幼馴染彼女作成中! 01 女になって初めての一日
雪がユキになって初めての一日。
性別が変わることで日常はどう変わるのか?
僕こと、凍野雪が女になってから初めての一日。
周りからの視線が四方から突き刺さり、授業に集中できずにいた。なぜ、こんなにも見られるのだろう?
「それは、ユキが綺麗だからだよ」
突然現れ、そう言ってきたのは、この原因であり、幼馴染の神越路学だ。相変わらず変なことを言っている。
「って、勝手に思考を読むな!」
「まあ、今の姿を鏡で見ていないお前にはわからないと思うが、お前はこのクラスだけでみれば、敵う女子なんていないくらいの美少女になったんだぞ」
聞いていないかのように話を進める神越路に、うんうんとうなずくクラスメート男子。
「この活性化させ、太ももまで伸びてしまった髪は、目元を隠さぬように前髪は切り、全体的にバランス良く俺が整え、ユキにあった服を揃えたのだからな。でも、これは元の良さを引き立てるものでしかない!そして、ユキには整った顔にそのバランスのいい体形がある。まさに、俺の理想の幼馴染が今ここにっ!あとは、俺の彼女というステータスを持っていれば完璧だ!俺の理想のために、さあ、俺と忘れられない一時を過ごそうじゃないか、ユ…キ?」
僕が女になったことを喜ぶ神越路に、抑えきれない感情を抱きながら微笑みかける。
「つまり、まだ反省していないということかな?」
その笑みのまま、神越路を教室から連れていく。
そして、いつも通りしつけるのであった。
「ユキ~、一緒に昼飯食おうぜ~」
昼休みになってすぐ、そう声をかけてくる、神越路。今日は、家に帰っていなかったので弁当はない。というわけで―――。
「神越路のおごりならいいよ」
「もちろんオッケー!これで好感度アップ!」
好感度をアップさせたいのなら、そういうことを言うのはやめたらいいのに、という意味を込めてため息つく。
まあ、今の状況を楽しむために言っているだけだろう。
そんな、神越路の態度に反省していないとあきれる気持ちもあるが、感謝する気持ちもある。女になってしまい、これからどうしようと考え込む暇も、気持ちも、なくなっていたのだから。そして、いつもと変わらぬ一日だという感じが、心の中にあった不安を和らぎ、安心させてくれる。その気持ちのせいか、いつの間にか微笑んでいた。
僕は、先ほどまで感じていた安心などもうどこかへ行ってしまい、不安と緊張で固まっていた。
ここはどこかというと、家だ。いや、正確には、親の前だ。
なぜ、このような状態なのかというと……。
十分前
いつも以上にはしゃいでいた神越路の相手をして、いつもより疲れていた僕は、いつものように家に帰った。
「ただいまぁ」
「おかえりなさい、ゆ…き?」
いつものように居間で迎える母は、驚きと戸惑いっといった表情で見てくる。
「どうしたの、お母さん?」
「お、お義母さん!?」
なにか意味合いの違う呼び方に聞こえたが、そんなことよりもどうしてそんなに驚くのだろうと首を傾げる。
「ちょ、ちょっと待ってね」
そう言って、母は居間を出ていき、そして――――――。
「雪ー!」
階段を上る音がする。僕の部屋に向かったようだ。僕はここにいるのにどうしたんだろ?
「ね、ねぇ、一人で来たのかな?」
「えっ?…うん」
戻ってきたと思ったら、何を思ったのかそんな事を聞いてきた。どうしてそんなこと訊くんだろ?と思いつつもそう答えると。
「えっと、雪の彼女さんかしら?先に行くように言われたの?」
「えっ?……あっ!」
そうだ!そうだった。今僕は女だった。母の質問により、今まで忘れていたことを思い出したのだ。
そうして、今説明が終わり向き合っているのだ。母からはまだ反応がない。信用してもらえていないのだろうか?
「そう…わかったわ。あなたは、雪なのね?」
「…うん」
「そう……うん、そうよね。それじゃあ、夕飯にするから着替えてきなさい。あと、ちゃんと、うがい手洗いもするのよ」
母はそう言ってキッチンに行ってしまった。信用してもらえたのかどうかわからないが、今は言われたとおりにしておこう。着替えのために部屋へと向かう。そして、部屋に着き脱ごうとして気づいた。何を着ればいいのだろう?
適当に服を選び、女の体に戸惑いながらも着替える。しかし、今まで着ていた女物の制服は神越路が着せたのだろうか?下着まで変わっていたし。今度よ~く問い詰めないとな。
「ユキ~、ちゃんと手を洗った~?」
「うん」
居間に入った僕に母はそう訊いてきた。そう答えいつもの場所に着く。
「今日はお父さん遅くなるから先に食べてて良いって。…あら?」
今日は遅いのか。まあ、父には明日にでも説明すればいいかな。それよりも、どうしたんだろう?
「そういえば女性用の服持ってなかったわね。明日はお休みでしょ?明日、一緒に買いに行きましょ。それまでお母さんの服使う?」
「…うん、わかった」
いつものように、親子として接する母。どうやら、信用してくれたようだ。服は、必要になってくると思うからありがたい。本当に気が効く母が親でよかった。
こうして、風呂に入り、いつものように過ごし、一日は終わった。
真:結局出ませんでしたね。
学:ユキめ、教えぬつもりか!
ユキ:僕のせいじゃないでしょ!
学:なら誰のせいというんだ!
ユキ:それは作者の―――
真:そんなことより、今回のことで服が必要なことが分かり、いざ買い物へ!次回はユキのファッションショーか?!
学:何!?そういうことなら見に行かなくては!
ユキ:来なくていい!!