251話
降参すると、その場に座り込み足を投げ出します。
エンラ様も、雪合戦で疲れたのか、少し息が上がってましたが、整えてから喋ります。
「負けを素直に認めて頂きありがとうございます。良い勝負でした」
「おぅー!って?!あー!!厄介なのが帰って来たなー!わりー!オレっちはあんたらに協力してやっても良いと思ってるんだが、この八寒地獄を統治しているのは、氷姫だ。帰って来たら無理だ」
エンラ様も視線を向けて諦めたら様に話します。
「あー…。まぁそうですね」
えっと、2人の中では、もしかして氷姫さんも雪華さんも八寒地獄の統治神の座を争って潰し合って共倒れしたとか、都合良く考えてました?
ちょっと酷いですよねぇ~。
ですが、2人が話を聞いても、何の反応も示さない事に、エンラ様は怪しみます。
「??」
「どうも様子がおかしいですね。いつもなら、八寒地獄はって、冥府の者の好きに差せないって喰って掛かるのに?」
今は、ムクロさん達は『魅了香』で洗脳状態にあるのでいつもならある反応が無いんですよね…。
わたくしはエンラ様に、その事情を話します。
「そんな事が?!流石です。セリさん!」
「ふぁ?!」
いやぁ~。わたくし、そこで流石ですとか言われても困りますよ。
「あの、それでムクロさんに元に、元に戻して貰らおうと思うんですが…」
「え?いえ、このままで良いでしょう!」
「はい!?良いんですか!?」
「はい。構いません」
「オレっちも賛成!」
吹雪さんが、そう言って手を上げると、周りも同調し手を上げます。
(この氷姫様達、神望が無いんですかね?そうですか…。)
まぁ、お気の毒ですが、このまま『洗脳状態』が、皆様の望みで、その方が八寒地獄は平和な様です。
「あ?!でも、オレっち、書類とか細かい仕事苦手!だからそんな面倒な事を進んでやってくれる氷姫が統治神で良いと思ってただょ」
あー!つまり、面倒な事をやってくれるから従ってたって事ですか?
「そうですね。それは困りますね。セリさん」
まあ、確かにこの吹雪さん、ちょっと細かい仕事とか向いて無さそうですね。
エンラ様も、そう判断したのか、わたくしに話掛けて来ます。
「はい?」
「2人に命令して下さい。八寒地獄の仕事を今まで通りする様にと…。後は、そうです。休み無く働く様にと」
ひぇー!それは酷い無いですか?
でも
そう思ったのはわたくしだけで、再び、皆が賛成の声を上げます。
「「「賛成!!」」
いやぁ〜。とんでもない事になりましたね。
こうして、ずっと面倒な仕事を押し付けられる永遠に働く気の毒な二人の犠牲者を出して八寒地獄の乱は終わったのです。
わたくしは、母様が寝ている部屋に来てましたよ。
そして母様が目を覚まします。
「あ!?母様。良かった!」
「え?私は?」
「ずっと眠ってたんだよ!」
「なんかとても怖い夢を見ていた気がするわ」
「大丈夫?」
「ええ。何故か夢の内容は覚えて無いみたい。セリ。心配掛けてごめんね」
「ううん。母様が、無事で良かった」
その後、八寒地獄に暫く滞在して、わたくしは浄化作業したのです。
◇◇◇◇
浄化作業が無事に終り、八寒地獄は多分、綺麗になったんですかね?
そして、わたくし達は帰る事になったのです。
(いやぁ〜。最初色々と有りましたが、八寒地獄での滞在は楽しかったですね)
八寒地獄の皆さんが見送ってくれて別れます。
◇◇◇
「……なんか雲行きが怪しく怪しくね?」
「あー。確かに吹雪になるかも知れません」
「んー?ま、大丈夫じゃね?」
「いや。しかしですね。冥府の方達ですから、八寒地獄の吹雪には、慣れて無いかと」
「…………」
「じゃ。熊八に様子見に行って貰うか?」
「そうですね。熊八さんに頼みましょう」