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第四話 出会い?

学校の方がひと段落つきましたので

久しぶりに投稿させてもらいます。

―しまった。


そう思った時には既に彼らの後ろに現れたもう一匹のアーマーベアに手を出してしまっていた。

彼らを尾行するために顔、声や姿を変えることのできるA+++クラス魔法具≪変式仮面(ペルソナ)≫を装備しながらも≪索敵≫によって接近していたのは確認していた。


先程の戦闘で彼らはCランクくらいの実力があることは明らかだったしそれに相応しい経験もあるだろうと判断して彼らを見失わないために放っていたのだが彼らは目の前アーマーベアを倒したことに注意を奪われていて全く後ろから近づくもう一匹のアーマーベアに気づかなかった。


焦ったのは僕だ。


今の彼女たちのレベルではアーマーベアの攻撃は前衛の防具を容易く貫通するくらいに強烈なものだ。

そんな攻撃が後衛である二人の少女に襲いかかれば結果は火を見るより明らかである。


ここはゲームではない。


本当に死ぬのだ。


既にアーマーベアは二人に睨むように狙いをつけ、その腕を高々と持ち上げた。

考えている余裕もなく僕は太い枝をしならせ、身体を宙に打ち出した。

飛び出した身体はアーマーベアの真後ろに目掛け、放物線を描く。


双剣さんが走り出すのを視界に入れながら袖に手を入れ、仕込んでいた短剣を勢いよく取り出せば、アーマーベアにスキルを発動した。


一閃(スラッシュ)


重力に従い、落下するのに合わさるように短剣を振るった。

剣に確かな手応えを感じると同時に足が地面につく。

ここに来て思ったのだ。


しまったと…。


当初の予定では彼らが依頼を終え、町に戻るところを森を出た後一緒にさせて貰おうと考えていた。

モンスターが蔓延る森の中で冒険者でもない僕が彼らと出会うのは不自然だし出来るだけ目立たないのが今の方針な訳で怪しまれるのは避けたかった。


これは明らかに失敗だ。

≪一閃≫によってアーマーベアは真ん中から綺麗に割れて血が滴り現実―ゲームなら血の演出はない―であることを証明していた。

視線をアーマーベアから正面に移せばそこには呆然と佇む双剣さんとアーマーベアに狙われたお二人さんがいて、その後ろにも目を見開いた弓兵さんと口をあんぐりと開ける獣人くんが立っている。


既に≪ペルソナ≫をつけているが無くてもフードなどで顔は見えてはいないだろう。

このまま逃げるのもアリな気がするがここまで来てそれは…と言う気持ちもある。

思わず額に手を当て天を仰ぎたい気持ちに駆られる。

はぁとため息をついて僕は覚悟を決める。


「大丈夫でしたか?」


誰も動かない空間に僕の声はよく響いた。

双剣さんたちはその声にビクッと反応するがどうすればいいのかわからないといった感じで無言のままこちらを見つめている。


「こちらはあなた達に危害を加えるつもりはありません。」


両手を挙げて降参のポーズをとり、その意思を示す。

実際この人達とは町に着くまで一緒に行動したい。


なにせこの世界の状況がゲームと同じとは限らない。


国や地名が違うならその辺りの情報を彼らからならリスクなく得ることができるだろう-人が良さそうなのに加え、いざとなれば力ずくでも彼らを倒せるからだ。

それに今後彼らとどのような関係になるとしてもある程度仲良くはなるべきだ。


「ああ、もしかしてこの姿では信用できないのでしょうか?」


僕はそういってフードに手を当てそのままフードを脱いで彼らに笑いかけた。


「私はウイといいます。どうかよろしく。」


高い声、腰にまで届き波打つ銀髪と青い澄んだ瞳に整った容姿を持つその女性へと変貌した僕はこのとき異世界生活の初めの一歩を踏み出したのだった。



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