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神の娘  作者: アイ氏
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263話

辺り一面が黒い炎で覆われて焼け野原になってます。


その上、ユジンが暴れてますから困りましたよ。


「ふぁー!ユジンー!落ち着いてー!!助けに来たから、もう大丈夫だよー!」


わたくしは、遠くから再び力一杯叫びます。


すると、わたくしの叫びに答える様に黒い炎が消えます。


(ふぅ〜。取り敢えず、これで安心ですね)


炎が消えたので、わたくしは、ユジンの側に駆けよりましたよ。


「ユジン。無事で良かった!!」


「……姫様…。」


こんな時は、いつもなら、ユジンは笑顔で返事をしてくれるのだけど、笑顔も返事もありません。


「ユジン。どうしたの?わたくしも無事だから安心して」


「…姫様。せっかく来て下さったのに申し訳ありません。私は烏天狗を全て始末したいのです。ですから遠くに離れて下さい」


ふぁ!ユジン何言ってるんですかね?わたくしびっくりですよ。


「急にどうしたの?わたくし達を拐った事を怒ってるの?」


「それも有りますが……。私は姫様と、そこの兎の話を聞いてしまったのです。昔ムクロを陥れ冥界と天界と争いに乗じて、冥界の乗っ取りを企んだと…」



「ふぁー!そ、それは!?!えっと…」


(わたくしと、赤兎ちゃんの、あの話を聞いたんですかー!)


「ですから、烏天狗を許す訳にはいかないのです」

そう言って再び神器を構えます。


それと同時に再び黒い炎が現れます。


『お、おい!小娘。なんか雲行きがヤバくねぇか?』


何も言えない、わたくしと、ユジン醸し出す危うい空気を赤兎ちゃんも感じます。


『赤兎ちゃん。その通りです。はっきり言って不味い、不味いですよー』


ユジンが怒って暴れるのも当然です。


その事件がきっかけで、ユジンは散々な目に有って、今は、わたくしと地上で暮らしてるんですから…。


わたくしが、ユジンになんて言ったら止められるか考えていたら、事情を知らないエンマ様が説明を求めて来ます。


「…一体、その話とは何なのだ。詳しく余にも話せ」


(ふあ!すっかり、エンマ様の存在忘れてましたよ。そうですよね〜)


わたくしは、ユジンが烏天狗に捕まって危険だと思って、エンマ様に助けを求めたら、ユジンは無事で、しかも烏天狗を焼き鳥にしていたんですから…。


わたくしは、エンマ様にもわたくしの知っている全てを話しましたよ。



「ほぅ。そうか…。ユジンの怒りは最もだな」


エンマ様はユジンに理解を示します。これはもしかしてユジン自由に大暴れですか?!


と思いきや、エンマ様がユジンを止めます。


「だがなユジン。烏天狗は、これから余の奴隷として、三界の世界の為に働いて貰う予定だ。命令だ。ここで手を引けユジン」


「……お断りします」


「余の命令に逆らうか?ユジン」



えっ?!ちょっと、エンマ様までユジンを怒らせてるんですか?!


もうこれは…烏天狗vsユジンvsエンマ様と言う複雑な戦いの予感です。


最も烏天狗達は既にユジンに散々に焼き鳥にされて戦意喪失してますけどね…。


「エンマ王。邪魔をしないで頂きたい。私は、烏天狗を根絶やしにします彼等はこの世界に不要な生き物です」


(ユジン。普段だったら、絶対、わたくしの前であんな言葉は使わないのに…絶対に教育上、良くないと思いまですよ!)


「そうか…。ならば仕方がない。力ずくで余の命令に従って貰おう」


ひぇ~!もうわたくしには止められ無いのでしょか?


