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腐れ縁って切れないもんなんだね

 人が死んでるはずなのにえらいコミカルです。


 死にました。普通に買い物に出かけたら、トラックに轢かれて即死。

一寸先は闇って本当だったんだと最後の瞬間思ったのを覚えてる。


 で、現在。俺はかの有名な三途の川を渡っている。もちろん、平々凡々だった俺は、正式な手順を踏んで六文銭を渡して船に乗っている。そして、ちょうど真ん中まで来たところで、ものすごい勢いでこっちに向かってくるやつを見た。


 船頭さんも戸惑ってるし、滅多にあることじゃないみたいだ。…しかも、こころなしか俺の知り合いのバカの声に酷似している気がする。できれば気のせいであって欲しい。


 だけど、現実は残酷だった。三途の川をバタフライで爆進してたのは、知り合いの変人だった。俺が死んでそのすぐあとって・・・嫌がらせかと思いたくなるくらいタイムリーだ。あ、でもここにいるってことはアイツも死んだんだよな・・・。


「(´▽`*)アハハー、楽しーなー☆」


 船とすれ違う瞬間見えた顔と聞こえた言葉は、え、お前ほんとに死んでるの?むしろお前はやっぱ馬鹿なの?と言いたくなるほど能天気だった。


 俺のしんみりした気持ちを返せと言いたくなるような満面の笑み。清々しいほどのバカ全開っぷりに、俺はもちろん一緒に船に乗っていた人や船頭さんもポカーンとしていた。

 ポカンとしていたら、先に進んでいったはずの水しぶきがなぜか戻ってきた。そして、船べりにいた僕の方に思いっきり手を振ってきた。


「おーい!!そこにいるのは二日前に死んだ佐藤君だろ!?達者そうでなによりだ!!俺は先に行って待ってるから早く来いよー!!」


 その瞬間、船に乗っていた人たちの視線が俺に集中。確かにこの船の中にはあいつと同年代は僕しかいないから、特定しやすかったんだろう。でもそれとこれとは別。恥ずかしすぎてもう嫌だ。しかも、ものすごい勢いで追い越してったってことは、あっちでまた会うかもしれないという事で。


 そして俺は盛大に取り乱した。騒ぎの元となったバカはクロールで爆進してった。つまりもう、やつが待ち受けてることは確定だ。ヤツのことだ。下手に僕が行くまでに鬼か何かに先に進むように促されても物理で何とかしてる。ほぼ絶対。もう戻れない。逃げ道もない。

 そんな俺が取り乱すのは、当たり前のことだと思う。というか、残された数少ない権利だと思う。


「もういっそのこと死なせてくれー!!」


「待ってあんたもう死んでるから落ち着いて!!」


「嫌だよたとえ死んでたとしてもこの先にあいつが待ち構えてるの確実じゃん!!そしたらそのたびに俺は公開羞恥プレイ!?だったらここで溺れてやるんだぁ!!」


「イヤ気持ちはわかるけどホント落ち着いて!!ホラ、他のお客さんの迷惑にもなるし、みんなきっと分かってくれるから!!」


「嫌だあああああああああああああ!!」


「あ、ちょっと!!」


 船頭さんに羽交い締めにされてたけど、力が緩んだ隙に勢い余って三途の川にダイブした俺。遠くなっていく青い光と酸素不足でブラックアウトする意識の片隅で、死んだ後も溺死できるんだと思った。





「おぎゃあ!おぎゃあ!!」


「おめでとう!元気な男の子だよ!!」


 そして、気づいたら俺は転生していた。とりあえず、難は逃れた。(?)


 続編は、気が向いたら書きます。(多分)

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