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第8話




 この世界に来てもう13年目だ。


 一庶民として生活を送っている度、格式の高い生活とはどんなものかと、夜な夜な想像を膨らませてきた。


 しかし実は私は、もう諦めかけているのだ。


 元の世界に戻りたい気持ちは当然あるが、元々、この世界で第二の人生を送ることが、私の命を救う唯一の方法なんだろう?


 だったら、それに従うしかない。


 生活を送ってきたのも、長い時間を過ごしたのも、この世界だ。


 実際、帰りたいという気持ちがこうして芽生えているのは、単なる現実逃避でしかない。


 学校がめんどくさいと思う日は、ため息混じりに祖国の景色を想像する。


 王室のソファで足を伸ばしながら、何も考えず寝転がっていたいと、思うのだ。



 そんなものは、生活をする上でなんの役にも立たないのだが。


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