幼馴染彼女作成中! 00 ユキ誕生
何個も作っては放置している状態でまた思いつき投稿!
日差しもよく、暖かな風が吹く過ごしやすい朝。入学式も終わり二週間とたち、ようやく高校に慣れてきてそろそろクラスメート達となじみ始めたころ。そんな時期の朝のホームルームの時間に、僕こと凍野雪は、自己紹介も終わり二週間共にしてきたクラスメート達の前に、立たされているのだ。
「見ての通りだが―――」
担任の『つっちー』こと鎚宮忠司先生が僕の横で話し始める。
「このクラスの男だった凍野が―――」
『男だった』という表現に、いや、それ以前の問題か?驚きざわめくクラスメート達。だが、ひとりだけ反応が違う。それは―――。
「神越路の発明によってだな―――」
そう神越路学だ。今の状況を作りだした男だ。そして、その状況とは…。
「女になってしまったそうだ」
そう、僕は女にってしまったのです。
キーンコーンカーンコーン
電子音のチャイムが鳴り響く。それと同時に教室の戸が開けられる。
「朝のホームルーム始めるぞー。席に着けー」
いつものように時間ぴったりなタイミングで入ってきたのは僕たちの担任のつっちーだ。
「んっ?またあいつ来てねぇな。そろそろ退学にすっぞ」
いつものように愚痴をこぼしながら出席簿に記入する。
「今日の連絡事項はなし。神越路は凍野に任せた。以上」
それだけ言いホームルームを終わらせ、今日も勉強頑張れよ~と言って出ていた。まだ入学してから一週間しかたっていないのに、僕の役割と決まっているのか神越路のことを任されてしまった。
神越路は入学式の日はちゃんと来ていたものの、それからは今日みたいに遅刻している。だが、先生たちは咎めることはなかった。なぜなら、春休みの時点から、もう科学部に所属し、自由に使える実験室を与えられるというほどの天才なのだから。まあ、半分くらいはお金が関係しているだろう。そのため前日から泊まり込みの実験などをしていて、遅刻ということに慣れてしまっているのである。それでも、授業はちゃんと出席させるために、こうして呼びに行くのだが、どうして僕になったのだか。事情を聴いて、幼馴染だからと代わりに呼んでくると、つっちーに言ってしまったのが原因だろうが。
そう考えながら歩いているといつの間にか目的地に着いていた。
「もう授業はじまるよー」
そう言いながら入ると、見慣れた光景が部屋いっぱいに広がっていた。教室よりは少し狭めの部屋に、薬品や材料などの収納棚がサイドの壁に並び、それに挟まれるように置かれる作業台にはいろいろなものが置かれていた。そして、その隙間に顔を伏せて寝ている神越路の姿が見えた。
「ほら、もう時間だよ。起きて」
神越路の周りに置いてあるものを退かしてから、肩に手を置き、軽く神越路の体を揺らし声をかける。
「っん…ふあぁ~っ…おお、雪。毎日俺に会いに来るとは甲斐甲斐しいな。雪が女だったらおれの彼女にしたいくらいだ」
「はいはい、僕は男だからね」
神越路が起きたのを確認して、軽く片づけを始める僕を見ながらそういうことを言うが軽く流す。
「ほんともったいないな……雪が女だったら…ん?女だったら?…そうか!その手があったか!」
何か思いついたのかそう言って窓側にある書棚から本を取り出して行く。
「ちょっと、もうすぐ授業はじまっちゃうよ」
「今日は休む!理由はひらめいたから。そう言っておいてくれ」
どうするか少し考えるが、まあ、神越路なら大丈夫だろ。
「わかった。じゃあ、僕はもう行くね」
「おう、来週にはできるからそれまでよろしく!」
いつもながらの突然の行動にはぁとため息をつきながら教室に戻る。
キーンコーンカーンコーン
「凍野くんも大変ね」
と、一時限目が終わり教科書などをしまっているところに話しかけられた。
「えっ?」
委員長の彩橋美空。よく話しかけてくるので、クラスの中で一番話しやすい女子だ。なので、驚いたわけではなく、何のことを指しているのかわからず、そう声が出ていた。
「ああ、神越路のお守りなんて大変だねって意味だよ」
「そんなことないよ。友達だから」
「友達だからか……なら、私は?」
「えっ?…友達だよ?」
突然の発言に意味がわからず、無難な答えを返す。
「友達ね……あいつと同じ位置かぁ~。まだ、脈なしかな」
「?」
委員長のつぶやきに首をかしげると、何でもないと言って席に戻っていった。それと同時にまたチャイムが鳴り授業が始まった。
あれから一週間。
「確か今日だよね」
朝のホームルームが始まる前。僕は神越路の研究室の前にたっていた。なぜなら、今日が神越路の言っていた完成日なのだ。
「神越路、できたかー。―――っ!」
戸をあけると、カーテンを閉め切っているのか真っ暗で、その暗さにより、前までなかった装置がぼんやりと光を放ち、存在感を強めていた。
「待っていたよ、雪」
驚き、戸をあけた時の状態のまま固まっていた僕の後ろから、何かで口周りを押さえつけられる。神越路の声を聞き、抵抗するという思考の前に混乱してしまい反応できず、そのまま力が抜けていった。薬品か何かの類だろう。声からして神越路の仕業だろう。力が抜けてきたのに気付いたのか、神越路の口元を押さえるために挙げていた腕が、体を支えるために下げられた。
「どう…し、て……」
解放された口から、頭の中でめぐる疑問を口に出そうとしたが、うまく動いてくれなかった。そして、そのまま意識が途切れた。
「ん?…んーっ、ふぁあっ、あ?」
