非王道1
朝、隣の妹の部屋の目覚ましで目を覚ました。目覚ましが隣の部屋にあるため、止めにいくと目が覚め、かつ、ついでに妹も起こせるという一石二鳥で、これまで俺は自分の目覚まし時計を持ったコトがない。というか親が買ってくれない。もそもそベッドから起き上がり、制服に着替えてから、妹の部屋へ行き、妹を起こしたら、「セクハラ!」と言われた。反抗期か?!というか兄妹でセクハラはないだろうと脱力しながら下に行くと、母が朝食を用意していてくれた。トーストの上にバターを塗り、ふりかけをかけたら、完成!名付けてフリトーストを食べ終わり、コーヒーをのんびり飲んでいたら、妹がようやくばたばた降りてきた。
「遅刻しちゃう!」
と言いながら慌てるのを見て、自分も急がねばっ!と家をでた。
学校へ行く道の途中、もうすぐ秋だなぁ、学園祭がもうすぐだと思いながら歩いていると、角のところで誰かとぶつかった。
「「いたいっ!」」
見ると、同じ学校の制服を来たかなり可愛い女の子だった。リボンの色を見ると同じ学年だ。しかし、見たコトはない。大きなくりくりした瞳の黒いストレートの髪を肩までのばしていて、小動物みたいだ。リスってかんじ。…と、ぼーっとその子を見ていたら、
「ちょっと、あんた、ぶつかっといて、謝罪も無し?」
ときれられたので
「はぁ?ぶつかっといて謝罪もないのはそっちだろ!?だいたいぶつかってきたのは、そっちだし!ちょっとカワイイからって、生意気言ってんなよっ!!」
と逆ギレしてみたら、
「人のせいにしないでよ!私はちゃんと前見て歩いてました!そっちがよそ見してたんじゃないの?あんたも顔はカッコイイけど、性格最悪!」
と返ってきたので
「ちょっとよそ見はしてたかもしれないけど、だからと言って俺が悪い訳じゃない!俺はゆっくり歩いてた!走ってきたお前が悪い!」
と反論すると、ちょうど予鈴のチャイムが鳴ったのでヤバイっ!と走り出した。
なんとかギリギリセーフで教室にすべりこんだ。前の席の悪友が
「お前が遅刻なんて珍しいじゃん?何かあった?」と言うのをぼんやり聞いていたら、先生が教室に入ってきた。
「今日からこのクラスに転校生が来る。みんな仲良くしてあげるように!」
とありきたりな台詞を先生が言うと前の席の悪友が
「女?男?」
と早速聞くと
「野郎共、喜べ!女の子だ!」
と教師あるまじき言葉をはいた。もちろん、野郎共はおぉーと叫んで喜びを体で表していた。馬鹿だ…。
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先生が
「入ってこい」
と言うと女の子が一人おずおずと教室に入ってきた。大きなくりくりした瞳の黒いストレートの髪を肩までのばしていて、小動物みたいだ。リスってかんじ。
っアレ?って今朝のぶつかったアイツじゃん!思わず立ち上がって
「アー!!!」
と言うと向こうも気づいたみたいで、こっちを指差し
「アー!!!」
と言っていた。悪友が後ろを振り向き
「おまえ、いつあんな可愛い子と知り合ったんだよ?」
と聞いていたが無視だ。しかし、先生が
「おー、おまえら知り合いなら、席は隣同士がいいよな?」
と、いらんお節介を焼いたため、あの女が隣に来る事になってしまった…
………と、最初は嫌いだった二人がお互いの事を知っていくうちにだんだん好きになるって王道なんだけど………
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先生が
「入ってこい」
と言うと女の子が一人おずおずと教室に入ってきた。大きなくりくりした瞳の黒いストレートの髪を肩までのばしていて、小動物みたいだ。リスってかんじ。
「「………………」」
俺も向こうも、朝ぶつかった事などすっかり忘れていて、リアクションなど何もなく、もちろん席が隣同士になる事もなかった。