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そっちの趣味

挿絵(By みてみん)


結界魔道具にセットしてる魔石は魔力が切れる前に取り外している。


どういう原理なのか分からないが魔力の切れた空魔石は【廃品回収】スキルで

「空魔石→魔石or防火タイル」

という交換ができる。


魔力が切れてなくても

「魔力の減った魔石→魔石」

という交換ができる。


つまり【廃品回収】スキルを使うと魔石の魔力が充填できてしまう。

ゴミの山から空魔石20個を回収してるし、スキルで何度でも魔力充填できるので「使わないと勿体ない」と感じてしまう。


今のところ給水魔道具と結界魔道具しか持ってないが、そのうち他にも便利魔道具を拾う機会があれば拾っていきたいと思う。


古道具屋のオッサンにも

「中古の安い魔道具はないか?」

を尋ねてみたが


魔道具は壊れたものでも錬金術師が

「バラして構造を見てみる」

ために買っていくらしく

「仕入れてもすぐ売れるんだ」

との事。


「ゴミ捨て場にバラバラにされた魔道具が捨てられる事は有るかも知れないが、うちで仕入れる中古魔道具やジャンク品魔道具は優先的に錬金術師へ売る約束をしてるんだ」


そう言われてしまえば

「欲しい」

とも言えない…。


ともかくノートとチリ紙はちゃんと売れてて、今日「交換」したノートとチリ紙も前回と同じ値段で仕入れてくれたので宿代はバッチリ稼げた。


ノート1冊大銅貨3枚

チリ紙1枚小銅貨1枚


今回は

ノート20冊

チリ紙300枚

を納品。


ノート1冊300円。20冊で6000円の収入。

チリ紙1枚10円。300枚で3000円の収入。

合計9000円相当の収入。


宿代一泊1500円。6日分の宿代になる。


宿代が尽きる頃にまたノートとチリ紙を納品に行くか、冒険者の依頼を受けて、この世界の現金をゲットしなければならないが…

どの道、冒険者の依頼はひと月に一度は受けるようにしないと冒険者登録が抹消される。


死亡率が高い職種であるため

「依頼を受ける=生死確認」

も兼ねているのだ。


(明日からまた4日ほど掛けて野糞拾いして、その後で冒険者の依頼を受けるようにしよう…)

と思った。



********************



夕方になって勝手知ったる『丸葉の木蔦亭』へ行って宿代を払うと、いつもの部屋の部屋番号が書かれた番号札が渡された。


宿屋の主人が

「お前さん、生きてたんだなぁ…」

とコレまた失礼な発言をしてくれたが…


(みんなそう思うんだな…)

と諦めの境地に至り


「はぁ、生きてました…」

と返事をしたところ


「コレを使うと良い…」

と言って貝殻をくれた。


「?貝殻を?使うんですか?」

と訊くと


「…少量だが軟膏が入ってる。局部の傷なんかに効くんだ。尻に使うと良い。どうせグチャグチャに切れてるんだろうからな」

と痛ましいものを見るような顔をされた…。


ちょっと意味が分からないが…

(もらえるものはもらっておこう)

と思い


「有り難うございます」

と言って受け取った。


何故尻の心配をされるのか…

考えるのもコワイ気がするが…

「そういう性癖の連中もいる」

という事は知ってる…。


一応この世界では成人は15歳であり、15歳未満の子供との性交は法的にも禁止されているため、15歳未満の子供は身売りする事ができない。


一方で15歳以降は「売春も収入を得る手段の一つとして認められている」ため、食い詰めた元孤児の少女達が娼館に身を寄せる事はままある。


冒険者の指名依頼にも性的サービスの依頼が来る事もあると聞いた事はある。


大抵は若い女性の冒険者を金持ちのヒヒジジイが買春する内容だが…

時折金持ちの未亡人が逞しい男性冒険者を買う事もあるらしい。

更にレアなケースだと少年がそっちの趣味の男に買われる。


俺も成人は過ぎたので、カネに困る事があれば、そういう指名依頼が来た時に受けてしまう可能性があるにはあった。


【廃品回収】のような万能スキルを得てしまった俺にとって、もはや関係無くなった悲劇ではあるが…周りは俺のスキルの万能さを知らないのだから、変に気を回す事もあるのだろう…。



夕方になるとロッカが勢いこんで部屋に入って来た。


「イリシオ!?ちゃんと戻って来たのか!?」

と大声で喚きながらドアを開けたので、多分宿屋の主人から俺が戻って来たのを聞かされて飛び込んで来たのだと思う。


「うん。ちゃんと生きてたよ。心配掛けてたみたいだね。ゴメンな?」

と声を掛けてやると


「ーーお前!…ホント!どんだけ心配したと思ってんだよ!…クソ!生きててくれて良かったけど!…でも!何かヤバそうな時はちゃんと俺に話しろよ!このバカ!!!」

と怒られた。


「うん。分かった」

と答えながらも釈然としないものを感じた。


何故、人間てヤツは「不安になるとキレる」んだろうなぁ…)

というお馴染みの感情…。


前世では度々感じていた不満だった…。




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