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風紀委員は何でも屋じゃありません。  作者: ハンサムアジフライ
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風紀委員は恋愛相談室じゃありません。

 放課後の風紀委員室、二人しかいないと妙に広く感じる。

机の角に小さな紙くずが落ちているのも、普段は気にならないのに、今日はやけに目につく。


「……相馬くん、ちょっと拾いなさいよ」

振り返ると、作業中の結衣が無言で紙くずを指差していた。

その無駄のない姿勢に、つい俺は呆れて笑ってしまう。


なんだろう。完璧すぎてムカつく、でも少し尊敬してしまう。

こういう矛盾は、心臓に悪い。


「いや、待てよ、俺だけで拾うと変に時間かかるだろ?」

せめてもの抵抗も虚しく。

「ふーん、効率を考えて見てるのね、でも私は作業中よ?」

結衣は小さく鼻で笑う。その笑い声が、俺には妙に落ち着く。


結局、俺は一人で紙くずを拾い、机の上のプリントを整理することにした。

俺はダラダラと椅子に座り、結衣の動きを眺める。

その手際の良さと、無駄のない所作に、思わず心の中で感心する。

自分自身変に働くのは性に合わないと感じているのだが結衣の姿を見ているとじっとしていられない。

結衣がプリントを処理し、俺はそれを整理する。互いに声は交わさず、ただ手だけが動く。


「……意外ね、相馬くん、こういう作業は嫌いじゃないのね」

結衣が聞く。

「嫌いじゃないな、見るだけのほうが楽だけど」

「ふーん……まあ、いいわ。今日は手伝ってくれてるから文句は言わないわ」


ちょっと褒められた気がする。

いや、たぶん違う。でも、その気持ちを勘違いしたほうが人間関係は上手くいくものだ。


掃除や整理を終えると、自然と雑談になった。

「竹中の数学、あれむずくね?」

「まぁ…苦手な人には向いてない進め方だとは思うわ…相馬くんは理解できたの?」

「俺は案外優秀なんだ、半分くらいは理解できた気がする」

誇らしげに言うも。

「半分って微妙ね」

そう返されてしまった。

結衣は軽く首をかしげて笑う。

俺は心の中で苦笑する。


この人の笑顔に、意外と弱い自分がいる。

認めたくはないけど、否定もできない。


放課後の時間は、特に何も起きないまま過ぎた。

それでも、この小さな時間が妙に貴重に感じられた。

真面目に生きる人間を、俺はただ観察していた。


俺は干渉しない。人に関わって、動かして、それに責任を持てるほど立派じゃない。

でも、隣で笑っているだけで、少しだけ気分が悪くない。


 ――扉がノックされ、軽く開いた。


「依頼箱って見てきたんだけど、直接聞いてほしくて〜今いい?」


ギャルっぽい子が顔を出す。明るめの茶髪を軽く巻いていて、服は派手すぎず、でも目立つ。スカートは短いが校則の範囲内、表情は緊張と期待が入り混じっている。

俺は話を聞く前にわかった。


これ、絶対俺じゃ解決できないやつじゃん。


結衣は当然のように微笑む。「もちろん、どうぞ」と椅子を指す。

彼女が椅子に座り話を始める。


「彼氏がさ、ほかの子とも仲良くて…しかも私より可愛い子多くてムカつく!」

「あ、あたし『あかり』っていうんだけどよろしくね」と続ける。


うわ…恋バナかよ、人選ミスりすぎだろ…


「まぁそれは別にいいんだけどさ?私に何も言わずに二人で遊んだりするわけ…酷くない?そんなん私だって不安にもなるじゃん…でもさ、こういうのって話しても重いって思われそうじゃん?」


なるほどな、これは共感してほしいだけのやつだろ、ネットで見た。


俺は心の中で「さいて〜…」と呟くくらいで十分だ。

結衣は即座に分析する。


「確かに重いと思われるかもしれないわね。でも、あなたが彼のことを好きで、これからも関わりたいなら話し合うべきよ」


正論だな。

俺も頷くしかない。


「確かにそうだな。相手もちゃんとお前のことを思ってるなら話は聞いてもらえるだろう。それで壊れる関係なら所詮その程度だったってことだ。

でもまぁ、相手を思うからこそ怖くなるのも分かる。人の関係って、案外簡単に切れるもんだ。だから結局

、最後に選ぶのはお前だ」


俺の答えに彼女は一瞬目を丸くする。

「え…やっぱそれあるよね〜…でもそれちゃんと言ってくれるんだ、、」

――俺の言葉は少し重いかもしれない。

彼女はきっと、愚痴を聞いて共感してもらいたいだけなのだから。


しかし俺の考えとは裏腹に依頼者は、求めていたものを手に入れたように、少し肩の力を抜いて笑う。

ギャルっぽさが少し柔らかくなった。


「でもなんか、ちょっとスッキリしたぁ。ありがとう」


それだけ言って、彼女は軽く礼をしながら椅子に深く座りなおす。

ねぇ、なんで座りなおすの?話聞き終わって「ありがとう」でお別れじゃないの?


どうやら同じ考えの人もいたようで

「まだ残るのね」

と、結衣が小さく首を傾げて聞く。

「あ、えーっと、まだ話してたいなって思って!こんなちゃんと考えて答えくれるの新鮮でさ〜!」とあかり。


俺は机に肘をつき、二人をぼんやり眺める。


共感は求めている、しかし、話を聞いて共感して、うやむやで終わらせる会話じゃ、物足りない事だってあるのだろう。


結衣は「聞くだけで何かが変わるなら聞くわ」と。

何も言わず、ただ相手の話を聞き続ける。

俺は本を読みながら、内心で思う。


人の悩みを聞くって、疲れるな。

ただ、意外と悪くないな、と少し思った。


青春劇みたいで、馬鹿みたいだけど、俺は案外この活動が気に入ったのかもしれなかった。


結局、完全下校まで三人で風紀委員室に残った。

続きです。

読んでいただきありがとうございました。

自分のなかでキャラがちょっと固まってきた気がします。

エピソードタイトルは今のところ仮で書いてるのですがちょっと寒い気がするので早めに考えたいですね。


ダメ出しでもなんでもいいのでコメントお待ちしております。

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