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神の娘  作者: アイ氏
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239話

ユジンが止めるのも聞かず強引に、エンラ様の居る部屋にやって来ましたよ。


そして、わたくしは意を決して部屋に入ります。


「エンラ様。失礼します。冥府で誘拐が有ったて聞いて、わたくし心配で!どうなってるんですか?」


わたくしの突然の訪問にも関わらず、エンラ様は、ちゃんと対応してくれます。


「セリさん。夜分にお騒がせしています。どうやら八寒地獄の者がキャラさんを拐って行った様でして…」



「ふぁ?!キャラさんがどうして?!」


「分かりません。キャラさんには、主に冥府の宮殿で働いて頂いて居るので、八寒地獄の者のは、普段接触もない筈なのですが。こちらの手の者が、八寒地獄の者を呼び出しまたので、到着し次第、問い正します」


エンラ様が一通り状況の説明をしてくれると、ユジンが部屋に戻る様に促してきます。


「姫様。エンラ様も対応で忙しいですし、そろそろ部屋に御戻り下さい」


「えー!でもキャラさんの事が心配だし、どうして拐ったのか、動機が気になるし…だから…。もう少しこの部屋に居ても良いでしょう?」


「ダメです。姫様は、もうおやすみの時間です」


わたくしは、そう言ってユジンにお願いしますが、態度を崩してくれません。


そこへ八寒地獄から使者が来たとの知らせが入ります。


「失礼します。エンラ様。ただいま。八寒地獄より、氷姫(ひょうき)様がお出でになりました」


エンラ様はその知らせを聞くや否やちょっと驚いてますね。


「八寒地獄の長が自ら!?…分かりました。直ぐに行きます。セリさん申し訳ありませんが、八寒地獄との話し合いがあるので、私はこれで失礼します」


「え?はい」


(う〜ん。この部屋で会うと思ってたのに違いましたね…。わたくしも連れてってお願い出来る雰囲気でも無いですし…)


そうして部屋を出で行くエンラ様を見送ってから、わたくしはユジンに聞きます。


「ユジン。八寒地獄から来た氷姫様って誰なの?」


 「はい。姫様。八寒地獄の長神(おさがみ)です」


「ふぁ~!長?そんな神が居たんですね」


「元々、冥界には、ムクロと氷姫という力の強い二柱が居まして、それぞれ八大地獄と八寒地獄を治めてました。この冥府は、二つの地獄の緩衝地帯だったんです。しかし八大地獄の者は、八寒地獄に行けますが、八寒地獄の者は八大地獄に行け無い事もあって、後にムクロが冥界の統治神と言われる様になりました。そして、今のエンマ王へと続きます。ですから残念ながら八寒地獄の者は、それを心良く思っていません。ムクロの時代から、今も恐らく独立を望んいるとも聞きます」

 

色々と冥界も複雑なんですね。


「へぇ~。なんでこっちに来れないの?」


「八寒地獄の者は暑さに弱いのです。八大地獄の者は防寒すれば、八寒地獄に行けますが、暑さは防ぎ様もありません。単時間なら、八寒地獄の者も八大地獄に居られますが、長い時間、居ると暑さで倒れます」


(熱中症になっちゃうですかね?暑さが苦手な、わたくしも、その辛さが分かりますよ)


「そっかー。でも、なんでその八寒地獄の神様がここに?キャラさんの誘拐と関係あるのかな?」


「彼らの目的は私には分かりません。それに、いつもなら冥府の交渉には部下を寄越すので、長神が、自ら、ここに来た事には、私も驚いています。但し冥府の従業員を1人を人質に取ったからといって、冥府が要求を呑む事などありえません。その事は八寒地獄の者も分かっているは思うのですが…」


(ユジンにも良く分からないんですね)


「ふ〜ん。キャラさんが無事に帰って来るといいね…」


「はい。そうですね。姫様。では部屋に戻りましょう」


「ふぇ?!」


「何度も申し上げますが、姫様はおやすみの時間ですよ」


エンラ様も部屋を出で行ったし、ここで待って居てもいつ戻るか分からないから、仕方ありません。


「うん。分かった。戻ろう」


ユジンに促されて気になりながらも、わたくしは部屋に戻ったのです。


◇◇◇



八寒地獄の長が自ら冥府へとやってきたと言う。


八寒地獄の者達は、決して今の冥府の支配を心良く思っていない。


だからと言って、彼らは、八寒地獄から外に出る事は殆ど無く、武力による衝突が起きる事は、想定していなかったし冥府の従業員を拐っていくなど考えた事も無かった。


(ですが、私の考えは甘かったようでね。しかし寄りにもよって、セリさんの滞在中に面倒が起きたものです)


ただ八寒地獄の長神が、自ら、ここに来るとは前代未聞。



そんな事を考えている内に、八寒地獄の長神が待って居る部屋へとたどり着く。


一応、この部屋には八寒地獄から切り出した、溶けない氷を置いて冷している。


ひんやり冷たい冷気の効いた部屋が、頭が冷えて冷静になれるので、今の私には調整良かった。



「お待たせ致しました。氷姫さん」


私は部屋入り軽く挨拶をすると話し合いの席に着くのだった。

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