表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
姉に婚約者を奪われた令嬢、辺境伯の最愛の妻になって王都を見返す  作者: 影道AIKA


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

85/157

第085話 ー政庁の使者、再びー

おかえりなさいませ。

本日は、辺境での縁が再び王都で結び直され、

政庁が動き始める刻をお届けいたします。

政庁の外庭に馬車が入ると、

 白い柱の影から一人の男が歩み出た。


 「辺境伯閣下、奥方殿──

  再びお会いでき、光栄です」


 落ち着いた声。

 無駄のない所作。


 リリアナは、その姿を見てすぐに気づいた。


 「……クライヴ様」

 「はい。

  前回の査察では、お世話になりました」


 クライヴは軽く頭を下げた。

 その所作は王都貴族の派手な礼とは違い、

 静かな誠実さを帯びている。


 アルフレッドも頷いた。


 「王都で再び顔を合わせるとはな」

 「ええ。

  辺境での“誓い”の件、

  政庁の判断が揺れておりまして──

  中立の立場である私が案内役に選ばれました」


 その言葉に、

 リリアナの胸の緊張が少し和らいだ。


 クライヴは歩きながら続けた。


 「辺境で見た貴殿らの姿は、

  政庁の者にも伝えております。

  誓いは“恐れの法”とは違う、と」


 「……ありがとうございます」

 リリアナが頭を下げると、

 クライヴは一瞬だけ微笑した。


 「王都にも、耳の早い者が多くて。

  奥方殿がお越しになると知り、

  すでにいくつかの派閥が色めき立っています」


 アルフレッドは目を細めた。


 「王妃派か」

 「はい。ただし──

  表立っては動きません。

  “様子見”の段階です」


 そこへ、

 広場の反対側から視線が刺さる。


 数名の貴婦人たちが、

 扇子で口元を隠しながらこちらを見ていた。


 「……噂よりも、落ち着いた方ね」

 「お姉様とは随分……」


 囁き声が、風に散る。


 リリアナの胸がわずかに強張る。

 その気配を感じ取って、

 アルフレッドがそっと寄り添った。


 「気にするな。

  彼女たちは噂で世界を作る人々だ」


 「……はい」


 短い返事。

 けれど声は震えていなかった。


 クライヴは足を止め、

 政庁の大扉へ向けて手を示した。


 「本日の協議には、

  王妃派の重鎮が何名か顔を出します。

  ただ──」


 そこで一度言葉が切れる。


 「奥方殿の“名”に、

  一番反応しているのは……

  やはり、あの姉君の周辺かと」


 空気が静かに揺れる。


 リリアナは息を吸い、

 胸の奥の痛みを押し出すようにして言った。


 「大丈夫です。進みます」


 アルフレッドはその横顔を見て、

 穏やかに頷いた。


 「では行こう」


 大扉が開き、

 王都の中心へ続く回廊へ

 冷たい風が流れ込んだ。


 どこかで、

 “金色の残光”が揺れた気がした。

最後までお付き合いくださり、誠に光栄にございます。

次の刻では、政庁内での初会談が始まり、

王都側の“意図”がひとつ、はっきり形を取ってまいります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