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死体発見

挿絵(By みてみん)


(果物や野菜の種で延々果物や野菜が出るのは何故なんだろうか?)

と疑問に思い、ミニトマトの種ではなくミニトマトを

「回収・交換」

対象にしてみると

「リサイクルしますか?」

という文字が出た。


何かしら法則があって「リサイクル」へ回されるのだろうが…

詳しく検証しようという気にはならなかった。


ともかく廃品回収は

「交換品ではなくリサイクルポイントに化ける事もある」

という事だけ分かっていれば良いと思う。



********************



リサイクルポイントを貯めて交換出来る景品は本当に多種多様に亘る…。

前世で俺が大好きだった納豆ですらカタログに載っている。


この世界では一度も目にした事のない地球世界にあった品々…。


それがゲットできるのなら、これはもう…

リサイクルに回せそうなものはバンバンリサイクルした方が良さそうだ。


即席ラーメンなんかも納豆同様に5ポイント景品の欄にある。


問題はカセットコンロが500ポイント。

カセットボンベが100ポイント。

電池が20ポイント。

小型鍋が50ポイント。

つまり火を使って調理するのに670ポイント必要になる。

なので即席ラーメンの購入は今のところ現実的じゃない。


それに火を使わずに食える万能食がある。

それは納豆と魚の水煮だ。


ツナ缶、サバ缶などの柔らかく煮た水煮缶。

様々な料理に肉の代わりに使えたし、そのまま食べても美味かったし、マジで魚の水煮缶は地球世界を代表する万能食だったと思う。


ただ、今俺の目の前にある透明タブレットに表示されてる景品カタログに載ってる魚の水煮は金属製の缶に入ってる訳じゃない。

なので「缶詰」とは言えない。


納豆ですらカタログに載ってるヤツは日本のスーパーで見かけていた発泡スチロール系容器に入ってる訳じゃない。


それらは「カップアイスの容器のような紙製の容器」に入っている。


カタログの写真に蓋を開けた状態が写ってるし、蓋部分に黒インクで商品名が(何故か日本語で!)書かれているため、柄も絵も入ってないベージュ色の紙の容器に、それらの万能食が入ってるのが分かるのである。


景品が紙製の袋、紙製の容器に入って出てくる。


とは言っても、景品カタログを見る限りプラスチック製品や金属缶を得られないという訳ではない。


景品カタログにはプラスチック製のタッパーやら、缶の容器も製品として並んでいる。

つまりは「何かの商品の入れ物・付属品としては得られない」という事だ。


ハンドクリームも歯磨き粉も10ポイント景品コーナーに載っている。

共にカップアイス容器のような紙製容器に入っている。


何度も開け閉めしつつ閉めてる間は空気に触れないように密閉するには、薄型ジャータイプのアルミ缶またはプラスチック製容器を買い、製品を買った容器に移し替えて使う必要がある。


そういった手間がかかるものの…

この世界では一度も目にした事のない地球製品を入手・使用できるのだ。


本当に【廃品回収】スキルはすごいスキルだと、改めて思った…。



********************



夜が明けきる前に朝食代わりに金柑を(正確には金柑に似た小型柑橘類を)食べ、食後に紙ナプキンで口と手を拭った。


すぐに、汚れた紙ナプキンを

「回収・交換」

する事にすると


汚れた紙ナプキン→紙ナプキンorリサイクルポイント変換


という選択肢が出たので

当然リサイクルポイントに変換した。


1ポイントにしかならなかったが…

チリも積もれば山となる、だ。


今日はまた郊外へ出て、草を回収して回るつもりだ。

今の季節は夏。


町の門を抜けて郊外へ出ると雑草がぼうぼうに茂っている。

雑木林の木を「回収・交換」すると、木は育つまでに時間がかかる。


何度も繰り返していると、そのうち誰かが

「木を取りすぎてるヤツがいる」

と悪意的に思うようになると思う。


その点、郊外の雑草なら

「茂みに魔物が潜んでいたりすると危険だから」

と誰もが草刈りを歓迎する。


取りすぎても誰からも文句を言われずに済む。


あと、根元から狩る形にはなるが、根は残るのだ。

残った部分からチョロチョロ新しく新芽が芽吹けば、旅人が駆る馬にとって、丁度いいオヤツになる筈。


町を囲む外壁の外側の草を回収して回れば、茂みに魔物が潜んで、いきなり襲いかかって来るような危険が外壁近くでは減ってくれる。


「門から一歩でも出ると油断できない」

ような無駄に緊張を強いられ続ける郊外散策が多少はやり易くなる。


(うん。行ってみよう…)

