vsシン
魔王城の最上階に着くと、そこは冷気で満ちていた。
魔王様が座る玉座に、一人の男が座っていた。
「貴様が俺の偽物か」
「お前が僕の劣化版か」
こいつが“氷の帝王”か。他の帝王とは貫禄が違いすぎる。容姿はまだ若いのに。
「俺は他の五帝とは違う。ここまでよく頑張ったな、褒めてやる」
シンは拍手をした。
「だが、少し調子に乗り過ぎた」
シンが僕の目を見た瞬間、このフロア全てが凍った。
僕の足に氷柱が下から突き刺さっていた。
「ぐっ!」
身動きが取れない!
「アイススピア」
氷で出来た槍がカイトの脳天を貫く。即死だ。
「あっけないものだな。期待外れだ」
「それはどうかな」
シンはカイトをもう一度見る。完璧に決まったはずだ、生きているはずがない。
「スキル生成、『炎の帝王』」
カイトに刺さった槍は溶けて水となっていた。
「なるほど、一体化か」
一体化とは、スキルと一体化すること。
カイトは炎と一体化し、体が炎のだから物理攻撃が一切通じない。
「少しは楽しめそうだな」
「僕はお前と同じスキルだけじじゃ勝てない。だから色々掛け合わさせてもらう」
カイトは左手に氷、右手に炎を纏わせる。
「クロスファイア」
炎と氷が絡み合い、シンへと放たれる。
「そんなものか。絶対零度」
クロスファイアは凍って砕けてしまった。
「まだまだこれからさ」
カイトは『俊足』で速度を上げる。
「アイススピア」
さっきより小さい槍が沢山飛んでくる。
カイトは全て回避し、『瞬足』でシンの背後を取った。
「零距離、爆炎砲!」
シンの背中に触れた掌から、ダイナマイトのように爆発しながら燃える炎がシンの胴体に穴を空けた。
「今のは良い攻撃だった。それを後千回続ければ俺を殺せるかもな」
シンの穴が空いた胴体は、空気中の水分が凍ってその氷が穴を埋めていく。
「俺も一体化なんだ」
シンも体を氷にできる。しかし氷で物理攻撃は防げない、他の異能があるということだ。
「さて、穴も塞がったことだしそろそろ死ね」
シンは一瞬で僕の前に来て肩に手を置いた。
「何だこれ!?」
置かれた手から体温を奪われる。
「これは吸熱反応か!?」
僕の体温がどんどん奪われてる。このままでは低体温症になってしまう。
「燃えろ!」
体内の炎を燃やして体温を上げる。しかし、上げれば上がっただけ奪われていく。
「離せ! 爆炎砲!」
口からシンの顔に向けて放つ。シンは無傷だった。
「くそ、どうすれば……」
頭がくらくらする。限界が近い。
炎が効かないのなら、
「フルクラッシュ」
シンは粉々に氷の屑になった。
「溶けぬなら、壊してしまえ、“氷の帝王”ってか」
しかし、氷の屑は一つに集まり出した。
「まだ復活すんのかよ。スキル生成、『空間ワープの帝王』」
シンを異空間に閉じ込める。これしか方法は無い。
「絶対零度」
空間が凍ってしまった。
「おいおい、まじかよ」
氷の屑はほんの十秒でもとのシンに戻った。
「これで分かったか? お前では俺に勝てない」
シンは圧倒的力の差を見せるために、少し力を見せることにした。
「凍れ」
カイトは氷塊になった。
「終わりだ、棘地獄」
氷塊の中で無数の棘がカイトの体を貫通する。
この中では炎と一体化出来ない。
「ぐふ! ふはは、これ酷いな」
「ここがお前の墓だ」
カイトは笑っていた。この状況を打破できる作戦でもあるのか。
「いいや、お前の墓だよ。アリス、チェンジだ」
「うん、後は任せて」
カイトはアリスと交代した。
氷塊は弾けて散っていった。
「私はすごく怒っている」