「おい!小娘ヤベェぞ!」


赤兎ちゃんに言われなくても2人から、険悪な雰囲気が漂い初めているのが、わたくしにも分かります。


「何故、そこまで、烏天狗に拘るのです?」


「知れたこと。烏天狗がもつ空間移転能力が必要だからだ。余は、ずっと思っていた。

三界が何時までも、乱れるのは、種族の住み分けが出来ておらぬからだと。天下を神の世界し、地上は人の世界ならば、冥界は誰の世界となれば良いかと…な。余が出した結論は、天界や、地上に居られぬ全ての者達の世界となろうと思った。

そうすれば、少なくとも、天界と地上の平和は保たれる」


「だから、私に烏天狗を許せと!冥界が受け入れる事を許せと?」


「そうだ。利用価値がある者を葬るのは許さん」


「それで私が手を引くと思っているんですか?」


「ああ。手を引けと命じている。そして、ユジン、お前がその者達を監理しろ。息子からも冥界に戻れと何度か言われたはずだ!」


「確かに、冥界に戻る要請はありましたが、そんな話は何も聞いてません」


いや~。なんか話がどんどん、驚きの方向に変わっていきますよ。


「当然だ。今、初めて、話したのだから。だが、話を聞いた以上は、余に従って貰うぞ。ユジン」





「そうですか、わかりました。ですが私が貴方に従うかは、私を倒せたらの話です!」



「良かろ。全力で、掛かって来い。ユジン。余も全力で相手をしよう」


もう2人とも神器を武器に変えてやる気満々です。


「小娘。逃げるぞ」


「う、うん!」


そうして、赤兎ちゃんとその場を離れます。

戦っている2人を見てわたくしはつい本音を呟きます。


「2人を止める事は出来ないのかな?」


「小娘。あいつらの間に割って入るつもりか?!」


そう言われると、それは無理なんですが。


「えっと…………無理」


「なら黙って見てれば、その内には決着がつくだろ」


「それしかありませんよね」


そうして時間が、かなり経過しましたよ。 

 

わたくしと赤兎ちゃんは、座ってひたすら戦いの見学をしてましたが、ついに決着の時が訪れたのです。

それはエンマ様が放った蟻地獄と言う技です。


そしてあろう事か、どんどん地面の崩れが進み、わたくし達がいた場所まで迫って来ましたよ!


「ふええ??!!あの、なんか、わたくし達の地面も崩れてきますよ!!」


「おー!ヤベェ逃げるぞ!小娘!!」


「う、うん!」


そうして、わたくしと赤兎ちゃんは走り出します。


だけど残念ながら、わたくしは逃げ切れませんでしたよ!


「ふぁー!!」


「小娘ー!」


そして、わたくしは土の中に体が沈んでしまったのです。


だけど、直ぐに体がふわりと持ち上げられて、わたくしは土の中から出られましたよ。

そして、何故か崩れた地面の上に立つ事が出来様になったのです。


「すまぬ。相手がユジンだった故、力の加減が難しくてな。巻き込ん悪かったな」

そう言ってエンマ様が、わたくしの近くにきます。


エンマ様の力で取り敢えず助かりましたよ。


「大丈夫ですよ。それよりユジンは、ユジンは大丈夫ですか?」


「ユジンならあそこだ!」


えっと…指を指した場所を見ても、何もありませんが…。


「あの、ユジンとか、烏天狗達とか皆さん土の中に埋まってます?!」


「そう言う事だ」


「じゃあ。ユジンの負けですね」


「当然だ。余に勝つなど不可能だ。と言う訳だセリ。ユジンは返して貰う」



「え?あ!そうですよね。ユジンは負けちゃったから冥界に帰る事になるんですか?」


「そうだ。だが案ずるな!セリには特別に冥界への出入りを許そう」


「ふぁ!本当ですか?!」


「ああ。余に二言は無い。烏天狗も手に入った事だし冥界へ出入り出来る呪具が直ぐに出来るだろう。ユジンでも、息子の連れ歩いている兎や、そこな兎でも、母にでも、好きに会いに来るがいい」


「ありがとうございます。ふふふ。これで赤兎ちゃんの毛皮も、いつでも堪能、出来ますね♡」


「あー!オレは会いたくねぇ!嬉しくねぇ!ってー!頬釣りするな!オレら土塗れだぞー!」


「ふぁ!ほんとだー帰ったらお風呂ですね」



まぁ、これはこれで一件落着ですかね?





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