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神の娘  作者: アイ氏
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2話

静まり返った中で、最初に口を開いたのはラナ姫様だった。


「陛下には、ご機嫌麗しく」

  

 明らかに不機嫌そうな顔をしている父様に向かって、頬を赤く染めながら挨拶しています。


このお姫さまはかなり空気読めてないのか、とてつもなく度胸がありますね~。

 

「説明して欲しいな?なぜ、ぼくの娘は泣いているんだ?カヤメ」


父様も父様で、お姫様の挨拶に返事をするでも気にするでもなく、カヤメを問い詰めています。

 

今日は、カヤメにとっては最悪の日ですね。


このお姫様には怒鳴られ父様に怒られて…。


(オキノドクデス…)


カヤメは恐る恐る父様の問に答えます。


「は、はい、陛下おそらくは、こちらのラナ姫様が、大きな声を出されたので、驚いて泣いていしまわれたのかと思われます。赤子は、大な物音に敏感でございますから」


そうカヤメが言うとラナ姫は激昂します。


「なっ!私のせいにしないでちょうだい」

 

カヤメも意外と大物ですね~。


(父様に問い詰めてられて、あの恐そうな姫様の事をちゃんと父様に告げてるいるんだから)


 はじめてカヤメにあった日の事を思い出しますね~。


◇◇◇


 戦が終わって拠点の城にむけて、父様と沢山の兵士達が引き上げてた。


けんちゃんは、捕まって檻に入れられてて、わたくしは檻には入れられ無かったけど、けんちゃんと引き離され一人部屋で寝かされていましたよ。



 そんな、わたくしの面倒を親身になって見てくれたのがカヤメです。


お風呂にも入れてくれたし、夜も一緒に寝てくれたし母様と別れて以来こんな事ずっと無かったので嬉しかったですよ。


「おはようございます。姫様、こちらに、お着替えいたしましょうね」

 

そうして次の日には優しくお世話をしてくれたカヤメともお別れです。



「陛下、姫様のお支度が終わりました。姫様とてもお可愛いらしいですね」


カヤメ、父様に何言ってるの!?


「うん。かわいいね」


父様も!?


「姫様。さぁお父様の元へ」


 そう言って父様にわたくしを渡そうとしている。

いや、いや、父様の所に行きたくないんですよ!


出来ればカヤメの子になりたいですよー!


なんとか、カヤメの着物を掴んで抵抗したけど抵抗虚しく、すんなり父様に渡された。


(あううぅ…)


でもこの後、父様が何故かカヤメを守り役に命じて、わたくしの面倒を見てくれる事になっんですから人生何が起こるか分かりませんね。

 

その後も、父様を恐れず、天然な発言をいっぱいしてましたよね~。


◇◇◇


 「セリをこちらへ」

 

「はい。陛下」


(えっ?いや、いや、カヤメ、そのお姫様の話を聞いてたでしょ?)


わたくし、処刑されちゃうかも知れないですよ~。



これで、この世ともお別れなんて冗談じゃないですよ~。

カヤメの着物を必死に掴んで抵抗しますが…。


(ううぅ…抵抗も虚しく、父様の腕の中ヘ)


 でも、不思議ですね。


父様の腕の中は暖かくて、とても安心するんですよね~。



父様の顔を見ると優しい眼差しで、わたくしを見ています。



「ぼくの前でくだらない言い争いは許さない。皆、部屋で謹慎だ」


 そう言って父様は、その場を後にした。


どうやら、わたくしはそのまま泣き疲れて眠ってしまったらしく、目を覚ました時には知らない部屋にいましたよ。


(牢屋では無いようですね)


少し離れた所から、父様と知らない男の人達の声が聞こえる。

 

「……子供を泣かせたからと娘とその家族まとめて私財没収して国外追放とか、やり過ぎじゃ。お前はどんだけ過保護なんじゃ!」


え?お姫様は早速追放ですか?カヤメはどうなったのか心配ですね。


「別に、それだけじゃない。祖父は有能だったけど子や孫は無能で使えないし、そのくせ威張り散らしす。元々邪魔に思ってたんだよ」


「まあ、そう言う事にしておこう。で、子供はどうする気だ。母親は亡くなっておるし、このまま手元で育てるのか?」


わたくしのこれからの話!!!!もし母様が生きてたらどうなったのかな?親子で一緒に処刑?


う〜んどっちにしても明るい未来が想像できません…。


「ああ、里子にだすつもり。ぼくには子供を育てるとか多分無理だから」


(!!!!)


やっぱり、わたくし捨てられるんだ。


でも、処刑されるよりましですかね~。


これからも父様の気持ち一つであちらこちら転々としたり、死に怯えながら生きて行くしか無いんですかね?


(そう考えるとまた涙が…)


「ふぇぇ〜」


「ん?セリが起きたみたいだ。また、泣いている。どうした?セリ」


「よし、よし。今日は泣いてばかりだねぇ」


父様はわたくしを抱きしめてあやしてくれます。


でもね。わたくしが泣いてばかり居るのは、全て父様のせいですよ。


先程、父様と話していた人達がわたくしを物珍しそうに見ている。一人は子供、もう一人はおじいちゃん。


「おほぅ。これがお前の娘?かわいいのう。どうじゃ、どうせ里子に出すんだし。わしにくれ」


子供の方の男の子がどさくさに紛れて、わたくしを貰おうとしています。


白い髪、金の目をした子供だ。

でも、なんて言うか見た目は子供だけど、中身は大人て感じで子供にしてはかなり違和感がありますね。


「は?白尾(はくび)君、何言ってるの?」


「わしにくれ。可愛し、わしの嫁にする!!」


えっ?わたくしをお嫁さんにするんですか?!!!

とんでもない話になりましたよ。

 

 正直わたくしにも選ぶ権利があると思うのですが…。


父様は、なんて答える気ですかね?


チラッと顔を見ると物凄く不機嫌な顔になってますよ。


「ダメ!」


「えー?!何故じゃ?わし、こう見えても優良物件じゃぞ!金持ち、顔良し、性格良し!」


そう言って自信満々に胸を張る。


その上、白尾って人はわたくしを撫で様と手を伸ばしてきます。

 

だけど、父様はその手を振り払ってしまいます。


「ダメ!そんなに嫁が欲しいなら、その辺の山で女狐でも探て来たらどうだい?」


父様の目は冷たく、明らかに恐い。

犯罪者でも見るかの様ですね。


父様のお友達では??


白尾って人は血の気が引いて顔色が蒼白。


「じょ、冗談、冗談だって。あ、わしそろそろ仕事に戻らないと。では、その子の里親はわしの方でもまぁ探しておく。ではまたの」


そうして逃げる様に去ってい来ます。


まぁ、取り敢えずお嫁に行く事はないみたい。

良かったですよ。


 「私の方でも探して見よう。では私も仕事があるので失礼する」


そう言って、父様に声を掛けて来たおじいちゃんは、白髪で長い髭があってなんか仙人様みたい。それにとても威厳のあるの。


二人共、父様のお友達なのかな?


 それにしても、けんちゃん、わたくしがお昼寝している間に、どこ遊びに行ったんだろ?


 はぁ〜。わたくし、これからどうなるんですかね~?



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