迫りくる脅威
バルバトスでは魔王会議が行われていた。
「今日の議題だが、我々魔王軍は今のままでは人間には勝てない」
魔王様ははっきりと言った。
「そこで、幹部を中心に全員の力をさらなる高みへと押し上げてもらう。最低ラインは五帝と互角だ」
「その意見には賛成なのですが、守護の方はどうしましょう」
守護とは、魔王軍領を人間の侵略から守るための仕事である。隣国からの侵略も警戒しなければいけないため、全方位を幹部が一人ずつ守っているのだ。
「それは心配いらないよ。守護は一時的に休みとする」
「それは危険すぎるのでは?」
「カイトに結界を張ってもらう」
そう。僕は魔王様から頼まれて結界を張ることになったのだ。
「魔族以外の出入りを禁止する結界だよ」
魔族以外は魔王軍領を出入り出来ないようにする。たとえ侵略されても、結界を突破することは出来ないため被害を受けることは無い。
「その結界の強度は信じてもよろしいのですか?」
「そこは安心してよフリード。魔王様にも確認してもらったから」
「それならいいですが……」
フリードは完全ではないが納得はしてくれた。
結界を張っている間、僕は一切スキルを使うことが出来なくなる。
ルールを作ることで効力は更に高くなる。今回のルールは、言ってしまえば僕の戦闘力は零になるということになる。
「では、各々やり方は自由。好きに強くなるがいい」
今回の会議はこれで終わった。
僕はすぐに結界を張り、鍛錬を始めることにした。
僕はスキルが使えないため、体術を中心に鍛錬を始めていた。しかし……。
「ここにいたかカイト」
「ザイカ……。えっと、僕今スキル使えないからさ、流石にザイカとやるのはちょっと」
「安心しろ、我もスキルは使わん。純粋な剣技のみでやろう」
ザイカは木刀を二本取り出し、僕に一本渡した。
「これなら致命傷は避けられるだろう」
「お手柔らかにお願いします……」
僕たち魔王軍は、さらなる高みに向けて動き始めた。
そのころスカーレット王国では、五帝の三人が話し合いをしていた。
「魔族は、できるだけ早く戦争をしたいだろうな」
「五帝は三人。異世界人が強くなる前に仕掛けるだろ」
炎の帝王“フレア”と、空間の帝王“マルス”が話している。
「シンはどう思う?」
「お前たちと同意だ。この国は今不安定だ。だが、あいつらから見ればすぐに戦う必要はないと考えているだろう」
「どうしてだ?」
「魔王軍幹部はそれほど強くない。今戦ってもあいつらは勝てない。それなら、少しでも強くなってから戦う方が勝機はある」
五帝が減っても、根本的には何も変わらないということだ。シンがいる限り。
「俺から一つ提案なんだが、幹部を全員殺さないか」
シンは突然とんでもないことを言い出した。
「それはいい、俺が焼き殺してやる」
「僕の力が必要だね? 魔王とカイトを幹部から引き離すためにはさ」
シンたちは、魔王軍幹部を皆殺しにする計画を着々と練っていった。
迫りくる脅威に、カイトたちはどう迎え撃つ。
この時は誰も、あんな結果になるとは知らなかった……・




