出会い〜前編〜
まだ肝心な妹は出てきません(^_^;)
今日は土曜日。
昨日のドタバタで最悪な入学式とは打って変わってとてつもなく平凡な日だ。
「……」
普段なら今頃ゲームや漫画を読んだりして休日タイムを過ごしている頃なのだが……。
「何で、こんな日に……」
俺は今学校にいる。
それもこれもあいつ。
滝沢ミキのせいだ。
あいつのせいで要らない話を聞かされ、あいつのせいで要らない知識を脳内に埋め込まされ、
あいつのせいで要らん心配するハメになったからな。
「ったく何なんだよいったい」
彼女とは以外に幼なじみでもある。
それならもうあの頭のネジの抜けようにもなれてるはずだが、
彼女は以前、そんな性格では無かった。
どっちかと言えば今とは打って変わって完全現実主義だったからな。
恐らく彼女が開けておいたのだろうか、普段なら鍵のかかっている校門が開いていた。
きしむような音に耐えながらも門を閉め、
早足に屋上に向かう。
(絶対にとっちめる)
歯を噛みしめながら、階段を駆け上がる。
「にしても……」
俺は一つ疑問に思う事がある。
(俺が学校に着いたのは確か、昼の二時くらいだったよな?)
それにしてはおかしいのである。
外がやけに暗く感じる。
見た目的に七時くらいであろう。
もう空が暗くなっている。
「……、屋上に行くか」
とりあえず気にしないでおく。
俺はホラー系は嫌いだからな。
特に夜の学校ってのはな。
そうしてやっと屋上のドアの前へと着く、
「あれ? 何か聞こえる……」
少し耳をすましてみる。
話し声だ……。
二人いるな。
恐らくだが、片方のかすかに聞こえる声には聞き覚えがある。
(この甘い特有の声は……)
滝沢の声だ。
しかしもう片方の声は知らない声だ。
「………だ」
「………………。」
(よく聞こえねぇな)
そっと、ひんやりするドアに耳を付ける。
「いつまでそうしているつもりですか?」
(お、聞こえる聞こえる)
何やら焦ってるみたいだ。
声が震えてる。
「あいつが来るまでさ」
次に聞こえて来たのは知らない女性の声だ。
「あいつというのは次の適任者のこと、ですか?」
「そうだ、この学校にいるとまでは判明している」(適任者? 里香の事か)
もっと耳を押し付ける。
「ところでお前は何をしている? こんな所で」
知らない声が聞いた。
「人を待っています」
俺の事か……。
出るべきか? それとももう少し待つとするか。
後者を選ぶとする。
「誰を待ってるのだ?」
「あなたには関係ありません」
そう吐き捨てるように言った。
「ふん、まぁいい…… 」
こちらも吐き捨てるように笑う。
「ところでだ、お前」
「なんです?」
(なんだ? 急に嫌な気配が……)
俺は後ろを見る、
しかし何も無い……。
(やべぇ、怖い!)
(そろそろ出る……)
そこで俺の思考は停止した、滝沢の怒鳴るような声のせいで。
「なんですって!」
「ほぅ? どうやら知ってるようだな」
なんだ? 何があった……。
俺はドアの隙間から覗いてみる、
そこでは名の知らない女性、いや少女が滝沢の首をわしずかみにしていた。
(え!? やべぇんじゃねぇの?)
居ても立ってもいられない、早く助けないと!
そうしてドアを開けようとした瞬間、
「………だ?」
(え?)
彼女の発した言葉にまた思考が抜けおちた。
(いま、なんて……)
「もう一度だけいうぞ……」
「坂井 義人はどこにいる?」