密会
模擬戦から三日が経ち、リリア様と会うためにカルモに来ていた。
あの夜からまだ四日しか経っていない。体感では一年以上過ぎた気分だ……。
「四日じゃ全然変わってないか」
「お前、カイトじゃないか!」
「ジル……」
俺たちは抱き合って喜びを分かち合った。
「随分と早かったなカイト」
「ああ。この村で会う約束をしているんだ」
誰と会うかをジルは聞かなかった。ジルもカイトを信じているからこそ首は突っ込まない。
「僕はその人を探しに行くよ。村の皆によろしく言っといてくれ」
「おう、頑張れよ」
僕が初めて村に来た時に通った道を歩いてみることにした。
するとすぐに、王国側から帽子を深くかぶった女性と騎士が二人、馬車に乗ってこちらに向かって来ていた。
お忍びで来ているのか。護衛は二人だけ、この村なら危険は無いか。
「カイトさんお久しぶりです。いきなりですが場所を変えましょう」
リリア様と共に森の奥へと向かった。
「お手数をお掛けしてすみません。護衛の二人は信頼できます。なので安心してください」
「それはいいのですが、何故人に聞かれてはまずいと思ったのですか? 僕からは何も言ってないのに」
魔王様から聞いているのか。感がいいのか。
「驚かないで聞いて下さい。カイトさんは今、スカーレット王国で指名手配されています」
「へ?」
リリア様から全ての話を聞いた。僕が魔王軍に関わっていることがばれてしまったらしい。
「顔は隠したんですけどね。同郷は騙せなかったか」
「それより、いつからカイトさんは魔王軍に?」
リリア様に事の経緯を説明した。
「魔王軍秘書カイトです。今はこれで通ってます」
「そんな事があったとは。鑑定士もあてになりませんね」
何となく予想はしていたけど、鑑定士を使う理由は異世界人の反乱を防ぐため。
昔、本当のスキルを隠して国を滅ぼそうとした者がいたらしい。それ以降鑑定士を必ず使うようになったようだ。
「指名手配の件は置いておくとして、魔王様のことで話があります」
「分かりました。私が王女になると言う話ですよね」
リリア様は、王女になることは問題ではないと言った。王の娘であるから当たり前ではあるが。
しかし問題は、王国を滅ぼすことだ。
「王国の主な戦力は、異世界人四人と、五帝の三人の合計七人だけです」
「たったそれだけですか!?」
「はい。兵士は沢山いますが脅威ではありません」
七人を倒せば国を堕とせる。だが、五帝の三人を相手にするのは骨が折れる。
それに、ヨウスケ達も僕と同じように強力なスキルを手に入れたら厳しい。
「成程。リリア様から見て、魔王軍に勝算はあると思いますか?」
「……。はっきりに申し上げますと、奇跡が起きない限り零に近いかと……」
そうか。
僕はもっと強くなれる。
「何故笑っているんですか?」
「すみません、ワクワクしてきちゃいました」
リリア様はとても困惑した顔をしていた。無理もない。
「魔王様には私から全て報告します。今日は遠くからありがとうございました」
「いえ、気を付けてくださいね」
リリア様は少し顔を赤くしている。
「具合でも悪いんですか?」
「あ、あの。私が王女になって、魔王軍が戦争に勝ったとなったら……」
「なったら?」
「いえ、やっぱり何でもありません! 忘れてください!」
それからリリア様はすぐに帰ってしまった。何だったんだろう……。
カイトはバルバトスに帰り、今日の話を魔王様へと報告した。
これから魔王軍の戦力上昇をメインにやっていく。
今の状態では五帝には勝てない。僕ももっと強くならないと……。
これから投稿頻度上げていきます。
三月は頑張りますよ!




