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神の娘  作者: アイ氏
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261話

さて、わたくしは烏天狗の見張りの目を掻い潜り赤兎ちゃんと一緒に、どうにか冥府に戻る事が出来ましたよ。


そして赤兎ちゃんが、これからの事を尋ねきます。


「で?小娘。冥府に来て何をするつもりだ?!」


「うん。あのね。冥府のエンマ様に会いに行くの」


わたくしが、そう答えると赤兎ちゃんは凄く驚きます。


「はぁぁぁ?!正気か?!」


(あら?そんなに驚く事でしたかね?)


「うん」


「あのな!冥府の統治神にそんなに簡単に会える訳が無いだろ?仮に会って何をするつもりだ?」


「もちろん。赤兎ちゃんが冥府に住める様にお願いするんですよ!」


わたくしは自信を持って答えます。


「バーカー無理に決まってんだろ!?あ〜。こんなアホ娘を信じて着いて来たオレが馬鹿だった!!もうオレの事はイイから、ここでお別れだ!」


そう言って、何処かに行こうとするのでわたくしは慌てて引き止めます。



「赤兎ちゃんダメ!大丈夫だって。今なら、きっとエンマ様も冥府のお掃除大作戦で、ヒマしてるから直ぐに会えるよ。どう考えても掃除とか出来きる感じしないし。うん」


わたくしや父様、ユジンも、そうですが、きっとエンマ様も掃除とか出来る感じがしません。


それに、もしエンマ様がダメだったら、わたくしが父様に、お願いして竜宮に住める様にして貰いますよ。


わたくしが竜宮に遊びに行ったら、何時でも赤兎ちゃんをナデナデ出来る、こちらの方が、わたくしとしては最高なのですが赤兎ちゃんの希望は冥府に住む事だから…残念ですね。


「赤兎ちゃん!ほら行きますよ」


そう言って、わたくしは赤兎ちゃんを抱っこします。


(ふぁ!赤兎ちゃんの毛皮がモフモフで気持が良いですね~)


わたくしは思わず赤兎ちゃんの毛皮に頬をスリスリします。


「やめろ!離せ!頬ずりするなー!」


(やれやれ赤兎ちゃんは注文が多いですね)


「はい、はい。エンマ様の所に行くから大人しくいい子にしてね。赤兎ちゃん。いい子にしたら絶対上手くいきますよ〜」


そう言って、今度は頭を撫でます。


「………モウコムスメノスキニシテクレ」


そう言うと赤兎ちゃんは納得したのか静かになります。


ちょっとグッタリしてるのは何故ですかね?


わたくしはエンマ様が居るお部屋の前で声を掛けます。


「頼もうー!」


そう大きな声で言えば、エンマ様の部下が部家の扉を開けてくれます。


わたくしは、扉を開けてくれた鬼さんにエンマ様への取り次ぎをお願いしましたよ。


そうすると、やはりヒマなのか、すんなり部家の中に案内してくれましたよ。


「なにやら、息子の真似をしてやって来たが、セリもヒマなのか?」


「エンラ様が、王宮(わたくしのおウチ)に来る時に門番の人にこう挨拶してるから、冥府の挨拶なのかと思って?」


「フッ。冥府に、その様な礼儀作法は無い。普通に訪ねてくるがよい。それよりも、セリ。面白いものを連れて来たな」


そう言うと、わたくしが抱っこして来た赤兎ちゃんの方を見ます。


赤兎ちゃんはというと明らかに、その視線にビビってますね〜。


「今日は、お願いがあって来ました」


「なんだ?申して見よ」


「はい。赤兎ちゃんを冥府で雇って貰えませか?」


わたくしが、そう言うと何故か赤兎ちゃんの方が驚きます。


「な!おい!小娘話が違うじゃねぇか?!」


「え?そう?だって赤兎ちゃん。冥界に住みたいんでしょう?だったら冥府に就職するのが一番、手っ取り早いよ。以前エンラ様が言ってたもん。冥府に就職したら衣食住は完全保障しますって!実際、わたくしも母様と一緒に冥府に泊まってるけど、お食事は、冥府に大きな食堂で、毎日、日替わりで朝昼晩ってお料理がタダで食べられるし、わたくしは、父様が持たせてくれたお着物着てるけど、冥府では専用のお仕着せや作業着も支給だよ。住む所も寮があるって鬼さんが言ってたし」


「だからって、オレ見たいな妖獣を雇う訳ねぇだろう!」


「ふむ。よく分からんが、冥府に就職を希望しているのか?構わんぞ。冥府に忠誠を誓うと言うのであれば、種族は問わぬ。妖獣だからと排除するほど、余は小さな器では無い。他ならぬ。セリの頼みだ。雇おう」


「ほらね。これで赤兎ちゃんも安心して冥界に住めるよ!後はユジンをどうやって助けるかですね!」


「ユジンがどうかしたのか?」


わたくしは、エンマ様に今迄の事を説明します。


「烏天狗か、天界を追われ、地上や冥界をウロウロとして居たが、そうか。本格的に冥界を乗っ取りに動きだしたか。飛んで火に入る夏の虫とはこの事だな」


「エンマ様は、烏天狗の動きを知っていたんですか?」


「ああ。何やら、地下都市の様な隠れて里を作っているのは把握している。そこに沢山の妖獣が居るのもな」


「ユジンの事なら心配は要らぬ。セリの身の安全を考えて、大人しく烏天狗の言う事に従っただけだけ。今頃は、そなたが無事に冥府に居るのが、確認して、地下で烏天狗に報復でも考えている頃だろう」


そう言うと、部屋の窓から、大きな蜂が入ってエンマ様が差し出した手に留まりましたよ!


「ふぁ!大きな蜂!危ない!」


「案ずるな。地獄の蜂だ。余が偵察に放っていた。さてユジンに暴れられて、烏天狗が居なくなっては困るからな。丁度、暇を持て余していた所だ。余が直々に出向くとしよう」


そう言って、エンマ様は歩き出します。


わたくしもその後に続きますよ。


「ユジンが心配だから、わたくしも行きますよ!」


「良かろう。ただし余の前には出でないぞ。危険だからな」


「はい」


赤兎ちゃんは、わたくしが抱っこしてるから、強制参加ですね。


「オレもか?!」


「うん。赤兎ちゃんも、一緒に行こう!ユジンの所まで案内して欲しいの」


「ああ~。分かったよ」


(この小娘は変な力でも有るのか?オレは何故か小娘の言う事に従うしか無い様な気分にさせられる…。日月星の旦那が小娘に弱かった理由が分かる気がする…。何にもしても烏天狗を敵に回して、冥府で働くとか最悪だ!!オワタ)


赤兎ちゃんは、ボケっとしますが、冥府で暮らせるのが嬉しいんですかね?


まぁ、今はユジンの事に集中ですね!



こうして、わたくし達は再び地下都市に向かったのです。


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