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プロローグ 最悪の日
拙い文章ですが、ご容赦ください。
少しでも読んでいただけると幸いです。
雨が降っている。
雨は好きじゃない。人生最悪の日を思い出すからだ。
「あれ? いつの間に外に出たんだっけ?」
直前までの記憶がない。
傍には両親がいて、こちらに向かって必死に呼びかけている。
「そっか……これは夢か」
ずいぶん冷える。
遠のく意識の中で、ぼんやりとしたその感覚だけが、自分を自分だと認識させる。
雨が激しさを増す。
――音が聞こえてくる。
サイレンの音だ。
雨と鳴り響くサイレンの音だけが世界のすべてだった。