ツイてねぇ・・・
運がない日in悪友むしろ腐れ縁
今日は朝からついてない。寝坊するし物なくすしケータイは落とした挙句に姫さん(犬)にヤラレた。恐らく占いなら最下位間違いなしってくらいだ。まあ、授業は比較的当てられなかったからそれを差し引けばイーブンになるのかもしれない。まあ、無理だけど。
とりあえずケータイがないので、久々に時間を気にせず本屋に行こうかなと大学を出ようとしたら、物凄い人だかりが入口を塞いでいた。邪魔以外の何物でもない。まあ、くぐり抜けたりすり抜けたりするのは得意だけど。そういう時は体格が小さめでよかったと思う。素早い行動には向くけど、やっぱり
しゃくにさわるものがあるよな。
それはともかく、この人だかりには見覚えがある。うちの大学には有名人もびっくりなレベルのイケメンさんがいて、大抵の女子はそいつに夢中で砂糖に群がるアリのごとく隙あらば群がり、時間がなくても群がるというはた迷惑極まりないもので、彼女たちの黄色い咆哮に何度読書を邪魔されたか数え切
れないため不本意ながら覚えてる。
それはともかく、俺はそんなのに興味はない。さっさと本屋に行きたいんだむしろ本屋が本が物語が俺を呼んでいると言わんばかりの勢いですり抜ける。そして、そのイケメンさんが見えるような位置に来たとき、意図せず俺の足は止まった。イケメンすぎて見とれたとか一目惚れしたとかそんな少女漫画的な展開ではない。そのイケメンさんと対峙してる人物に見覚えがありまくりだったからだ。むしろ悪友だった。ジーザス。
しかもこの二人、表面がにこやかなだけで全然笑ってない。むしろ寒い。さっさと去りたいけどここから移動すれば確実に俺はあの悪友に見つかって捕獲されるだろう。だって悪友だし。できれば目立ちたくないので、しばらく静観することにする。勿論、忍者の如く気配を消して人の影にまぎれて、だ。
「全く君はなんで僕の前にいるのかな?さっさと消えなよ」
「その言葉そのままそっくりお前に返してやる。それに俺はここに用事を足しに来ただけだから気に入らないんだったらお前がさっさと消えろ」
「君の用事ってなに?もしかして、とうとう僕の前に跪く決心がついたとか?」
「お前とうとうイカレたのか?俺はただ本好と「それ以上俺の名を言うな」…いつのまに俺の背後とったのもっちゃん」
状況説明。悪友にこの大衆の面前、しかも目立つことこの上ない状態で俺のフルネームばらそうとしたので結構本気で背後に回り込んで蹴り飛ばしました。ヤクザキックで。まあ、よろめいただけだったのがイラついたけど、今はそれどころじゃない。
(背丈の割には)大きい手のひらで悪友の頭を鷲掴みたいところだけど、残念ながら届かないので妥協して腕を鷲掴み、にっこり笑顔で敬語になってない質問をした。
「で、なんでテメェがここにいやがるんですか」
「これからカラオケいこうぜって話になったのにもかかわらず何故か音信不通になったもっちゃんを心配してここまできたんだからそんな起こるなってマジで腕ミシミシ言ってるからギブギブマジでギブ」
「そのためだけにこんな目立つようなことになったのか?だったらちょっと屋上からジャンピング土下座をすることを推奨する」
「それってただの飛び降りじゃね?」
「違う。遠まわしに死ねと言ってるだけだ」
「十分ひでえよ。けど、カラオケにはくるんだろ」
「ああ、行く。久々に馬鹿騒ぎするか?」
「おー。…ところで、俺が言うのもなんだけどさ、宮藤どうすんの?」
「宮藤?誰だそれ。…ああ、イケメンさんだったら今後関わるつもりは一ミクロンもないから無視する。てか俺は早くここから離脱したい」
「久々にも関わらずその変人っぷりが変わってなくてサイコーだよ」
「そーかい。…じゃ、さっさとずらかるか」
悪友を引きずるようにして撤退した俺はその後も変わらず軽口を叩きあっていた。心は既にカラオケと悪友に奢らせるデザートとかに奪われてる。本屋はその後行ったっていいし、カラオケ好きだし。
「ところでなんでけーたい通じなかったん?」
「ああ、今朝落としたところを姫さんに襲撃されてデータしか無事じゃなかった…」
「ドンマイwww」
だから気付かなかった。いや、正確に言うとあえて無視してたようなもんだけど。悪友を毛嫌いしてるっぽいイケメンさんが、それをやり込めてるもしくはかなり仲の良いように見える俺のことをほっとくはずがなかったということを。
悪友と俺は男同士です。掛け算はしてません。これからどうなるかは未定。