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神の娘  作者: アイ氏
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257話

三途の川の浄化と観光が終わって、わたくしは、再び冥府の宮殿に戻って来ましたよ。


「セリさん、今日の冥府の浄化作業は終りです。明日、またお願いします」


「え?もう?わたくしなら、まだ大丈夫ですよ?」


「いえ。セリさんに無理はさせないと叔父上との約束もありますから、明日に備えて、今日はこれでゆっくり休んで下さい。」


「はい。分かりました」


「エンラ様は、これからどうするんですか?」


「私は、これから『ちょうちん草』の様子を見に行く予定です。あ!そう言えば、セリさんに私の『ちょうちん草』を見せる約束でしたよね?良ければご一緒にいかがか?」


いや〜。約束って言うか、前回の『ちょうちん草大会』で、わたくしがファイの『ちょうちん草を』見たって話から、春眠様とエンラ様が、わたくしに一方的に『ちょうちん草』を見て欲しいって話になった様な気がしますけどね…。


でも、まぁ、エンラ様の様子を見ると断るのは難しそうですよ。


時間もありますし、ここは行くしかありまんね。


「え〜と〜。エンラ様の迷惑でなければご一緒しますよ」


「迷惑だなんて事はありません。ありがとうございます。ではご案内します」


そうして、わたくしは『ちょうちん草』を見に行く事になりましたが、ユジンは、どうするんですかね?


「ユジン。ユジンはどうするの?何か予定とかある?疲れたなら休んでもいいよ」


「予定は特にありません。私は大丈夫です。私は姫様の護衛ですから、姫様の行く所なら何処でも、ご一緒します」


「うん。ありがとう、ユジン」



こうして、わたくし達は、『ちょうちん草』がある場所へと向ったのです。



◇◇◇◇



エンラ様が『ちょうちん草』を育ているのは、冥府の宮殿のエンラ様のお部屋がある場所のお庭です。


エンラ様も、わたくしと同じで、小さい頃から宮殿を与えられて、そこで暮らして居るんですね。


そう考えると、ちょっと親近感が湧きますね。


ただ、わたくしの宮殿のお庭は父様が綺麗に造園してくれて、わたくしの大好きな薔薇の花を中心に一年中、色々なお花が咲いてますが、エンラ様のお庭は全て『ちょうちん草』で埋め尽くされています。



鉢植えの『ちょうちん草』もあれば地植えの『ちょうちん草』もあって、綺麗に整理されてますが、『ちょうちん草』しか無いので、残念ながら、わたくしには不気味な庭に感じますよ!


「ふぁー!これがエンラ様の育ている『ちょうちん草』ですか?」


「はい。先ずはこちらへ」


そう言うと、エンラ様は、一番大きな『ちょうちん草』の鉢の前に、わたくし達を案内してくれます。


「この『ちょうちん草』は、私が叔父上から一番、最初に貰った『ちょうちん草』です。地上の年数に換算するなら草齢1000年を超えました!」


「ひぇー!そんなに長生きしてるんですか?」


「冥界は、地上や天界よりも時間の流れが早いのです。だから竜宮のちょうちん草よりも長くいきてるかも知れません」


「なるほど」


そして更にエンラ様は庭の置くへと進みます。


「そして、こちらが現在、私が品種改良に使っている『ちょうちん草』とその苗です」


そこには、大会で見たような、色々な形や変わった実の付いた『ちょうちん草』と、まだ芽吹いたばかりの小さいな『ちょうちん草』が沢山あったのです。


わたくしは、興味本位で、『ちょうちん草』の品種改良に付いて聞きましたよ。


「ちょうちん草の品種改良ってどうやるんですか?」


「そうですね。分かりやすく言うと偶然の変異した個体を見つける事ですね」  


「え?そんな宝くじに当たった見たいな偶然なんですか?」


でもこの質問がエンラ様のオタク心に火を付いてしまった様で『ちょうちん草』の話を長々と初めたのです。


「はい。基本はそうです。だだ『ちょうちん草』は、かなり変異を起こしやすい動植物なんです。

種を、ちょっと親草とは違う環境で育てると、その環境に適応する為なのか、かなりの確率で親草と違う個体が生まれます。

例えば、冥界は地上見たいに太陽の光がありません。

竜宮も確かに地上に比べると、そう光の量はありませんが、昼と夜ははっきりあると思います。

ですが、冥界にはそれが一切ありません。昼も夜も一年中常闇です。

そうすると『ちょうちん草』の実の色素が抜けた個体が生まれたんです。

これは天界で『ちょうちん草を』育ている春眠さんの所では生まれ無かった様です。

ですが天界は、地上と同じで強い光や、そして春眠さんは四季を司る神ですから、暑さや寒さといった、環境の変化を変える事が出来ます。

それもあり、春眠さんは、私や竜宮では生まれない個体を色々生み出せるんです。

私も、以前は更に環境を変えようと、八寒地獄に『ちょうちん草』の種を巻いたのですが、残念ながら、芽吹く前に、亡者達に種を食べられたり、芽吹てすぐに地獄の炎で焼かれたてダメになり、上手くいきませんでした。まぁ種を食べた、亡者は窃盗の罪を換算して更に刑期を延長しました。ですので私の場合八大地獄での品種改良には至ってないんです」


