『続きまして、バーディス代表!!
アーウィン・岡崎せんしゅううううううう!!』
「イエエエエイ!!みんな今日は盛り上げるよ!!」
アーウィンが客席の観客に手を振りながら歩いてくる。
しかしハインにはわかった。
彼は平常心を保つために笑顔を作っていることに。
『アーウィン選手もパワータイプでありながら技術、バトルにおいてもかなりのテクニックを披露しました。
愛機ハイファルコンは一時はコアの損傷により危機的状態でしたが完全復活だ!!』
アーウィンが配置についた。
すると二人の立つバトルフィールドが空中に浮き出す。
構える二人。
『それでは最終決戦のルールを発表します。
最終決戦のルールは・・・・・・・、
15ミニッツデスマッチ!!』
「え?」
「15ミニッツデスマッチだと・・・。」
ハイン、アーウィンが構えた手をとき、観客が黙り込んだ。
15ミニッツデスマッチ
ワイドブレイカーのルールで最も盛り上がるルールである。
お互い0ポイントから始まり、相手のアタックポイントにヒットさせるごとに1ポイントが加算されていく。
15分の間に相手より多くのポイントを獲得できたプレイヤーが勝者である。
「骨が折れるな。」
笑ってやれやれと言うポーズをとるハイン。
「これは血も出るな。」
笑い出す二人。
わかっていた、この世界ゴルドランでのワイドブレイカーの戦いは同じようにダメージを受けるものであると。
つまり今回の勝負は先にダメージを受けたものが不利になる。
勝負を分けるのはどれだけ体力を温存しながら攻撃をかわすかだ。
「バトルスコープセット。」
3・・・・・・・、
「弾は満タン!!」
2・・・・・・・、
「いくぞ!!」
「おうっ!!」
1・・・・・・・、
Go ブレイク!!
勝負の火蓋が切って落とされた。
つづく