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メディアリンチで令和ピンチ! メディアリンチという名の疫病と妖精モーリーくんの闘い

あらすじ:


イタズラ好きの妖精の男の子、モーリーくんが100年ぶりに地球に帰ってきた!


しかしそこは人類の文明が、動物たちに維持されている世界で、人類は滅亡していた!


人類は『メディアリンチ』ウィルスで絶滅したと聞いたモーリーくんは、


人類の終焉の意味を探りながら、再びこの惑星で過ごすことに決めたのだった。








イタズラ好きの妖精の男の子、モーリーくんは、


100年ぶりに担当している惑星に帰ってきた。


「なんか人類滅亡しちゃってるけど、


これってオイラのせいじゃないよね?」


人類の文明が動物たちに維持されている世界、


しかしそこに人類は存在しない社会。


それを見渡しながらモーリーくんは、専属の付き猫に就任したばかりの、


猫島 三毛男(ネコジマ ミケオ ♂5歳)に問いかけた。


「人類の自業自得ニャ、その辺はこれから始まるプレゼンを見て欲しいニャ、


まったく本当に救いようの無い失敗種族だニャー」


そう言い切られると、それはそれで複雑な気持ちになるモーリーくんだった。


なぜかというと彼は妖精になる前はその失敗種族の人間だったからだ。


そして彼をこの惑星から追い出したのもまた人間だった。


―――『メディアリンチ』ウィルスを使って。


「人類は結局『メディアリンチ』ウィルスで自滅しーの絶滅しーのだったニャ、


『メディアリンチ』ウィルスは2重の意味で『親殺し』って博士過程で学んだニャ」


猫のくせに学問とな?と喉まで出かかったうかつな言葉を飲み込むモーリーくん、


また切り取りミスリードで差別発言フェイクニュースを捏造されてはたまらない。


「『メディアリンチ』みたいにゃマスメディアの悪用は、


まず母体であるマスメディア自体を大衆マスからの不信感で存在意味を抹殺するニャ、


同時に産みの親である人間をも、その言論の暴力で圧殺するニャ、


地獄行きまっしぐらの外道な蛮行2重親殺しニャー、ダブル役満ニャー!」


スーツ姿で二足歩行している猫や犬、狸や狐、その他多種にわたる動物たちが、


せわしなく行き来する官庁街の高層ビル群は、降り始めた雨に曇っていた。













100年前にモーリーくんがこの惑星を去るまで、


モーリーくんは惑星と当時のその支配者である人類のために、


結構精力的に働いていた、この惑星を愛していたからだ。


しかし人類の悪しき暴力装置となったマスゴミの、


散布した『メディアリンチ』ウィルスのせいで、モーリーくんはすっかり人類の敵、


惑星にとっての悪者に仕立て上げられてしまったのだ。


100年前の出来事であるがモーリーくんは昨日のことのように鮮明に憶えている。


恩知らずの人間の友人たちがモーリーくんを擁護しなかったことを。


それどころか手のひらを反してモーリーくんへの私刑に加担したことを。


『メディアリンチ』は確かに感染力の高い恐ろしいウィルスだが、


この裏切り行為は道徳的に許し難い。


例えばモーリーくんの同志だった山下(仮名)などは、


柔道を止めて始めた畜生道で早速モーリーくん相手に、


柔道着ヌルヌル投げで1本勝ちをキメていた。


悪辣なフェイクニュース製造装置でしかなくなったマスゴミ各社、


それに容易く扇動され偽りの正義の旗の元に、


普段声高に非難する『いじめ』に嬉々として参加する愚民の群れ。


モーリーくんは「もういいかなあ」とつぶやき、


泣きながら(実は嘘泣き)家出(正確には惑星出)したのが100年前だった。


当初は直ぐに帰る予定だったが、他の惑星の知的生命体にモーリーくんが大好きなラグビーを、


伝道してまわるのが思いのほか楽しく、気づいたら100年経ってた。


「ヤッベ!オイラ浦島太郎かも、ヤッベ!」


金魚の水槽の水をしばらく変えてなかったな、


ぐらいには焦って惑星に戻ってきたのが先日のことだった。


その水槽の金魚はすべて死に絶えていて、その水はこの上なく澄んでいた。













モーリーくんが惑星にその姿を現すと、次の瞬間には地球連邦政府の使節団がコンタクトしてきた。


猫島三毛男もこの一団の先鋒として、モーリーくんに先陣を切って歩み寄ってきた、その勇姿は記憶に新しい。


モーリーくんにしてみると相手は二足歩行でスーツを着ていても、どう見ても猫である。


いかに切り出すか思案していたところ、言語らしきものが目の前の三毛猫から漏れた。


どうやら英語でコミュニケーションがとれるようだ。


そこでモーリーくんは得意の英語を披露することにした。


「(フレンドリーに)ハーイ!『フー』アーユー?」


「(ニャニャッ!?『ハウ』アーユーじゃなくて『フー』アーユーニャ?