「それは残念ですね」


「ですがセリさんのお陰で八寒地獄の行き来がしやすくなりましたし、次は八寒地獄でちょうちん草を育てたいと思います。上手く行けば次の大会か、次の次の大会でお披露目出来るかと思います」




(エンラ様、職権乱用してまで『ちょうちん草』作ってるんですね〜。『ちょうちん草』の種は美味しいですからね。つまみ食いはいけませんが、食べたくなる気持は分かりますよ。でもつまみ食いして刑期が伸びた、亡者さんは少しお気の毒です)


「他にも、実の尾ビレが若干ですが長い個体を見つけまして、それを何代にも渡って尾ビレの長い個体を選別して交配する事で、今の尾ビレの長い実を付けるちょうちん草が生まれました。

後は変異した個体が増えると、変異した個体と変異した個体を掛け合わせる事で、両方の特徴を備えてた『ちょうちん草』が生まれたりもします」


「へぇ~。そうなんですね。色々と方法があるんですね。びっくりですよ!でも大変ですね。ちょうちん草のお世話にお仕事に忙しくて」


でも、わたくしなら、そんな時間が掛かって大変な作業をやる気にはなれないですね〜。



「そうですね。ですがそうして生まれた、新たな『ちょうちん草』を大会に出品して評価されるのが、私の喜びですから、大会で良い成績が取れれば、全ての苦労が吹き飛び、また頑張れるんです」


(あ〜。ちょうちん草大会はエンラ様の生きがいなんでね)


まさか『ちょうちん草大会』に、これだけ苦労と労力を掛けて出品をしてたなんて、わたくし想像もしてませんでしたよ。


それを考えるとファイや春眠様も凄いですね!


そして、わたくしは、きっとこの先もちょうちん草大会の審査員から逃れられない運命。


もう少し、真剣に審査やらないと、なんか申し訳無い気持で一杯になりますね。


後で、ユジンやキヌにもう少し『ちょうちん草』の事を教えてもいましょうかね?


その後もエンラ様の案内で、色々な『ちょうちん草』を見て回りましたよ。


エンラ様の『ちょうちん草』は現在1000株を超えてるそうです。


「そうだ。セリさん、今夜の夕食は、ちょうちん草料理にしましょう折角ですから、セリさんの食べたい実を選んで下さい」


「ふぇ?わたくしが?わたくし別にどれでも良いですよ。あ!ユジンなら美味しい実な見分け方とか分かるから、ユジン選んで!」


「私ですか?」


「うん」


「畏まりました」


ユジンにお願いすると、大きいな普通のちょうちん草の実を選んでくれましたよ。


「姫様。こちらが食べ頃の実かと思います。いかがでしょう?」

「うん。それでいいよ」


「では、切り落としますね。姫様は危ないですから少しお下がりください」


そう言うと、ユジンは差していた刀を抜いてちょうちん草の実を切り落とします。

切り落とされた実は断末魔の悲鳴を上げるから


ひぇー!ちょうちん草の実が断末魔の悲鳴をあげましたよ!!


「ふぁ!」


わたくしは、その悲鳴が苦手なので、ちょうちん草から離れます。


「姫様。もう大丈夫ですよ」


『ちょうちん草』を抱えていても、優しい笑顔のユジンは素敵に見えるから不思議ですね。


そして父様には、もう少し普通の生き物を造化して貰いたいですね。


その後、一度部屋に戻り母様を誘って、わたくしは食堂にいきます。


食堂では『ちょうちん草』の解体ショーを初めているのエンラ様がいます。


今日はエンラ様がちょうちん草料理を作ってくれる様です。


創作料理じゃ無ければ、エンラ様の料理の腕は凄いですから、今日は安心して食べられますよ。


エンラ様の解体ショーを聞き付けて沢山の鬼さんが夕食を食べに来て賑やかですね〜。


いや〜。目の前で、美味しく調理されて出来立ての料理を味合う。


贅沢な夕食でしたね。


こうしてまた1日が無事に終わったのです。

お読み頂きありがとうございました。

中々更新が出来なくて申し訳ありません。仕事で一気に3人抜けて補充人員が1人(笑)


私の過労が確定しました。暫くはどの連載も不定期更新とさせて頂きます。


楽しみに読んでくださっている方には本当に申し訳ありません。


よろしくお願いします。

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