転生させられました。
午後3時を過ぎて、自宅の椅子から三時間半ぶりに立ち上がる。
「今日のシステムはちゃんと動いたのかな?ふふ。研究、もっとしないと。。」
誰も聞くはずがない独り言を言って、外を見ると空が、ほんのりとした林檎色に近づいてきていた。
「は?」
つい先週ぐらいに、夏休みが始まったぐらいのはずだ。いつから冬になったのだろうか。まずい。今年も一年中何もしないまま過ぎ去ってしまう。虚無感が自分の中でひととおり駆け巡った後、
「まあいいか。」
だいたいそうなるのだ。この世に神様がいたら20歳のなんも取り柄のない青年が、ただただ投機をして一日を潰すというサイクルを見てなんと思うだろうか。
貯まった金を使えと思うだろうか。しかし本人は自分の口座の数字が溜まっていくことが楽しいとしか考えていない。だから永久に使わない。
そんな僕にも週に一回本格的に外に出る日がある。今日はスーパーで買い出しする日だ。愛車のプリウスを取り出し、20km先の近所のスーパーへ直行する。
ピッ
オカイケイハヨンマンサンゼンナナヒャクニジュウイチエンデス
指定された額面通りにお金を払い、パンパンになった無数のレジ袋を持つ。ついこの間までは、レジが唯一の他人と話す機会だったのに、今はもうそれも無くなってしまった。寂しい。
マタノゴリヨウオマチシテ
ビュオン
オリマス
一瞬この世のものとは思えない異音が挿入されたが気にせず歩こうとした。その時、僕は気付いてしまった。
足元がやばいことになってることに。
これって、魔法陣てやつか?異世界に転生させられる時に出現するやつだよね?そんな思考を巡らせる間も無く僕はそれに吸い込まれるようにワープした。一週間分の買い置きが入ったレジ袋と共に。