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神の娘  作者: アイ氏
242/269

241話

 ユジンの活躍により、氷姫様は捕らえられて抵抗が出来ない様に手を縄で縛られて拘束されてしまいましたよ。


「申し訳ありませんが神通力も一応、封印させて頂います」


そうエンラ様が言うと側に控えていた鬼さんが御札をエンラ様に渡します。


その御札を縛られた縄の上に貼ると、御札が光ってピッタリと縄に貼り付きます。

どうやらあの御札が、神通力を封印する道具みたいですね。


そうすると、氷姫様は怖い表情になります。


「おのれ、私に、この様な事をして八寒が黙っていないぞ!」

 

そう言って、エンラ様や捕らえている鬼さん達をを脅しますが、エンラ様は至って冷静です。


「氷姫さんを連行して下さい」

 

そう言って動揺していた鬼さん達に命令を下し氷姫様は、何処かに連れて行かれましたよ。


「ユジン。何処に行くの?」


わたくしが気になって、ユジンに尋ねると、すぐに答えてくれます。


「恐らくは、冥府の牢かと思います」


「え?冥府に牢屋なんてあるの?」


「はい。ございます。裁判を待って居る人間の中には待たされるのに怒って暴れたり、後は冥界から逃亡を計る者もいます。そうした者達を裁判まで、拘束する為に冥府の宮殿には、何ヶ所か牢屋が備えてあります」


「ひぇー!そうなんですね。びっくりですよ!これから氷姫様はどうなるの?」


父様なら、牢屋行き=そのまま死刑とかやりそうですが、冥府のエンマさまは、どうなんでしょうか?


「心配は入りませんよ。姫様。八寒地獄は冥府に取って必要な場所ですし、大事には至らないと思います。一時的に、拘束しても、落ち着いた頃に再び話し合い穏便に解決すると思います」


ユジンも冥府の揉め事には慣れているのか平然と答えます。

 

ですが、ユジンの予想に反して八寒地獄では思いもよらない騒動が起こっていたのです。


それをエンラ様から聞かされのは騒動の翌朝でした。


「は?八寒地獄で謀反の動きですか??」


「はい。どうやら、その様です。八寒地獄より氷姫さんを長神として解任して、新たに別の神が長に着くと八寒地獄から冥府に連絡がありました」


「えっと冥府は、それを認めたの?」


「…いえ。まあ、こちらとしては冥府に好意的な者が長神になってくれた方が都合が良いのは良いのですが…。その事を含めて昨夜、父とムクロさんと話し合いました。そしてセリさんには申し訳ありませんが、予定を変更して八寒地獄から浄化作業をして頂きたいと思います」


「え?それって、これから八寒地獄に行くってこと?」


「はい。八寒地獄の長神の件、冥府の従業員誘拐の件の解決と並行して浄化作業も一緒にした方が効率的だろうと言う結論になりまして。出発の準備が出来次第、八寒地獄へ向かいます」


確かに色々とありますからね。


予定変更も仕方ありませんよね?


キャラさんの事は、わたくし気になりますし。


「はい。分かりました」


その時です。わたくしとエンラ様の話を横で、聞いていた母様が口を開きます。

 

「あのエンラ様。私も娘に付き添いたいと思います。ですからお休みを頂け無いでしょうか?」


「か、母様?!」


「休みですか?…分かりました。良いでしょう。許可します。」


エンラ様は即答しましたよ。


「母様。お仕事を休ん良かったの?」


「ええ。エンラ様が許して下さったし大丈夫よ。あんな事が有った後だから、セリ1人で八寒地獄に行かせるのは、とても心配ですもの。私が付いてるわ。心配したないで、何が有っても私が守ってあげるから」


「え?あ、うん。ありがと。…母様」


その気持ちは、有り難いのですが、母様は普通の人ですし、わたくしとしては母様の身の方が心配ですよ。

でもユジンやエンラ様も一緒に行ってくれるから多分、大丈夫ですよね。


こうして、わたくしは八寒地獄へ行く事になったのです。


◇◇◇


妾の名前はムクロ。


妾は、かつてこの冥界の統治神であった。


その冥界の統治神だった頃から、氷姫も、また八寒の長神を勤めていた、それ故に氷姫とは、腐れ縁というか、まあ長い付き合いではある。


氷姫は、はっきり言って短気で、やたら威張り散らす困った奴だが、八寒地獄の長神としての実力は妾も一応は認めるところだ。


その氷姫が冥府にやって来て、自分の要求が通らぬからと暴れたらしい。


その事で冥府の宮殿では、エンマとその息子が、これからの八寒地獄の対応を協議し、妾も氷姫と古くからの付き合いがあるからと、夜中に突然、冥府の宮殿に呼ばれ来る羽目になった。


全く持って迷惑な事よな。


そしてエンマ達、親子と会い最初に聞かされたのは八寒では、氷姫を廃して、新たな長神の就任と言う動きがある教えられた。


この動きに乗るか、それとも氷姫を支持するか対応に苦慮しているらしい。



今回、氷姫が冥府へ、残々やって来たのも、もしかしたら、その辺りの事情と関係があるのかもしれんな…。


氷姫を冥府にやれば、あの気の短い氷姫の事、冥府と揉めるのは用意に想像が付く。


そして氷姫を冥府に排除させれば、楽に八寒を手に入れられるからの。


統治神や長神と言う役目は、決して役得が多い訳ではない。


どちらか言えば面倒な事が多い。


特に今は冥界が穢きっている。


それ故に、その事を不満を持つ者も多く中には氷姫に取って代わろうとする野心を持つ神が居ても不思議では無い。


だが、そんな野心の有る者を認めるのは、これからの冥界に取っても害となりうる可能性もある。


故にエンマ達も、苦慮して居るので有ろう。



そうして、エンマ達親子と話し合いが終わり、妾はエンラと共に氷姫が閉じ込められて居る冥府の牢に行く事になった。



要は氷姫との橋渡しを妾に頼むと言う事よ。


氷姫が閉じ込められて居る牢に行けばボーッとして座る氷姫の姿が見えたので、その姿に妾は思わず笑ってしまった。


「ほほほ。そなた、意外と牢屋に入って居るのが気に入ったのか?大人しく座っているのだからの…」


妾が声を掛ければ、氷姫は、すぐに反応した。


「ムクロ!貴様か?!そんな訳無かろう!何の用だ?!私を笑いに来たのか!?」


ボーッと座って居たので牢屋入れられ腑抜けたかと思っていたが、そうでもないらしい。


「ほう。どうやら腑抜けては居ないらしいの。間抜けではあるがな」


「無礼な!?」

 

「まあ、良い。そなたに話がある。冥界の安寧の為に、その身を捧げて貰おうか?のう氷姫」


統治神を辞め、地獄の封印からも解放され、せっかく自由になったと思ったのに、こうして引っ張り出されるとは全く面倒な事よ。


今週も、お読み頂き、ありがとうございます。


また来週更新予定です。


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よろしくお願い致します。

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