と思い、空が白む前にログハウスをストレージに収納した。



上機嫌でテクテクと西門へ向かうとチラホラと冒険者達の姿を見かけた。

依頼内容によっては早朝に出て夜中に戻るような仕事時間の長いものもある。


西門を出て郊外へ出る冒険者の多くがダンジョンへ向かう。

西門から歩いて1時間半くらいの場所にダンジョンがあって、そこで魔物を狩って魔石や素材を剥ぎ取り、冒険者ギルドで買い取りしてもらうのだ。


常設依頼として

「魔石10個」

というのがある。


魔石は魔道具を動かすのに欠かせないので

そうやって10個単位で常時買い取りしてくれる。


俺はまだ一度も魔物を倒した事が無いが…

「魔石は魔物の心臓部から取れる」

という話は知っている。


魔石は翡翠のような緑色の石だ。

たまに露天でも見かける事がある。


俺は魔道具自体持ってないので魔石も持ってても余り意味がないし、欲しいと思った事も無かったが…

綺麗な石だとは思う。


(…そう言えば、含有魔力が尽きた空魔石は薄灰色になるんだったよな。砕いてペースト状にして粘土に混ぜて固めたものがタイル代わりに使われていた筈…)


空魔石を砕いて再び固めたものは強度が低い。

だが「耐火性」がある。

厨房の壁に使われるタイルは多くが空魔石の再利用品だ。


燃えるゴミでもないし、焼却炉前のゴミ集積所に空魔石が無かったのは当然と言えば当然だろう。


不意に

(…不燃ゴミを埋め立てる埋め立て地は、この西門近くだったな…)

と町の事情を思い出した。


(…埋め立てるべき不燃ゴミも、ある程度溜めてから穴を掘って埋めてるのかも知れないし…。タイミングが良ければ、もしかしたら…不燃ゴミを「回収・交換」出来るかも知れない…)


そう思って不燃ゴミのゴミ集積所を探してみる事にした。

勿論、草を「回収・交換」で刈り進みながら。


すると、しばらくすると掘り返した土を埋め立てた後のような草のまばらな場所を見つけた。


(近くに次の穴を掘る予定だろうから、不燃ゴミもこの近くにあるんじゃないか?)

と思って辺りを見回すと、思った通りに不燃ゴミの山が草丈の高い草むらの陰にあった。


(どんな交換品に交換されるんだろう…)


「回収・交換」する前から楽しみである。


何度も繰り返した慣れた手順で【廃品回収】スキルを起動。

ゴミの山を回収対象として

「回収・交換」

を選択する。


そして驚くべき表示を目にする事になるーー。


割れた瓶→瓶

割れた壺→壺

錆びたナイフ→ナイフ

錆びた包丁→包丁

錆びた鍋→鍋

錆びたフライパン→フライパン

錆びた金属製水差し→金属製水差し

凹んだ金属製水筒→金属製水

凹んだ金属製スープ皿→金属製スープ皿

凹んだ金属製カップ→金属製カップ

凹んだ金属製ランプ→金属製ランプ

錆びた金属製燭台→金属製燭台

錆びた錠前→錠前

錆びた火かき棒→火かき棒

折れた剣→短剣

人間の首無し死体の心臓→魔石orスキル

心臓部以外の人間の首無し死体→堆肥

血塗れの衣服→衣服

泥塗れのブーツ→ブーツ

空魔石→魔石or防火タイル

破損した結界魔道具→結界魔道具


…まぁ、普通に驚くと思う。

不燃ゴミの山の中に首無し死体が混ざってるとか…。




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