表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神の娘  作者: アイ氏
233/269

232話

さて、わたくしは、父様に強制連行されて、竜宮の屋敷に一足先に戻って来ましたが、それから少して、ムクロさん達も薬取りが終わったのか、屋敷に戻って来ましたよ。


「これだけ薬液があれば、暫くは不自由はすまいな」


そう言って、ユジンから、エンラ様から、お共の方まで、皆さんが、液体の入った大きなバケツを両手に持っています。


そうして、そのバケツを人魚さん達に渡して、薬の瓶詰め作業を頼んでいますね。


(瓶の数はどの位になるのでしょうか?凄い数が出来そうです)


そして、その薬瓶をどうやって冥界に持ち帰るのかが気になりますね、


そしてそう思ったのは、ユジンも同じ様でムクロさんに尋ねてます。



「一応聞きますが、大量の薬を一体どうやって運ぶつもりですか?ムクロ」


「ああ、それなら抜かりは無い。そなた達とユジンとエンラ。頭数なら複数いるでな」

その答えにユジンが慌てます。


「ち、ちょっと、待って下さい。何故、私やエンラ様まで頭数に入って居るんですか!私は、陛下や姫様と明日は地上に帰る予定です。貴女には付き合えません!お断りします!」


「おや。そうなのか?だが、セリは冥界へ行くと聞いておるぞ。ユジン。そなたは、セリの共をいたせ。次いでに、妾の荷を運べばよかろう」


ムクロさんの話にユジンは驚き、父様やエンラ様に聞きます。


「え?そうなのですか?!」


父様もエンラ様もユジンの問にあっさり答えます。


「うん。一応そうなるね」


「はい。ユジンさん。私が今回こちらに伺ったのは、セリさんのお迎えの為です」

 

そう答えられ、ユジンは1人仲間外れにされたのが、気に入らなかったのかちょっと怒った様にエンラ様に言います。


「ずいぶんと、突然ではありませんか?」


エンラ様は、それを平然と受け止めいます。


エンラ様。こういう場面でも本当に冷静ですよね。わたくしなら、オロオロしてしまいますよ。


「それに付いては謝罪を致します。ですが冥界の状態を、正直に言いますと、日々悪化しています。一刻も早く、セリさんに来て頂きたいのです。それから、ユジンさん。もし良ければ、セリさんの護衛として、一緒に冥界へ来て頂けませんか?」



おお?!エンラ様、ムクロさんの薬を持たされる要員を増やすつもりなのか、ユジンを誘いましたよ。

 

わたくしとしては、ユジンが付いて来てくれるなら、嬉しいですが、ユジンは冥界から家出した身の上なので嫌がるでしょうかね?


「私1人では勝手にその様な大事な事は決められません」


そう言って父様の判断を仰ぎます。すると父様が答えます。


「ユジン。セリに付いて行ってくれ。僕からも頼むよ」


(ユジンも一緒に付いて来てくれるなら安心ですね)


「畏まりました」  


父様にそう言って一礼すると、今度はムクロさんのの方に向き直します。


「ムクロ。私は姫様の護衛として冥界へ行くのであって、貴女の荷物持ちではありません。だから薬を運ぶのはお断りします」


そう言うとムクロさんは、飄々と答えます。


「それは困ったな。妾は箸より重い物は持てぬ。ならばユジン以外の者に頑張って貰らうより他あるまい」


そう言われ、お供方達の表情が明らかに曇ります。


その時、エンラ様が助け舟を出しましたよ。


「大丈夫です。叔父上の許可を頂いて、鬼達を呼ぶ予定てすから。どの道セリさんの荷物も冥府の宮殿に運ぶ必要が有りますか、そのついでに薬も一緒に運ぶ手配を致します」


こうしてお共の方達は、荷物持ちから解放されて密かに喜んでいますね。


そしてムクロさんも「おお。それは助かるぞ。まこと、そなたは有能な坊やよな」とエンラ様を褒めましたよ。


褒められたけど、坊やと言われたのが嫌だったのか、エンラ様は困った様に答えます。


「坊やは、おやめください」

 

そして荷物の話が解決すると、エンラ様は今度は懐から手紙を取り出して父様に渡します。


「それから叔父上。こちらが父が署名をした誓約書です。お納めください」


「ああ。ありがとう」


「確かに」


「父様。何かエンマ様と約束したの?」


「うん。この間、エンマに会った時にね。冥界が落ち着いたら、セリを行かせるって話になって、僕は、冥界へは付いて行けないし、心配だったからね。セリを迎えるに当たって色々と条件を出した。まあこれは、その条件を守る事を約束した誓約書だよ」


「ふぁ?!何を約束したんですか?ちょっとわたくしにもそれ見せて?!」


「勿論だよ。セリも事前に知っておいた方が良いからね」


わたくしは父様から誓約書を受取り読みます。


(一つ セリが困らない様に世話人を付ける事。二つ食事の他におやつも用意する事………)

そこには、他にも、わたくしの普段の生活の様子が条件として事細かに書いてあったのです。


(父様。何でこんな条件を出したんですか?!わたくしの私生活が知られて恥いだけですよ//)

 

 しかも最後の文は、わたくしが地上に帰りたいと言ったら、冥界の邪気の状態に関係無くすぐに帰す事って、わたくし、頼まれた事を投げ出して、地上に帰ったりはしませんよ。


わたくし父様のせいで、思いっきり恥をかきましたよ。


全く父様には困ります…。


そして次の日の朝、わたくしが食堂に向かうと、シノエ達が忙し働いて居るのが見えます。


それは玄関に置かれた沢山の荷物に原因が有るようですよ。


そう、それはまるで引っ越しでもするかの様な大量の荷物です。


「おはよう。シノエ。この凄い荷物は、何処へ運んでるの?」


「こちらは全てお嬢様が冥界へ行かれるので、色々準備して纏めた荷物ですわ」


そう聞いて、わたくしは、驚きましたよ!


「ふぁ?!こんなに沢山の荷物が必要あるの?」


「はい。主様からのご命令ですわ。お嬢様の着物から日用品、万が一に備えて、主様、お手製のお薬。更に冥界のお料理ばかりでは飽きるでしょうから、日持ちする竜宮や地上のお料理やお菓子も沢山ご用意いしました。他にも主様が、是非、奥様に渡して欲しいと、着物や宝飾品等も積めてあります」


中身を聞いて、それでこんなに沢山の荷物なるんですね。納得ですよ。


「でもこんなに、沢山の荷物運ぶの大変じゃない」


「既に早朝か冥府の方が沢山見えられて運んでいますから、これが最後の荷物ですし、問題有りませんわ」


(ひぇ~!それってまだ他にも沢山あったて事ですかね?)


わたくしがちょっと冥界へ行く位で父様は大げさですよ。


「さあ、お嬢様の荷物の方は準備万端ですから何も心配入りませんわ。もうすぐ、朝食のお時間ですから、どうぞ食堂の方に移動下さいませ」


そう促され、わたくしは食堂へと向かいます。


「うん」


そうして、わたくしは、朝食を食べた後、冥界へと旅立つのです。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