能力
「高崎は・・・後天性の能力者なのか?」
「どうしてそう思う?」
「VRBなどで後付された能力者は発動を隠せない。電気信号の流れで一瞬だけ体表面を光が走る。それがあいつにはなかった。」
それは誰もが等しく持つ条件なのだ。
人工的に作られた能力者の限界。
後天性とはいえ、発動を悟られることはない。
先天性との違いは、対価、だそうだ。
「そういえば、あなたの妹、弥生も能力者ですよね?天然の。」
「・・・そうだ。あいつは先天性の純粋な能力者だ。」
それは予想がついていた。
あそこまで強力な能力を操るなら、対価は下手をすれば自分の命だ。
だけど・・・
「何か弊害はあるんでしょう?」
「・・・そりゃな。」
先天性でもあまりに強力すぎる能力は生まれながらにして不具合が生じる。
それが普通なのだ。
「・・・弥生はな、二つある。」
「二つ?」
一つではない・・・?
あの能力はつまりそこまで強力だということだ。
「一つは、あいつはあれ以上身長が伸びることはない。ずっとあのままだ。」
「いま身長幾つなんですか?」
「145cm。中学生では小さいほうだろ?」
「その辺はわかりません。それでもう一つは?」
身長あのままっていうのは大変そうだ。
いろいろと届かなそうで。
「もう一つは性格・・・というか人格だな。」
「多重人格とかですか?」
「そう。あれには絶対刃物を持たせるなよ?」
刃物・・・?
それかなり危ないと思う。
「もう一つの人格は快楽主義の狂人だ。あれとはたたかいたくないといった人間がたくさんいる。
できれば俺もあいつとは手合せしたくない。」
そう・・・ですか。
魔術師も人工の能力者と同じで、対価を払っている。
だが、それはある意味生きるために仕方ないことだと思う。
「最後に一つ聞いていいですか?」
「なんだ?」
「鋏嘩さんは何を望み、魔術師になったんですか?」
「・・・。」
そう、魔術師になるには望みがいる。
世界さえ敵に回せるほどの覚悟を持った望み。
それが一般人と魔術師を分ける違いなのだ。
「俺は・・・。」
そこで少し考えてから、小声でつぶやく。
「俺は弥生を守りたかっただけだ・・・。」
それが・・・あの強さに・・・
それだけその思いは強いのか・・・
今回短めで。
少し能力者について書きたかっただけです。
次回から本編に戻ります。
まだまだ人が増えますよ?
収集つかないくらい(笑)