窓から差し込む光に照らされ目覚める。伸びをしながら起き上ると見慣れない景色が広がっていた。いや、よく見ると、一度だけ来たことのある保健室のようだ。なんで保健室に寝ていたのだろう、と考えながら周りを見渡す。そこには誰もいない。時間を確認するため時計を見る。六時ちょっと前を指していた。外の様子から朝の六時のことだとわかる。ということは、あれから一日以上は寝ていたことになる。となると、倒れた僕を、神越路が保健室に運んだということかな。いや、神越路の仕業なのに、ただ運んできただけはありえないな。
「神越路に確認するしかないかな」
そういってベットから出ると。いつもと感覚が違うことに気付いた。頭が重い。それに体の重心が少し違う?いや、そもそも体自体違う!?ようやく、頭が働いてきたのか、自分の見た目が変わっているのに気がついた。
保健室を慌てて出て神越路の研究室に急いで向かう。まだ、登校している者はおらず、廊下や階段をスピードを緩めず走りぬけることができ、すぐにたどり着くことができた。
「神越路っ!」
バタンと勢いよく開け、中にいるであろう人物の名前を声に出す。
「おお、ユキ。目が覚めたか?あと、おれのことは学くんと呼んでくれ」
そう言いながら、どこから仕入れたのか分からない新聞を、コーヒーを飲みながら読んでいたのか、手に持ったままこっちを向き、応える。
「えっ?なんで?」
「彼女には名前で呼んでもらいたいだろ?」
「それはそうだけど……って、僕とは関係ないだろ!」
「何をいっているんだ?ユキはおれの彼女だろ?」
「えっ?僕は男だよ!そんなことあるわけないじゃないか!それに僕には好きな人が―――」
「ユキ。落ち着いて考えてみろ。どこをどう見たら男に見えるというのだ?きっと、悪い夢でも見ていたのだろう?」
「えっ?……夢?」
混乱する頭を落ち着かせ考えてみる。僕は男だったのか?それは……間違いない…と思う。いや、考え方を変えてみよう。性別は変えられるのか?どうだろう?なら、神越路の彼女だったのか?いや、違う。これは断言できる。なら、神越路だから性別は変えられるとすると…うん、つながった。矛盾もない。つまり―――。
「どうだ?理解できたか?」
コーヒーを飲み終えた神越路が確認するように聞いてくる。
「ああ、理解できたよ」
「そうか!それなら、俺と甘いひとときを過ごそうではないか」
そういって抱きつこうとする神越路の胸ぐらをつかみ停止させる。
「僕は男だった。そして、神越路のせいでこうなったってことがわかったよ!」
「ちょ、ちょっと待て、ユキ。そう怒るなよ。ちょっとしたいたずらだっと思って許してくれよ、な!」
「問答無用っ!」
しつけ中
「こんなはずでは……洗脳でもしておけばよかったかな……」
女になったせいか、一日中寝ていたせいか、前より力が出ず、懲りていないのか反省の色が見えない。
「はぁ、まあこうなったことはもう許してあげるから、早く元に戻してくれないかな?」
「あっ、それはできないぞ」
そう即答する神越路の胸ぐらを無言でつかみ上げる。
「ま、まて!落ち着け!意地悪で言っているわけではない!ただ俺が、幼馴染は世話好きの女の子がいいだけ言っているわけでもな―――」
またしつけ中
「こうなった理由はわかったけど、どうして戻すことはできないんだ?」
「それはだな。遺伝子やらホルモンやらをいじり、細胞を活性化させ今の状態にした。つまり、寿命というものがだな減る可能性が―――」
またまたしつけ中
「ま、まて…今回は、成功したからだいじょうぶだ…と思う」
手を休めている間にそういう神越路。最後にぼそっと付け足したのが気になるが。
「それで失敗した場合はどのくらい短くなるんだ?」
「それはだな、簡単な計算にすると今の年齢プラス変化後の年齢くらいかな。つまり、三十は確実に短くなるな!」
それが本当だと十年生きられるかどうかくらいになってしまうのか?
「成功する確率は?」
「今の状態だと0%だな―――」
またしつけのために動き出そうとする体。
「ま、まて!今の状態といっただろ!今の!」
「今の状態?」
そう言って距離をとる神越路に聞き返す。
「ああ、今は細胞に無理させている状態なんだ。なので、休ませてあげなければならない。かといって完全停止させることは無理だから、時間が必要だがな」
「つまり、その間はこのままの状態でいないといけないんだな。それでどのくらいかかるんだ?」
まあ、無茶して短くするよりもいいだろう。
「そうだな、限りなく100%にするなら十年、50%くらいでいいなら三年くらいかな」
というわけで、卒業するまで待ち50%くらいの確率にかけることにした僕は、高校入ってからの二回目の自己紹介中です。
クラスの反応はそれぞれ。今後どうなっていくのやら……
作者 真:どうも、この好きカノっ!どうなっていくのでしょうね。
神越路学:それはユキが俺に恋し、ハッピーエンドで終わるという恋愛になっていくのさ。
凍野雪:いや、ありえないから。
真:そういえばユキちゃんには好きな人がいるんだって言いかけていたよね?
学:俺のユキを気安く呼ぶな!って、なに!初めて聞いたぞ!ユキ!本当なのか!
ユキ:えっと……うん///
学:うおおおおおぉー!頬を赤らめるユキはかわいいがきにくわねぇー!おい!だれなんだ!教えるんだ、ユキ!
真:ユキの好きな人は誰!?さて、次回に出てくるのか?
学:一体誰なんだぁー!