ハウとフー間違えてにゃーか?ここは…)ハーイ!アイムキャット!」


「(余裕をもった笑顔で)ハハハ!ミィートゥー!ハハハ!」


そこでモーリーくんも使節団も皆で大爆笑である。


和む雰囲気、流石は清濁併せ呑む外交力を持つモーリーくんと言えるエピソードではないだろうか。


「あの、もしかして日本語OKですかニャ?」


「おお、キミは日本語出来るんだね!心強い!」


「猫島三毛男と言いますニャ!」


「オイラはモーリーさ、よろしくな!」


その後、モーリーくんは迎賓館で長旅の疲れを癒し、


翌日猫島に案内されて地球連邦政府本部ビルでプレゼンテーションを2つ見ることになった。


ひとつは『メディアリンチ』ウィルスが如何に人類の終焉を招いたか。


もうひとつは地球連邦政府が如何に持続可能な社会を実現し惑星と共存しているか、であった。


どちらもまあモーリーくんの予想通りだったが、


オールドメディアとSNSのハルマゲドンの最終勝者が本家フェイクニュースのアカヒ新聞だったという点と、


モーリーくんが去った後も本場朝鮮式墓暴きと死体蹴りを恥ずかしげも無くドヤ顔パフォーマンスしていた、


自称男女差別反対派のクソフェミババアどもが、最後までのさばっていた点には久々に吐き気がしたものだった。


ただコンピューターの無い世界なのでプレゼンのスライドが紙芝居な訳だが、


そこに描かれていた味のある絵の数々はは存外興味深く、モーリーくんの心を掴んだ。


モーリーくんはまたしばらくこの惑星にいることにした。


ちなみに動物たちが人類放送協会(JHK)をスクランブル放送にした後に解体していたことも、


モーリーくんは好意的に受入れ惑星残留の主要因となっていた。


この点においては動物たちの方が人類よりも賢明であると言えるのではないか。













それからしばらくは平穏な日々が続いたと思う。


モーリーくんは妖精なので歳を取らないが、専属の付き猫は代替わりをして、


現在は猫島三毛男三世がその役を担っていた。


その間いろいろと思う所はあったが、モーリーくんはスポーツの祭典に積極的に関わった。


五輪やラグビーW杯などがモーリーくんの仕切りで次々開催され成功を納めた。


各スポーツの祭典は現在の地球の支配者たち=動物たちに絶大な人気を誇りまた彼らの支持を得ていた。


そしてモーリーくんを崇める宗教のようなものまで誕生した。


思い返してみるとこの辺りで歯車が狂い始めたのかもしれない。


もしくは人類の文明を維持している以上、回避出来ない運命だったのだろうか。


赤い星をつけた人民帽をかぶったパンダの一団が、モーリーくんのポジションを奪い、


惑星を支配することを目的に惑星各地で破壊工作を実行し始めた。


人民帽パンダの手下のゴキブリやノミやダニたちも精力的に破壊工作に加担し、


マスメディアを悪用して動物たちを疑心暗鬼に陥れた。




―――『メディアリンチ』ウィルスが使われたのは言うまでもないことだろう、


惑星に再び地獄が出現した―――




元々バカがつくほどお人好しで周辺国にいいように利用されたことのある日本人だったモーリーくんは、


その日本人気質で惑星の行く末を動物たちの判断に委ねて見守っていた。


しかし日本人は限界点に達するといきなりブチギレて徹底的に敵を殲滅する戦闘民族でもあった、


モーリーくんはある日、唐突にブチギレた。













モーリーくんは独断で害獣認定した動物たちをすべて集めて妖精の秘術を使い燃やし尽くした。


同じ失敗を再びしたくない故の苦渋の選択だった。


しかし当然のことながらそれで元の平和な惑星が戻ってくる訳ではなかった。


残った善良な動物たちが絶望したのはモーリーくんに対してだったのか、


自分達自身に対してだったのかは知る由もなかった。


ひょっとしたら自分達が維持してきた文明を創った人類に対して絶望したのかもしれない。


臨時地球連邦政府は一年間の時限会議の結果、モーリーくんを惑星外追放する決定を下した。


「ごめんニャ!ごめんニャー!」


「いいってことよ、達者でな!」


泣き叫ぶ猫島三世に笑顔を向け、モーリーくんは寅さん風に惑星を去った。













そして100年が経った。モーリーくんは惑星にこっそり戻ってきた。


残された動物たちは人類の文明を捨てる判断をしたようだ、


そこには惑星本来の自然がひろがっていた。


モーリーくんはそこで動物たちと、


もう言語によるコミュニケーションは出来なくなってはいるが、幸せに暮らした。


時々動物の皮を使って作ったボールを蹴って、みんなで追いかける遊びをしては、


かつて愛したラグビーを思い出したものだった。




『メディアリンチ』とは人類の自殺願望が事的に物象化したものだったのかもしれない。


それが惑星を道連れにした無理心中にならなかったのは、人類の良心が動いた結果なのではないか。


夕日を眺めながら、モーリーくんはふとそんなことを考えては、ひとり涙を流すのだった。







おしまい








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