表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/7

第五話 仲良くなりました?

「えっ…お、女の子?」


どうやら《ペルソナ》は正常に発動しているようだ。

この仮面は塔に出るフロアボスが低確率で落とすことがあるA+++クラス装備で塔の攻略組でも片手で数える程しかいない。

その効果は顔、体格、声などアバターの容姿情報の改変やステータス情報の表示を偽造など戦闘よりもプレイヤー同士の交渉など商人みたいな生産職の方が活用法を見出せる魔法具ではある。

ただこれを持っているとPKや暗殺者アサシンをやってる過激なプレイヤーがこれ欲しさに寄ってくる。


僕を含めた所有者はそれなりの実力者だし手放す気もないのだけれど彼らにはこれほど都合のいい装備はないから売ればかなりの金になるため一時期は非公式で所有者を対象に盛大なPK大会らしきものまで発生する始末だった。

結果、対人戦闘に関するスキルや技術がかなり上達したのだが。

今僕の姿は十七、八くらいの銀髪の少女に見えているはずだ。

もちろん体つきもそれ相応に女性らしく。


「はい、私は女ですが…それがなにか?」


彼らの顔は先程とは違った驚愕に満ちていた。

アーマーベアを真っ二つにした上にそれをしたのがそう年の変わらない女の子なら仕方ないとは思う。

このまま話が進まないのは困るのだけれど。

少し漏れた苦笑に彼女たちの一人はふと我を取り戻した。


「すみません、少し取り乱してしまいました。」


一歩進んで凛とした雰囲気を纏うその女性はマジシャンのエルフさんだった。

ぴしゃりと背筋を伸ばし長い銀髪を揺らしている。

顔は切れ目が印象的なクールな女性のようだ。


「いえいえ、状況が状況ですから仕方ありませんよ。」


「助けていただいたにもかかわらずお礼も言わず…。」


「かまいませんよ。それよりもアーマーベアを解体しなくていいのですか?」


彼女達の後ろに倒れているアーマーベアを指でちょんちょんと指してみる。

メニューのクエストの欄を見れば達成したかどうかがわかるゲームとは違って、この世界でなにが討伐の証拠になるかは知らないが少なくともその死体が素材になるのは変わってはないはずだ。


「ああ、すっかり忘れていました。カイ、ジーク、すみませんが先に回収していてくれませんか?私は彼女と話がありますので。」


エルフさんがさっと後ろに目を流すと二人はうなずいて彼女たちが倒したアーマーベアのもとに向かった。


「こちらはどうするおつもりですか?」


と彼女が指したのは僕が切り殺したアーマーベア。

正直アーマーベアクラスの素材など僕にとっては売る以外に用途がないのだが僕はこの世界に来たばかりでまったく情報がない。

地名、国名、文化、宗教、物価などなど知らなければならないことがたくさんある。


中でも早急に必要なのは貨幣と言語だ。


言語は話す分には問題ないとはわかったが文字が読み書きできないとこの先苦労するだろうからもし異なるなら習得しようとは考えている。

それよりも必要なのはお金だ。

アイテムの欄には装備とその他の道具が入っているのは確認済みでその中にはゲーム時代の通貨ラグが白金貨、金貨、銀貨、銅貨の形でそれぞれ入っていたのも確かめている。

これがこの世界に通用するものなら僕は億万長者なのだが違っていたら無一文だ。

ならここは貰っておくべきだろう。


「私がいただきます。旅をしていますから、旅費の足しには十分でしょう。」


「な、なら私がやります。」


驚いたことにそう申し出たのはプリーストの少女だった。

こういう仕事なのだから確かに解体はできるのだろうけれど全体的におっとりとした雰囲気と垂れ目がちな目からも進んでやるようには見えないのだけれど。


「あなたに少しでもお礼がしたいのあたし達に任せてくれないかしら?」


双剣さんのフォローに彼女の申し出に得心が行った。


「全員でしましょう。そのほうが早く済みますから。ちょうど回りにもそれらしい影もありませんし。」


「はい。」


プリーストさんはうれしそうに返事を返してそれに続くように双剣さんやエルフさんもそれぞれアーマーベアの解体にとりかかる。

ナイフを取り出してアーマーベアの硬い皮を剥いでいく。

真っ二つになっている分切り出すのは比較的簡単だった。

お互いに口が利けるくらいには。


「そういえば、まだ自己紹介していなかったね。あたしは人族で名をスエーラ・スカーウェンという。一応このパーティのリーダーをしている。先程は助かった。」


「気にしないで、旅費が心もとなかっただけだから。」


「それでもだ。本当に助かった。」


肩にかかる明るい赤味がかった髪を揺らしてニパッと笑うスカーウェンさんにいえいえと手を振って笑顔で返す。


「次は私ですね。私はアイシェ・キルケネス、エルフ族です。マジシャンをしております。よろしくお願いします。」


綺麗に頭を下げるのは生真面目な証拠だね。


「わ、私はフーレン・カルマーレです。じ、人族でプリーストをしてます。そ、そのありがとうございました。」


すごく噛んでる様子が少し小動物的で可愛いらしい。


「そして、向こうにいる二人がジーク・アレンダールとカイ・ロストク。剣を持っているのがジークで弓を背負っているのがカイだ。」


こちらの視線に気づいたアレンダール-獣人さんがこちらに手を振っているのに答えて僕も手を振り返す。

ロストク-弓兵さんは黙々と作業を続けていらっしゃる。


「ウイさんは先程旅費とおっしゃいましたが冒険者にならずに旅をしていらっしゃるのですか?」


「私の集落は人里離れた元隠れ里でね。見聞を広めるために里を出てきたばかりなのですよ。だから外の世界についてはあまり・・・ね?」


「隠れ里ですか?」


「先祖代々ってやつですよ。特有の習慣なんかはありますけど特に隠すこともないですから外から来る商人も何人かいますね。でも冒険者の方を見たのは初めてです。噂には聞いていたのですが。」


「冒険者がいないってこいつら、モンスターはどうしてるんだい?手に負えないのもいるだろう?」


「私たち一族の土地は魔除けというのがあってこの熊みたいなモンスターが入ってこれないようになってますからそういう依頼は必要ないですね。外にはないんですよね?」


「聞いたことないですね。そんなものがあるんですか?」


と興味津々に食いついてきたキルケネスさんとカルマーレさんに苦笑しつつ、里の土地にしか使えないらしいんですけどねと言ってそのまま彼女達の質問に答えながら作業を進めた。

そのまま十分もしないうちにアーマーベアの解体を終えて荷物に詰め込んだ。


「ウ、ウイさんはこの後どうするんですか?」


「近くの町にこれを売りに行こうかと思っています。」


パンパンに張った鞄をポンポンと手を当てる。


「なら、あたしたちと一緒にどうだ?ここからならあたしたちが帰るザイークが一番近い。まだちゃんとお礼もしていないしな。」


かっこいい顔立ちのスカーウェンさんが少し不安そうにこちらの様子を伺っている。

よく見ればキルケネスさんやカルマーレさんも同じように表情が不安そうだった。


「いいですよ。一緒に行きましょうか。」


彼女達の明るくなった表情を見ながらまぁ、軌道修正できたかな?と考える僕であった。



一話書くのにかなり時間がかかってしまいます。

今回の話もちゃんと書いたつもりなのですが誤字や脱字など不備があるかもしれません。

容赦なくご指摘お願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